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映画「おとなのけんかCARNAGE’11」劇場公開2012年2月

2012-10-07 12:49:25 | 映画

                
 久しぶりにおとなの映画を観た。そんじょそこらの産毛の髭を生やした若い男や舌足らずな甘えた声を出す少女っぽい女の出る幕じゃない!! と思っていたが。
 成熟して見識もある男と女が我が子の暴力行為の後始末に顔を合わせる。その行為というのは、相手を棒で殴ったというものだった。
 被害者の息子の両親ペネロペ・ロングストリート(ジョディ・フォスター)とマイケル・ロングストリート(ジョン・C・ライリー)の家に加害者の両親ナンシー・カウマン(ケイト・ウィンスレット)とアラン・カウマン(クリストフ・ヴァルツ)が訪れる。

 最初は、お互いの立場を理解しあって息子達に仲直りをさせようと話がまとまりかけるが、ふとした言葉の綾にゆっくりではあるが空気が変質し始める。何度か玄関ドアとエレベーター・ドアを往復するにつれ、ますます空気はひりひりと神経を撫でる。
 その間、弁護士というアランの携帯は鳴りっぱなし、話の腰を折るのでイライラが募る。その電話が緊張した空気をいっときではあるが和らげる効果もあったが。

 そんな時、ペネロペが自分で作ったというケーキを出した。美味しい美味しいと食べていたが、そのうちナンシーが胸がむかついて吐きそうと言い出した。ペネロペが生ぬるいコーラを持ってきて、「コーラが利くわよ」と言った。ところがそうはならなかった。
 リビングでナンシーは嘔吐の大パフォーマンス。雑巾やモップやバケツを持って大騒ぎ。ペネロペに至っては絶版になった美術史の本がゲロまみれでナンシーを放ったからし。

 一段落したあとマイケルは、取って置きのスコッチを取り出した。徐々に酔いが回り言葉も過激になってきた。両家の誹謗中傷から、相手の夫や妻に矛先が向かう。とうとう夫婦喧嘩も始まり、挙句の果てにアランの携帯電話をナンシーが花瓶に投げ込んだ。水没する携帯電話。
 それを取り出してドライヤーで乾かすマイケル。そんな状況で女二人は笑い転げる。確かにこの場面は面白かった。遂に男と女の対立に発展。

 成熟して見識もある大のおとながまるで子供のような喧嘩をする。どこにでもある風景だろう。その子供達はとっくに仲直りして公園で遊んでいた。馬鹿を見るのはおとなのほう。
 舞台劇を映画化したらしいから、たった四人の出演者で室内だけ。それでも1時間半ほど退屈させずに見せるとはポランスキーの腕は冴えている。

 酒に酔っ払ったケイト・ウィスレットもよかったし、青筋立てて怒りの言葉をはじき出すジョディ・フォスターもぴったりだったし、携帯電話で忙しいクリストフ・ヴァルツや携帯電話をドライヤーで乾かすジョン・C・ライリーもそれぞれ個性を出してよかった。この映画の原題が、Carnege(大虐殺)とは言い得て妙だ。ユーモアセンスも抜群。
 ただ、このポランスキー、1977年に少女をレイプしたかどで追われている身なのだそうだ。その辺を曖昧にしている点が玉に瑕かな。
             
             
             
             
             
             
             
             
             
監督
ロマン・ポランスキー1933年8月フランス、パリ生まれ。’02「戦場のピアニスト」でアカデミー監督賞を受賞したが、追われる身のため会場には姿を見せなかったらしい。

キャスト
ジョディ・フォスター1962年11月ロサンジェルス生まれ。’88「告発の行方」’90「羊たちの沈黙」でアカデミー主演女優賞受賞。
ケイト・ウィンスレット1975年10月イギリス、イングランド、バークシャレディング生まれ。
クリストフ・ヴァルツ1956年10月オーストリア、ウィーン生まれ。’09「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー助演男優賞受賞。
ジョン・C・ライリー1965年5月イリノイ州シカゴ生まれ。
コメント
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