うららかな春らしい一日だった。書斎の窓から差し込む日差しの中で『戸村飯店青春100連発』の第4章を読む。兄ヘイスケの視点から書かれた章だ。私には、弟コウスケの視点から書かれた章よりも、こちらの方が面白い。一応、兄弟が主役の小説ということになっているが、作者の重心は兄ヘイスケの方に傾いているように感じられる。
遅い昼食をとりがてら散歩に出る。東急プラザの5Fの「シビタス」でホットケーキを食べるか、梅屋敷商店街の「琵琶湖」でナポリタンを食べるか、玄関を出てちょっと迷ったが(前者であれば左、後者であれば右へ歩きださなばならない)、外光の入る「琵琶湖」へ行くことにした。日曜の昼下がりの商店街は、平日の夕方とは違って、余暇としての買物を楽しむ人たちが多い。歩く速度もゆっくりしている。不動産屋の硝子戸に貼ってある物件案内をながめる。私の人生には「上京して一人暮らし」というシーンがなかった。それが残念でならない。一人暮らしをするなら、活気のある商店街のある町がいい。
「琵琶湖」には5組ほどの客がいた。主人は今日もまた常連客とプロ野球の話をしている。巨人のふがいなさを懇々と語っている。よほどの巨人ファンのようである。ここのナポリタンにはスプーンはついてこない。フォークだけで食べるのだ。うん、これがナポリタンの正しい食べ方である。スプーンとフォークの二刀流で食べるのは、おにぎりをお箸で食べるようなものだ。粉チーズの入ったプラスチックの容器に「チーズ」と書かれたラベルがセロテープで貼られているところもよい。他の何と間違う可能性があるのかはわからないが、親切なのはよいことだ。
食後の珈琲を飲みながら『戸村飯店青春100連発』の第5章を読む。高校を卒業したら父親の店を継ぐつもりでいた弟コウスケが、急遽、大学進学という展開になった。なるほど。最後の第6章は帰宅してから読んだ。素敵なエンディングだった。この私としたことが、危うく涙がこぼれそうになった。これから読む人のために説明するのはやめておく。
遅い昼食をとりがてら散歩に出る。東急プラザの5Fの「シビタス」でホットケーキを食べるか、梅屋敷商店街の「琵琶湖」でナポリタンを食べるか、玄関を出てちょっと迷ったが(前者であれば左、後者であれば右へ歩きださなばならない)、外光の入る「琵琶湖」へ行くことにした。日曜の昼下がりの商店街は、平日の夕方とは違って、余暇としての買物を楽しむ人たちが多い。歩く速度もゆっくりしている。不動産屋の硝子戸に貼ってある物件案内をながめる。私の人生には「上京して一人暮らし」というシーンがなかった。それが残念でならない。一人暮らしをするなら、活気のある商店街のある町がいい。
「琵琶湖」には5組ほどの客がいた。主人は今日もまた常連客とプロ野球の話をしている。巨人のふがいなさを懇々と語っている。よほどの巨人ファンのようである。ここのナポリタンにはスプーンはついてこない。フォークだけで食べるのだ。うん、これがナポリタンの正しい食べ方である。スプーンとフォークの二刀流で食べるのは、おにぎりをお箸で食べるようなものだ。粉チーズの入ったプラスチックの容器に「チーズ」と書かれたラベルがセロテープで貼られているところもよい。他の何と間違う可能性があるのかはわからないが、親切なのはよいことだ。
食後の珈琲を飲みながら『戸村飯店青春100連発』の第5章を読む。高校を卒業したら父親の店を継ぐつもりでいた弟コウスケが、急遽、大学進学という展開になった。なるほど。最後の第6章は帰宅してから読んだ。素敵なエンディングだった。この私としたことが、危うく涙がこぼれそうになった。これから読む人のために説明するのはやめておく。