フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月18日(土) 曇りのち雨

2011-06-19 02:21:55 | Weblog

  8時、起床。カレー、バタートースト、牛乳の朝食。
  ブログの更新をしてから、耳鼻科へ行く。昨日は授業中、声がかすれ気味で、帰りの電車の中で咳が出ていた。7種類の薬が処方される。ただし、そのうち2種類は熱が出たときようなので、当面は飲まなくてよい。

  午後、散歩に出る。下丸子の「喜楽亭」に昼食をとりに行く。「喜楽亭」は駅の改札を出た横にあるので、電車が止ったときは店の前は、一瞬、人通りが多くなる。しかし、すぐに潮が引くように、閑散とする。

  ランチタイムのど真ん中であったが、客は私ひとり。静かな時間が流れている。マガジンラックの「週刊文春」は去年の12月のものだった。もしかしたら時間は、静かに流れているのではなくて、止っているのかもしれない。前回がロースカツ定食だったので、今日はヒレカツ定食を注文。

 

 

  ヒレカツ定食は旨かった。写真には写っていないが、今回も小鉢を一品(竹の子と若布)サービスしてもらった。ビール・酒を注文した客へのお通し用とのこと。前回同様、ご主人と四方山話をする。昔からの店でいまでも続いている店はほかにはどこですかと聞いたところ、「松芳寿司」「龍華」「豊田屋」(和菓子)の3つだそうである。「龍華」はこの間入った定食屋さんである。中華料理店のような名前ですが、最初はそうだったんですかと聞いたら、最初から定食屋さんだったように思うとのこと。そうなんだ。喫茶店で昔からやっているところはありますかと聞いたら、向いのビルの2階の「コロラド」が30年くらい前からやっていますとのこと。30年というとかなりのものだと思うが、その程度では「昔からの店」には入らないようである。「喜楽亭」を出るとき、通りすがりの男性がびっくりしたような顔で私を見て、「営業してるんだ、この店」というような表情をした。食後のコーヒーは「コロラド」で。

 

  多摩川まで行って、せせらぎ公園(多摩川園の跡地)を散歩してから、多摩川駅前の商店街を歩いていたら雨がポツリポツリと落ちてきた。土手歩きはまたにして、蒲田に戻り、駅前の格安チケット店で是枝監督の『奇跡』のチケットを購入。品川プリンスシネマに観に行く。

 

 

  離婚した夫婦がいて、父親と次男は父親の地元の博多で、母親と長男は母親の実家のある鹿児島で暮らしている。兄弟はいつかまた家族4人で暮らせる日のために連絡をとりあっている。長男は火山灰の降る鹿児島になじめずにいる。弟は博多での生活を一生懸命に楽しんでいる。ある日、長男は開通したばかりの九州新幹線の上り下りの一番列車が熊本あたりですれ違うとき、願い事をすると願いが叶うという噂を耳にする。よし、家族がまた一緒に暮らせますようにと祈るんだと、弟に呼びかける。それぞれが学校の友だちを計画に引き入れて、新幹線が交差する場所、川尻という田舎の駅に集合する。親切な老夫婦の家に泊めてもらい、翌朝、新幹線がすれ違う瞬間、トンネルの上で、7人の子どもたちはそれぞれの願い事を叫ぶ。しかし、兄弟は当初考えていたのとは別のことを願うのだった。・・・一言で云えば、ここでいう「奇跡」とは、子どもの成長ということである。子どもは成長する。それは当たり前のことのように見えて、実は、すごいことなのだ。そして子どもの成長は周囲の大人たちも変えていく。大人もまた成長を続けるのだ。そういう生涯発達心理学的なテーマの映画である。現代人間論系の人間発達論プログラムのためにあるような作品である、と牽強付会的にまとめてみる。子どもたちがそれぞれの願い事を語る場面は、是枝監督の『ワンダフルライフ』の中で、素人の出演者たちが自分の人生で一番印象に残っている出来事を語る場面や、プロの俳優たちが自分の人生の一番古い記憶を語る場面で用いたような、台本のないフリートークの演出である。フィクションが、一瞬、ノンフィクションになる、独特の演出である。主演のまえだまえだの二人がいい。そして、パンフレットに写真は載っていないが、保健室の先生を演じた中村ゆり、親切な老夫婦を演じたリリィと高橋長英のことも忘れてはならない。