フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月5日(金) 晴れ

2019-04-08 14:26:11 | Weblog

8時15分、起床。

トースト、ハッシュドビーフ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

午前中に妻と東口の三井住友銀行に行って口座の開設と一時払い個人年金についての説明を聞く。金融関係のことは妻任せなのだが、私の名義でやるとなると(当然のことながら)本人が行かないとならないのである。

お昼に家を出て、大学へ。研究室のカレンダーをめくる。新学期だ(ただし私の授業は来週の火曜日から)。

昼食は「たかはし」に食べに行く。

信頼の(「王道の」と言い換えてもいい)豚肉生姜焼き定食。 

ご飯がすすむ、すすむ。ご飯は軽めで注文したので、すぐになくなってしまった。 

「たかはし」ではただいまアルバイト募集中。 

本部に用事があって出向く。

 

用件を済ませて、戸山キャンパスへ。ちなみに「戸山キャンパス」というのは正式名称で、学生たちは「文キャン」と呼んでいる。「文」は「文学部」「文化構想学部」の「文」、さかのぼれば「第一文学部」「第二文学部」の「文」である。 

スロープの桜はだいぶ散ってきているが、まだなんとか見頃を保っている。 

授業の開始は明日(土曜日で授業は少ないから、事実上、来週の月曜日)だが、学生たちの姿も増えてきた。 

 教員ロビーで38AV教室のAV器機の鍵を借りて中に入る。

 木曜5限の講義「日常生活の社会学」を今季はこの教室で行うのだが、事前にAV器機等のチェックを行う(授業初日にあたふたしたくないので事前チャックはかかせない)。

飛行機のコックピットのようである。 

上板をスライドさせると中にマイクとAV器機のリモコンとホワイトボード用のマーカーが入っている。 マイクの具合をチェック。

常設PCでパワポの資料をプロジェクターでスクリーンに映して教室の照明の設定とスクリーンの見やすさの兼ね合いをチェック。 

下の扉を開けるとVHS、DVD(ブルーレイ)、CD、MD等の器機が収納されている。MDが使えるのはここと36号館382教室だけだ。VHSが使える教室も限られている。 持参したDVDとVHSの映像資料をスクリーンに映してみる。プレビューモニターの画面が出ないので、故障かと思ったら、なんのことはないモニターのスイッチが入っていなかった(スイッチがスイッチだとわかりにく場所にある)。

卓上の図画カメラを使ってみる。 

以上でチェック終了。これで安心して講義に臨める。

お八つの時間。「よしかわ」で買ってきたおはぎ(つぶあんときな粉)を研究室で食べる。 

教員ロビーのメールボックスに、松浦莞二・宮本明子編『小津安二郎大全』(朝日新聞出版、3800円)が届いていた。編者の一人、宮本明子さんが送ってくださったのだ。彼女は現在、同志社女子大学の助教をされているが、以前は東工大の助教、さらにその前は早稲田大学文化構想学部現代人間論系の助手をされていた。『小津安二郎大全』というタイトルからは小津の全作品の紹介・解説のようなものを予想させるが、そうではない。そういうパートもあるが(第7章「全作品ディテール小辞典」がそうだ)、それを全体の一部として含むような、「小津安二郎の人と作品」と言うタイトルがふさわしい本である。実際、本書には作品についての研究者の論稿だけでなく、小津の人生年表的伝記、小津作品に出演した女優たち(香川享子、岩下志摩、司葉子)や製作にかかわった人たちへのインタビュー、小津安二郎のファンを自認する人たちのエッセーなどがふんだんに収められている。

私が真っ先に読んだのは私の句会仲間である紀本直美さんと宮本明子さんの対談「小津安二郎の俳句を読む」である。公開されている小津の日記には自作の俳句が50句ほど書かれているそうである。その中から4句を選んで、二人が語りあっている。その4句とは、

 青梅も色づくままに酒旗の風

 草市や氷白玉ゆであづき

 いづこかに夕立ありし冷奴

 未だ生きてゐる目に葉の花の眩しさ

最初の3句は飲食がモチーフになっているが、実際、小津には飲食をモチーフにした句が多かったそうだ。下戸で甘党の私には一句目よりも二句目の方がよくかわる。三句目の冷奴の句は、文人俳句の巨匠・久保田万太郎の代表作「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」を意識しているところが感じられる。湯豆腐に対して冷奴。老境の句に対して働き盛りの句。最後の句は老境の句ではなく、兵隊として中国にいたときの句である。いずれも句会に出すために作った句ではなく、日記に書きとめられた句であるが、句会に出しても入選間違いなしのレベルの作品である。俳句は短い作品だけに、その人の人生観や美意識が端的に表れやすいと思う。彼の俳句を通して彼の映画にアプローチすることもできそうである。

4月18日(木)20:00から(22:00まで)、下北沢の「本屋B&B」で、編者の松浦と作家の北村薫が出版記念のトークイベントを行わる。詳しくは→こちら

また、4月19日(金)19:00から(20:30まで)、「青山ブックセンター」で、編者2人と作家の保坂一志さんによる出版記念のトークイベントが行われる。詳しくは→こちら

夕食は具だくさんの鶏肉団子汁、チーズ入り薩摩揚げ、シラスおろし、サラダ、ご飯。 

2時、就寝。