賢くなる内容で、くだけた文章。クルーグマン以降の最近の傾向だろうか、読んで楽しい。テーマはサッカーのパス回しのような展開と戦術の「ストーリー」を分析している。だがこれは戦術であり戦略というにはもっと大きい観点、つまりは「有利な戦場」選びが大事なのだろう。この戦術と戦略の曖昧さを感じる。しかも読後に理論が残らない。もともと連載のとりまとめだからか、体系や分析の骨格がない。<o:p></o:p>
ストーリー構築の手法は分散的で結局は差異、真似ができない独自性、ヴァリュー・チェインの展開 ポーター理論などの有効性を逆に感じた。<o:p></o:p>
事例は新興企業が多い むしろ、基幹産業を担う企業の変化がもっと欲しい 基幹産業としてマブチ・モーターの事例はあるが、そんな成功事例なのだろうか。むしろ、自転車部品などシマノのイノベーションの連続が面白いだろう。<o:p></o:p>
サウスウエスト航空は飽和市場の新規経営モデルで有名な事例だが、今回737型機に亀裂が多数見つかった。短距離連絡・高稼働・効率管理の陥穽かもしれない。どこにもトレード・オフはある。<o:p></o:p>
SP(Stragic Positioning)、OC(Organizational Capability)を定義しているが、欠けている新規市場開発Product Inovationや組織の柔軟性や水平統合などが大事なのではないか。またP139 にはOCのフロンティアがあるが、本当はSPとOCのトレードオフとし、それが高度となっているのが良い組織だろう。二元論ではなく、調和と高みだ。<o:p></o:p>
更に、時間のトレード・オフなども事例があると面白い。短期的成功は、中期的な低迷につながることもある。例えば、追加投資のない、食いつぶし型のビル事業が挙げられる。<o:p></o:p>
WTP(Willingneess to Pay)は久々に見た用語だが、優位性は時間軸がある。フリースにおけるパタゴニアとユニクロの席巻とパタゴニアのシェア維持から市場は変化し、選択性があるとわかる。<o:p></o:p>
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楽しい読み物だ。だが、本当の知恵はどこにあるのか<o:p></o:p>
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