フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月16日(土) 晴れたり曇ったり

2006-09-17 03:10:22 | Weblog
  穏やかな秋の一日だった。昼間はずっと書斎に籠もって論文の執筆。タイトルは「清水幾太郎における『庶民』のゆくえ」にほぼ決定。5章立ての3章まで書き終わる。5章立ての論文の場合、2章と3章が峠である。そこを越えると、それまでの議論の流れや残りの紙幅の制約上、もうコースが変化する余地はあまりなくて、後の4章と5章はほぼ道なりに書き進めていけばよい。いつもの夕方の散歩は、せっかく活性化している脳細胞が沈静化してしまうといけないので今日は取り止めて、3階のベランダからしばし夕日を眺めるだけにした。

        
                    秋の陽はつるべ落とし

  風呂から出て、夕食の時間になるのをのんびり待っているときに、事件は起こった。飼い猫のはるが屋外に逃亡したのである。正確に言えば、逃亡したことが発覚したのである。夕食の餌を与えようとして、「はる~」と呼んでも、いつものように姿を現さないのである。最初、三階建の家の中のどこかに潜んでいるはずと高をくくっていたのだが、そういう場合に鳴らせば飛んでくる小さな鈴の音にも何の反応もないので、これはもしかしたら…と、逃亡の可能性が否定できなくなった。みんなで手分けして「はる~、はる~」と名前を呼びながら近所を探す。しかし、すでに陽は沈んでいて、路上はまだしも、人家の庭や、人家と塀の間の隙間といった猫の潜んでいそうな場所は暗がりになっている。しかも逃亡してからかなり時間が経っているようなので、わが家の周辺にはもういないかもしれない。猫は犬と違って迷子になりやすい。ましてわが家の猫は屋外はまったくの初心者である。夕食の後、もう一度みんなで探し、それでも見つからなければ、明日、「迷子の猫探してます」の貼り紙をあちこちに貼ろう、迷い猫を探すのが得意な探偵というのもいるらしいから依頼してみるかと考えていた矢先、祖母と隣のおばさんの二人組が近所の家の庭先に潜んでいたはるを発見した。近所でよく見かける野良猫が「ウー」と唸っているので行ってみると、そこにはるがいて、「ウー」と唸り返していたのである。すぐに私と息子が駆けつけて、人家と塀の隙間に逃げ込んだはるを前後から追い詰めて、最後は私が押さえつけて捕まえた。捕まったはるは不本意であったらしく、「ウー」と唸り続けていたが、息子は私に「噛まれても、引っ掻かれても、絶対に離しちゃダメだ」と言った。自宅に連れ帰ったはるは、長時間の散歩に満足したのか疲れたのか、食事の後、干したばかりのほの温かい蒲団の上に横になってすやすやと寝てしまった。

          
                 やっぱり我が家が一番