マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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高御門町の防火システム

2016年09月17日 08時10分48秒 | 民俗あれこれ(消防編)
展示物を拝見して史料保存館を出た。

滞在時間は1時間40分だった。

長時間に亘ってお話してくださったならまちの民俗に終わりはない。

さまざまな角度から見つめた町屋の民俗がある。

館を出て歩いてきた道を戻る。

ある家の門扉前に置いてあったバケツ。

色はくすんでいるが、元々は目立つ赤色の「消火用」バケツである。

バケツには満々と水を溜めている。

その情景に遭遇してすぐさま頭の中に斑鳩町の西里集落の映像が蘇った。

西里の各家ではここと同じように門屋前や門扉辺りに消火用バケツが置いてあった。

西里の集落中央に火伏せの神さんである愛宕さんの石塔がある。

同地区の総会において決まった二人は正月明けに京都の愛宕神社に参ってお札をもらってくる代参がある。

門屋に置いてあった消防バケツは火事を起こしてはならないという地域全体を守る防火活動の一貫である。

どの家も防火バケツを置くようにしたのは集落の火の用心の決議事項。

バケツ一つで火事を消すのではなく、火事は起こさないという防火の心構えなのだ。

ならまちの消火用バケツに意味があるのか・・。

丁度その時、玄関から婦人が所用で出てこられた。

話しを聞けば、平成になったころに隣組が火事になった。

それから地域を火事から守る防火用水バケツを門塀前に置くようになったというのである。

バケツの意味を教えてくださった家を後にして戻っていけば次々と目に入った消火用バケツ。



型に決まりはなく、一般的なブリキのままのバケツもある。



ブリキのバケツに混じって赤いバケツも置いてある家もある。



筋道両側に建つ家のほとんどにある消火用バケツ。

色がくすんでいることから何十年も経っているのだろう。



バケツに溜めた水は満水。

水面に埃が見られないことから毎日は入れ替えをしているように思えた。

よくよく見れば、そこにもヒイラギイワシがあった。



節分の風習と消火用バケツに関連性はない、はずだ。

稀にブリキ製でないポリバケツの消火用バケツもあるし、役目を終えたと思われるひしゃげたバケツもあった筋道は、後日に調べた地図では高御門町のように思える。

(H28. 2. 4 SB932SH撮影)