あけましておめでとうございます
今年もこのブログをよろしくお願いいたします。今年は、リーマンショック以降の10年のまとめができて今までの研究の集大成ができました。需要・開発・不動産のサイクルをまとめることができました。これで需要と開発の論文の集大成になります。1月24日にはCM協会でご披露致します。( https://cmaj.org/index.php/ja/aboutseminar/cmajforum/cmajforum/1800-cmf-96 )
今年は、このテーマを講演するとともに、次の研究テーマを探すため、お仕事も変化させよう思っております。
景気は悪化懸念で、スリム化リストラが進む中、何故か株価が高い。世界的な低金利で、家計の負債が増え、資産(不動産、株など)のみが値上がりし、見えないインフレ(資産は物価にカウントされないため、家賃負担などのみインフレ換算の対象となる)と負債増大(高い資産を買うための高額なローンなど)が進行している。
我が国ではアベノミクスの一端として日銀の金融緩和が続き、株の買い支えが続行している。経済は日銀からの栄養補給でどうにか生きながらえている様相がこの数年続いている。日銀の懐具合は悪化の一途だが、これも顕在化しないため見てみないふりが続いている。
不動産の賃料は、大阪でこの3年に1.5~2倍になった。リーマンショックの賃下げの反対だ。賃料は値戻しがリーマン前水準だ。しかも、空室率は大阪で1%となり賃料上昇期待で、急にオフィス開発が進みつつあり22年には5万坪の供給となる。例によって、不景気な時代に供給は増えそうだ。
ホテルは特に開発の多かった京都でホテル・旅館が1.5倍に増加し、オーバー・ルームと不動産価格下落が始まっている。( https://www.cbre.co.jp/ja-jp/about/media-centre/cbre-publishes-2020-japan-hotel-market-outlook https://www.cbre-propertysearch.jp/article/hotels_hotel_market-outlook2021/ )この、インバウンド・ツーリズム( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%AA%E6%97%A5%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%97%85%E8%A1%8C )の増加は110円/$の円安、つまりは日銀の金融緩和による。アメリカ ニュー・ヨークの一風堂では白丸が16$(チップ込みで19$=2,100円→日本 825円(税込み 京都錦店))だ。ビッグマック平価( https://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html )でも日本は安い。つまりは日銀の金融緩和で生じた日米実質金利(名目金利―インフレ率)差逆転(日本の実質金利のマイナス化)による円安( https://finance-gfp.com/?p=812 )がインバウンド・ツーリズムの原因だ。
しかし、日銀も出口政策を模索し、徐々に金融引き締め、国債売却、株の益出しに向かわざるを得ない。我が国の名目上の低金利と不動産運用益のスプレッド利用の海外投資家も金利上昇となると、不動産売却となり不動産価格下落となる。今はまだ不動産は高値だが、株価と同じく暴落のリスクがある。その時期を待ってマンションなど取得するのが得策であるのはいうまでもない。また、不動産担保ローンの不良資産化が発生し、さらなる資産下落のスパイラルが懸念される。
今の経済は、ろうそくが消える前の輝きとしか思えない。なお、金融では株価下落でも空売り( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/dcf685d19ed994408ead1ddeac163df9 )やクレジット・デフォルト・スワップ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%97 )で利益が得られる。
しかし、この30年物価は安定している。( https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h30pdf/201816902.pdf )しかも、外食も安くて、うまくて、サーヴィスも良い。逆に言うと、外食や介護などの賃金は安すぎで定常的な人手不足だ。マイナス金利で地方銀行の破綻、合併、生保の利回り低下が起こり、間接金融は破綻に近づいている。
その反対に、ITで飾り立てたユニコーン企業のIPO( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E5%85%AC%E9%96%8B )など直接金融は一攫千金を狙っていた。
また、資産保有の富裕層はさらに資産インフレで豊になる。つまりは、階層の2極化だ。消費においても、百貨店でアパレルが売れず、ユニクロかスーパー・ブランドかの価格の2極化となっている。
この30年はGDP成長なき、インフレもなき時代でゼロ・サムのなか格差が拡大したとしかおもえない。
さらに、二極化による教育格差が生まれ、能力の格差となり、収入格差の親子間での遺伝となる。これはやる気をなくし、閉塞感を生む。
対抗策として、教育、特に達成する能力、諦めない能力の育成、つまりは勉強する方策の提示と夢が持てる機会の提供が必要だ。暗記だけではなく、プロジェクトをやり切るなどの実戦的能力育成が企業の即戦力要望にも対応する。また、企業での使い捨て志向(短期利益の追求)もあり、就職後の資格取得と能力開発での自己能力向上も不可欠になる。なんといっても70歳まで働けという風潮だ。当方も建築士、MBA、学位などの研鑽と資格に助けられここまでやってきた。
今年は、「景気がオリンピックまで続く」とされた年だ。本当に続いたのには感心する。大阪では2年後にオフィスの大量供給がある。しかし、不況となってもこれ以上金融政策の手立てはない。財政政策に頼るしかないが、インフラの保全などしか投資先がなく乗数効果が低い。かといってITなどの能力育成は時間がかかる。また、ゾンビ企業の倒産や経営スリム化のリストラも進行するだろう。単なる営業成果追求の競争型企業も市場が飽和し淘汰が起こる。つまりは規模拡大より質的向上により変化対応と付加価値増大志向になる。体重から体力、技能に向かう時代だ。
今年こそ、経済は変わる。不動産や金融の仕事も見直しだ