フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月26日(日) 曇り、夕方から霧雨

2011-06-27 00:32:45 | Weblog

  8時、起床。ブログの更新をすませたから、ハムとレタスとパンと牛乳の朝食。
  午後、散歩に出る。下丸子の「喜楽亭」で昼食をとる。驚いたことに(というのは失礼だが)、店に入ると、客が二人もいた。中年の男性客と中年の女性客。それぞれ「お一人様」で別々のテーブルに着いていた。私も別のテーブルに着いたので、5つあるテーブルの3つが埋まった。これは稀有の情景ではないだろうか。チキンカツ定食を注文。ここはカツが旨いということがこれまでの経験からわかったのだ。ちなみに中年の男性客はメンチカツ定食、中年の女性客は炒飯を食べていた。冷蔵庫の上に置かれたラジカセから、FENだろう、英語の曲がずっと流れていた。ご主人との会話もいつもより心持ち弾んだ感じがした。

  食後のコーヒーは、蒲田に戻って、「テラス・ドルチェ」で、穂村弘『君がいない夜のごはん』(NHK出版)を読みながら。「食べ物」をテーマにしたエッセイ集だが、これがなかなか面白い。女性編集者と話をしているときに、彼女が「カレーは温かいのいいって云う人が多いけど、私は御飯かルウのどっちかが冷たい方が好きなんです」と言われて、穂村は「おおっ、俺もです!」と、興奮のあまり「俺」と言ってしまった。確かに、僕も、そう思う(思わず「僕」と言ってしまった)。そして、どちらかと言えば、私は温かい御飯に冷たくなったルウという組み合わせの方が好きである。

  「テラス・ドルチェ」を出て、ジムに向かう。久しぶりのジムである。何か忘れているような気がしたが、案の定、フェイスタオルとバスタオルを忘れていた。310円払ってレンタルする。筋トレは軒並み負荷をワンランク落として2セット。有酸素運動はいつものクロストレーナーではなく、ウォーキング&ランニングを20分。いつもより短く切り上げる。外に出ると、霧雨が降っていた。傘を差すほどではなく、深呼吸をすると気持ちがよい。コンビニでガリガリ君(ソーダ)を買い求めて、コンビニを出たところ=大田区役所前で頬張る。「緑のコーヒー豆」で水分補給と読書の続き。

  そこが自宅の寝室であれ、旅先のホテルの部屋であれ、あるいは入院中の病室であれ、そこには必ず窓があり、一日はその窓から始まる。長田弘の詩集『世界はうつくしいと』の冒頭に載っている詩、「窓のある物語」をここに書き写しておこう。

  窓の話をしよう。
  一日は、窓に始まる。
  窓には、その日の表情がある。
  晴れた日には、窓は
  日の光を一杯に湛えて、
  きらきら微笑しているようだ。
  曇った日には、日の暮れるまで、
  窓は俯いたきり、一言も発しない。
  雨が降りつづく日には、窓は
  雨の滴を、涙の滴のように垂らす。
  ことばが信じられない日は、
  窓を開ける。それから、
  外にむかって、静かに息をととのえ、
  齢の数だけ、深呼吸をする。
  ゆっくり、まじないをかけるように。
  そうして、目を閉じる。
  十二数えて、目を開ける。すると、
  すべてが、みずみずしく変わっている。
  目の前にあるものが、とても新鮮だ。
  初めてのものを見るように、
  近くのものを、しっかりと見る。
  ロベリアの鉢植えや、
  体をまるめて眠っている老いた猫。
  深煎りのコーヒーのいい匂いがする。
  児孫のために美田を買うな。
  暮らしに栄誉はいらない。
  空の見える窓があればいい。
  その窓を大きく開けて、そうして
  ひたぶるに、こころを虚しくできるなら、
  それでいいのである。