フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月5日(火) 晴れ

2006-09-06 03:05:19 | Weblog
  今日から『社会学年誌』に寄稿する論文(400字詰原稿用紙50枚)を書き始める。午前中に5枚書いた。このペースで書けば10日で仕上がるわけだが、もちろんこれは机上の計算であって、実際は行きつ戻りつ、途中で文献を読み返したりもするから、9月末までに書き上げることができれば言うことなしである(締切は10月末なのだが、別の原稿もあるのでこちらは早めに仕上げたい)。
  古本の代金を振り込みに郵便局に行く。西蒲田一郵便局。「西蒲田で一番の郵便局」という意味ではなくて、西蒲田一丁目にあるから西蒲田一郵便局。ちなみに西蒲田には他に七丁目にも郵便局がある。ただし名前は西蒲田七郵便局ではなく、駅の近くにあるところから、西蒲田駅前郵便局。どう見ても「駅前」は詐称で、「駅側」が妥当だと思うのだが、駅前ナントカという名前(駅前旅館、駅前派出所、駅前広場…)に執着があったのだろう。その気持はわらかないでもない。

          
              「西蒲田一」って凄いことなのか?

  振り込みを済ませて、その足で「やぶ久」に昼食を食べに行く。本日の日替わり定食は「キス天丼とおろし蕎麦」。素敵な組み合わせだ。迷わず注文する。最初にキス天丼を平らげて、その後でおろし蕎麦を平らげる。逆はありえない。腹ごなしにくまざわ書店に行き、柴田元幸『バレンタイン』(新書館)、東海林さだお『うなぎの丸かじり』(朝日新聞社)、ヴェルナー・ゾンバルト『恋愛と贅沢と資本主義』(講談社学術文庫)を購入。

          
              西蒲田五丁目で一番の蕎麦屋

  帰宅すると、98年に社会学専修を卒業したKさんから宅急便が届いていた。20センチ×10センチ×5センチくらいの大きさ箱にマンゴーと印刷してあったので、一瞬、ガリガリ君マンゴーを送ってきたのかと思ったが、無論、そんなはずはなく(クール宅急便でなく普通の宅急便だし、そもそもガリガリ君マンゴーなんかをわざわざ送って寄越す人なんているはずがない)、その箱はたんなる入れ物で、中には北海道の六花亭のレーズンバターサンドだった。同封の絵葉書(支笏湖)によると、彼女はコロンビア大学での2年間の留学(組織心理学の勉強)を終えて、休職中だった外資系のコンピューター会社に職場復帰したのだが、先週末に北海学園大学で開催された産業・組織心理学会で研究発表を行って、レーズンバターサンドはそのときのお土産というわけ。律儀な人である。絵葉書だけでも十分に律儀だが、レーズンバターサンドまで送って寄越すとは、ホント、律儀である。絵葉書の几帳面な文字を見ながら、そう思った。
  懐かしい人からの連絡というのは続くもので、夜、99年に社会学専修を卒業したOさんからメールが届いた。長年勤めた情報誌の会社を退職し、インターネットの検索エンジンの会社に転職したことの連絡だった。彼女とは卒業式のときに会ったのが最後であるから、7年半ぶりのコンタクトである。突如、私のことを思い出してくれたらしい。バリバリ仕事をやっている女性にとって、30歳前後というのは転職の適齢期なのであろうか、これまでにも「転職しました」という連絡が何人かの卒業生から届いている。そして転職というのは明らかに人生の転機となる出来事の一つであり、これまでの人生やこれからの人生に自然に思いが向かうのだろう。前進するためには、一旦、立ち止まる必要があるのだろう。

          
              西蒲田五丁目12番地で一番の猫