ニューヨークにあるWFGという投資会社。そこの社長が敏腕の営業マン、コリン(ジェイミー・ドーナン)に「シークは、推定総資産100億ドル(約1200億円)だ。そのシークが5億投資してくれるはずが、他社に心変わりした。取り戻してこい。必ず」と命令された。
砂漠の中のシークの屋敷で会ったコリンは、シークがレースの鳩に思い入れが深く、1600キロ以上の距離を飛んで故郷に帰るというバルセロナ国際レースで、ぜひ優勝したいという思いがあるのを知った。
そのためには優秀な鳩が必要。その鳩を持っているのは、ベルギーのフランダースに住むジョス・パウェルズという男だった。ベルギーへ飛ぶ飛行機の中でジョス・パウェルズを検索してみると、孫娘のイザベル(シャルロット・デ・ブライネ)がいることが分かる。
コリンは国語の教師だという触れ込みでイザベルに近づく。時間とともに二人の関係は熱を帯びる。鳩が重要な役割をしていてハートウォーミングな映画だ。
第1次世界大戦中敵地で孤立したイギリス軍が放った鳩(シェラミ)が、傷つきながらも司令部まで飛翔して兵士を救ったというエピソードがセリフで語られる。
くっくっと鳴く可憐な鳩の映像は、輝きを増しているようにも思うから不思議だ。バルセロナの国際レースのスタート時の映像は、3万3000羽の鳩の乱舞は見応えがある。
この映画を監督したドミニク・デリュデレという人は、手抜きをしない堅実な作り手に思われる。物語の流れがスムーズで誤魔化しがない。
コリンは、ジョスから宝物の鳩を半ば脅して買い取った。ジョスはイザベルには言わないでくれと言われてイザベルには無言で帰国する。当然イザベルは怒り狂っている。
この二人の関係の修復をどのようにするのだろう。映画を観ながら思っていると、スムーズな展開で納得できるものだった。
鳩が可愛く思えるし、コリンとイザベルの恋の行方も楽しめる映画だった。なお、イギリス軍兵士を救った鳩について、最後に次のキャプションがある。「国立アメリカ歴史博物館でシェラミの剥製とフランス政府から与えられた勲章を見ることが出来る」
監督
ドミニク・デリュデレ1957年6月ベルギー生まれ。
キャスト
ジェイミー・ドーナン1982年5月イギリス、北アイルランド生まれ。
シャルロット・デ・ブライネ出自不詳