フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

8月8日(水) 晴れ

2007-08-09 03:37:55 | Weblog
 朝、7時起床。本当はもう少し寝ていたいのだが、明るいせいか、年を取ったせいか、目が覚めてしまう。午前中は何通かメールを書く。
 社会学演習ⅠBの学生たちにはコースナビのお知らせ機能を使って、夏休みの推薦図書について。前期の授業のテーマは「自己と他者」であったが、このテーマを個人の水準ではなく、社会(集合意識)の水準で展開してみると、戦中・戦後の日本社会にとっての他者はアメリカであったわけで、そうした観点から以下の3冊を紹介した。

  吉見俊哉『親米と反米』(岩波新書)
  三浦展『「家族」と「幸福」の戦後史』(講談社現代新書)
  山田昌弘『希望格差社会』(ちくま文庫)

 同じくコースナビのお知らせ機能を使って、基礎演習21の学生たちには、夏のレポートのための副教材として、斉藤孝『原稿用紙10枚を書く力』(大和文庫)を勧めておいた。夏のレポートの分量は400字詰原稿用紙換算でちょうど10枚なのだが、1年生にとって10枚という分量は相当なものだろうと想像する。大きな川の岸に立って、はたして自分が向こう岸まで泳いで渡ることができるだろうかと、呆然としている学生もいるかもしれない。そういう学生にとっては本書はきっと頼もしい味方になってくれるはずだ。たとえば「引用」について書かれている箇所は参考になる。簡単な話、参考文献から3枚相当の引用をすれば、残り7枚を自力で書けばよいことになる。もちろんただ引用すればよいというわけではなく、引用部分が自分の思考を刺激し(読者の関心も刺激し)、それとうまくリンクして展開していくようにもっていかなくてはならないのだが、その辺の呼吸を本書は上手に説明している。たぶん本書は1年生のみならず、卒論に取り組んでいる4年生にも参考になるだろう。原稿用紙10枚というのは、論文の節の単位としてちょうどよく、それがいくつか組み合わさって章になり、章がいくつか組み合わさって論文になるわけだから。
  メールをひとわたり書き終えて、お気に入りに登録してあるブログを巡回していたら、今春、社会学専修を卒業して地元高知で働いているMさんのブログが久しぶりに(約1ヵ月ぶりだ)更新されていた。今朝、通勤電車の中から携帯を使って更新したようである(Mさんは自宅にインターネットを引いていないのである)。何かコメントを書き込もうかと思ったが、ちょうど昼休みの時間になろうとしていたので、ケータイにメールを送った。書斎の窓からは青空に浮かんだ白い雲が見える。TVドラマ『彼女たちの時代』で、深津絵理演じる主人公は、会社のトイレの窓から空を見上げて、「また夏が来たんだ・・・」と呟いていた。人生最初の夏休みらしい夏休みのない夏をMさんたちは迎えている。職場のビルの窓から、Mさんたちもこの夏の空を見上げているのだろうか。

           

  Mさんからの返信のメールは夜になって届いた。帰宅してから書いたのだと思うが、もしかしたら帰りの電車の中からかもしれない。職場にも慣れ、先日、2日間の休みをとって土日と合わせて4連休になったときは、休み過ぎのような変な気分がしたそうだ。う~む、4連休で休み過ぎですか。人間の環境適応能力というのはやはり大したものである。でなかったら、とてもやってはいけまい。メールの末尾には、とんかつの食べ過ぎはダメですよと書かれていた。学生と卒業生の違いがこんなところに表れている。