嗚呼、オーベルジュへの道

長野県佐久市にあるホテル「おいまつえん」CEO兼こづかいさん(爆)の日常

987ボクスタードライビングマニュアル TIP-Sの考察ー3 さる道2012にて

2012-05-23 19:13:44 | 987ボクスター・ドライビングマニュアル

Dsc03259 さて、予習はこれくらいにして(もういいのかい)、いよいよさる道2012へと突入いたします。

一連のさる道は「元祖さる道」「新さる道」「奥のさる道」などなど、各地に点在しており、それぞれによろしい(爆)。なかにはいぢわるなコーナーや路面が組み合わさった厄介なコースもないではないのですが、キホンクルマとドライバーにやさしい、楽しめるワインディングロードです。すべてのさる道に共通するのは交通量がまばらなこと、で平日の昼間などには完全に貸切となることも多いドライブルートでございます。

今回乗り込んだこの「さる道2012」はどん詰まりにあるダムで道が途絶えてしまう関係で、対向車にはまずお目にかからない、が山肌からはこぶし大、あるいはスイカ大の石が、運が悪いともろに岩(完全意味明瞭)が転げ落ちていることも多く、ひっちゃきになってぶっ飛ばしているとこっぴどい目に遭うのがオチ。こんかいはあくまでの「Dレンジの考察」でございますから、じんわりと・・・

さて、そんなときにふと脳裏をよぎるのがMY08 987ボクスターに付属のトリセツ145ページの記載でございます・・・以下抜粋

「D」の位置は、通常走行時に使用します。車速とアクセルの踏み込み方により、前進ギアが自動的に切り替わります。

ギアチェンジの特性は、アクセルペダルの踏み込み方や車速、エンジン回転数および通常の加速、コーナリング時の横方向の加速、地形に応じて変化します。コーナー手前の急激なスロットルの戻しを感知して、コーナリング手前のシフトアップを防ぎます。コーナリング中は横方向の加速を感知してエンジン回転数がレブリミットに達するまで、現在のギヤが維持されます。限界を超えなければ、ギアはシフトアップされません。

ブレーキを踏むと、減速の程度に応じてギヤは自動的にシフトダウンされ、エンジンブレーキがより効果的に作用します。コーナー手前でブレーキをかけた場合は、コーナーを曲がりきってアクセルを踏むときにシフトダウンしなくてもよいように、最適のギヤが選択されます・・・抜粋ここまで

Dsc05993 イヤッホ~、てなもんですよ!んま、ニッポンの路上でこいつをすべて実現させるのにはまあフツーの県道や酷道ではムリ!かといって拘束道路では更にムリ、ときている(爆)。人里はなれた山道でこそ、楽しめる、というものでございます。

結果、どうやらTIP-Sのなかにいらっしゃるという5人目の「あのお方」にもお目にかかれたようで、非常に過激なシフトスケジュールを味わわせていただきました。ドカーンというショックを伴って2速に落ちた(5人目のお方が登場している証拠ですね)瞬間にはトリセツ読んでよかった~、となったのですた(おそすぎだって)。

ちなみにトリセツにはレブリミット近辺でのシフトアップを起こさせないウラワザもきっちり語られているのですが、U教授からは「あんまり回すんぢゃない」、とキツく言い渡されているので(爆)、今回はDレンジシバリで楽しみましたが、素晴らしい、の一言!それにしてもトリセツまでこの過激さですよ!さっすがポルシェ、といわざるを得ません。入手からはまだ、ほんの6000kmほどですが、すでに満腹状態(はやい)。

まあね、さる道は普通に流しても非常に楽しいし、キモチよいのでそのうちまた出かけてみるといたしましょう・・・って、さる道2012はさも痔元にあるワインディングみたいにして語ってますけど、じっさいのところ、ダムの対岸はサイタマなんすよね~(爆)。


987ボクスタードライビングマニュアル TIP-Sの考察ー2 ロックアップのスリップ制御?

2012-05-23 11:47:55 | 987ボクスター・ドライビングマニュアル

Dsc05985 「さる道2012」に乗り込む前に、少々学んでおかねばなりません・・・ATのレキシというか開発の道程を資料がそろう限り読み漁ってみたのですが、これが面白いなんてえもんぢゃない。

ミッションの開発に携わっていた経験を持つ北海道のU教授から、断片的な知識だけは授かっていたのですが、お互いに忙しく、みっちり講義を受ける(爆)などという機会のないまま、世間話のなかで断片的に積み重ねて参りました。が、興味はあるものの、トルコンATに関してはそれこそ聞きかじりレベル。今回の勉強会に際しては書籍類(ザッシも含む)を捨てられない体質のおかげで(爆)、本棚や押入れから発掘された、これはと思われる関連図書が優に10冊を超えてしまいました。

古くは87年刊行の『あなたがやってる!間違いだらけのAT車テクニック/黒沢元治(!)』などというレア本から、ご存知ポールフレール著「BOXSTER STORY」ストーリー(なんと3500円!当然アマゾンマーケットプレイスで1000円ちょぼで購入)まで、参考図書にだけは困らない、というわけです。

というわけで何日もかかって各図書を紐解いてまいりますと、ボクスターに搭載のA87/01と呼ばれるティプトロニックギアボックスにはロックアップ時のスリップ制御なる高度なコンピューター制御が搭載されている、との記述発見・・・ロックアップはいまや常識といえるAT内部のメカニズムとして認知されていますが、その制御だなんてお話になるとなかなか・・・

Dsc03258 以下ポールフレール著「Boxster Story」より抜粋

トルクコンバータによるトルク増大作用が得られなくなるまでエンジン回転が高まると、ロックアップクラッチがエンジンのフライホイールとギヤボックスのインプットシャフトを直接結合する。これにより、トルクコンバータのスリップによる伝達効率の低下を防ぐことができる。またロックアップが働くとスロットル操作に対する車の反応がより機敏となり、MTに近い感覚になる・・・

とまあ、これがロックアップの概要。以下、更に抜粋

しかし、トルコンをバイパスするとクランクシャフトのトルク変動(レシプロエンジンには付き物で、特に低回転時に顕著)を緩衝する作用が得られず振動や騒音の軽減の点で不利になる。そこでロックアップ機構はクラッチを単に解除・結合するだけでなく、必要に応じてわずかにスリップさせることで、伝達損失を最小限にとどめながらクラッチの解除から結合への滑らかな移行と、振動や騒音の軽減を図っている(いわゆるスリップ制御)。

抜粋ここまで

・・・どひゃ~、これこれ。このあとに各ギアでの解除と結合、さらにスリップ制御がなされる速度域が詳細に記述されているでわありませんか!

いかおまけ(爆)

1速:ロックアップなし

2速:~24kmh:解除 29~35kmh:スリップ制御 35kmh~:結合

3速:~24kmh:解除 29~48kmh:スリップ制御 48kmh~:結合

4速:~35kmh:解除 37~48kmh:スリップ制御 48kmh~:結合

5速:~43kmh:解除 48~58kmh:スリップ制御 58kmh~:結合

ううむ、じつにこれがTIP-Sの発進直後のマナーに関連する制御だったわけです。快適な低速フィールと引き換えにダイレクト感にいまひとつ欠ける、というわけですが、こうしてロックアップクラッチの苦労(爆)を知ってみれば、これもまた納得できるというものです。『いまとなっては旧型のトルコンだから』といって片付けるのは簡単ですが、それはなにも知らないのと同じ。こんごはロックアップクラッチに感謝しつつDレンジに身をゆだねるといたしましょう(そうくるか)。