2002年の著作、今頃読みました。実にまともな著作でロバート・カッシングの社会資本、人的資本、クリエイティブ資本理論を電話聞き取り統計でまとめたのがベースデータである。<o:p></o:p>
切口は「クリエイティブクラス」というGDPの3割をになう芸術家、IT産業技術者など「何かをつくりあげる」といういうなれば新時代の第二次産業のような位置づけだ。<o:p></o:p>
それに必要なのは技術(Technology)、才能(Talent)、寛容性(Tolerant)の3つのTとしている。働き方は、カジュアルな衣装、自由な時間、会社ではなく職種・専門、ライフスタイル、居住するコミュニティの重視がある。経験的消費として一種のソーシャル・キャピタルやインフォーマル・コミュニケーションの重視があり自分の好きな快適性と経験のある都市を選好するとある。<o:p></o:p>
そこで、「ハイテク指数」、「才能」、「ゲイ指数」を3指標として取り出しクリエイティブ・クラスが選好する都市を評価している。<o:p></o:p>
筆者で面白いのが、ジェイコブスの引用が多く、都市計画では実は古典派、というか最近は都心居住や都市の見直しの回帰がありネオ・古典派ともいえる。その中で、定住者と新参者として、古い都市での新しい知恵の導入を重視し、大学が大切だと言うのは賛成だ。特に「場所の質」といて「その場所らしさ」は「一般的」でなく「独自でオリジナルな体験ができる」とあり、ありふれたチェーンは「本物」でないとある。これはジェイコブスや近年の景観や街づくり理論と同じだ。<o:p></o:p>
強引に都市の位置付けをまとめた印象もあるが、賛同できる内容だ。前回読んだ、「クリエイティブ都市論」よりはるかに楽しめた。<o:p></o:p>
意見として、日本での展開であるが、東京集中を取りやめないと、クリエイティブ1極集中となる。住みやすさ、都市の特色がこれから差異として評価される時代だろう。京都も東京圏の方からは「住むのに良いな、楽しむのに良いな」という声も多い。<o:p></o:p>