フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

8月12日(日) 晴れ

2007-08-13 00:13:18 | Weblog
  義父の墓参りに横浜の三沢墓地に行く。義母、義姉、妻、息子、私の5名で横浜駅からタクシーに乗る。二台に分乗するつもりでいたら、タクシー乗り場の案内人が「5人乗りのものがありますよ」というので乗ったのだが、詰め込めば乗れないことはないという程度のものだった。私は前の席(助手席)に座ったからいつもと変わらなかったが、後ろの席の4人はギュウギュウ詰めだった。お盆の墓参りは7月にすませた人たちが多いのだろう、墓地に人影はほとんどなく、真夏の青空と白い雲が墓地の上に広がっていた。今日も本当に暑い。

           

  墓参りをすませ、タクシーで横浜駅に戻る。今度は二台に分乗かと思ったら、女性たちはまた一台でいいという。ギュウギュウ詰めの苦痛より節約観念が勝るようである。駅ビル内のレストランで昼食をとり、義母、義姉、妻の三人は鷺沼の家に向かい、私と息子は蒲田に帰る。息子はすぐに帰ったが、私は高島屋6Fの伊東屋で文房具を見てから帰ることにした。伊東屋では何も買わなかったが、駅ビル内の通路の露店で一本1000円で売っていた小津安二郎の『東京物語』と『一人息子』のDVDを購入。構内の壁や柱に駅ビルのポスターがたくさん貼られていた。赤いドレスを着た強いまなざしの女性だった。19世紀ロシアの画家クラムスコイの「忘れえぬ人」を思い出す。

           

  夜、宅急便で桃が届く。群馬の親戚が岡山の業者に注文して送って寄越したものだが、開けてみると、3分の1くらいが腐っていた。母が業者に電話をして事情を話すと、明日、回収にくるとのこと。どうして冷蔵にして送って寄越さなかったのかと尋ねたら、発注されたお客様がそのように指定されなかったのでという。アホか。桃の生産者なら完熟に近いももを普通のダンボールに入れてこの猛暑の中を、しかも帰省ラッシュで渋滞する道路を、岡山から東京までトラックで運んだらどうなるかわかりそうなものだ。その点をちゃんとお客に説明して、しかるべき対応をすべきだろう。かろうじて無事だった桃を冷蔵庫に入れる。業者は全部回収しますといったが、回収して持って帰ったら、今度こそ全部だめになる。それでは桃がかわいそうだ。桃子・・・と八木重吉のようにつぶやいて、桃の産毛をなでてみる。