今、日経の連載小説等伯が面白くなっています。
前回の韃靼の馬も最初はつまらなかったのが、どんどん面白く
なったのと似ています。
今絵に詰まった等伯のために自分の人となりを知ってもらうように
モデルの僧から法話を聞くというシーンなのですが、その話の中で、
古今和歌集の奥義を伝授される話が出てくるのです。
奥義は一族の秘伝で一子相伝のものであるが、それを聞いたとて
歌が優れたものになるという気がしないというのです。
一門の秘技秘伝の類は、珈琲の世界にも多く存在し、それを売りにした
セミナーも多数存在します。
おかしなことに珈琲の淹れ方を人前では見せないという人もいます。
焙煎でも同じことです。
一人で悩みを抱えている人を食い物にしているようなその秘伝の
伝授も昨今のマニュアル化やビジネスモデルの話からすると随分古色蒼然
とした世界ですが、焙煎に悩む人には真剣な話です。
昨今のセミナーでは、お互いのやり方をすり合わせよりおいしいものを作る
アイデアを結実させようとする動きもあります。
一人でやらずにお互い切磋琢磨して、市場拡大を図るという意味でもそちら
のほうが正しいでしょう。
ただ、珈琲の場合どういう風に成ったらおいしい珈琲というのも人それぞれな
ところがあり、名人といわれる人でもそれが明確になっていない人も見かけます。
まずはそれを明確にしなくてはいけないのに、ただ人にすがって自分の焙煎を
グレードアップさせたい人がいるので、セミナーも多数存在し繁盛しているので
しょう。
ただ、うまいというのは意外と単純で、うまいというのは誰でもうまいと感じる
ものであり、いくら人気のセミナーでも飲んでみてうまくなかったら習う必要は
ないのです。
そんな当たり前のことが、人頼りの人には解らないのでせっかくセミナーを
受けても味に変化なしというケースもよく見かけます。
実際有意義な珈琲の奥義は、結構オープンになっていてどこでも聞けます。
ただ、それを知ってはいても実践していない人も多くいます。