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金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
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222:篠綾子 『藤原定家謎合秘帖 幻の神器』

2019-12-19 21:18:52 | 19 本の感想
篠綾子『藤原定家謎合秘帖 幻の神器 (角川文庫)』(角川文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

鎌倉前期の高名な歌人・藤原定家はある日、
父・俊成から三種の御題を解けば「古今伝授」を授けると言われるが、
数ヶ月後、俊成は何者かに誘拐される。
その目的は一体どこに?
鍵を握るのは御題の暗号解読。
美貌で毒舌の僧侶・長覚と、紀貫之と同じ紀氏の血を引く少年・潮丸と
協力して、父・俊成の救出に奔走する定家。
伝統的な和歌の修辞法と謎合わせをモチーフに
公家社会の権力の闇に迫る、平安鎌倉ミステリシリーズ開幕!

*********************************************

「藤原定家謎合秘帖」なんてタイトルがついてたら期待するでしょ!
定家が和歌の天才らしい知識と機転を駆使して
謎を解決するストーリーを!!

ところがどっこい!

定家、役立たず。
彼のアイデンティティの根幹を担っているはずの
和歌に関してすら、たいした活躍もしない。

序盤なんか、政争に関してやたらカッカとしていて、
「この人、そんなにそっちに思い入れあるの……?」
と違和感ばかりが募る。
同じ著者の「更紗屋おりん」ではそこまで雑な印象がなかったんだけど、
なんだか人物の描き方が表面的で、
途中で「読むのやめようかな」と思ったほど。

100ページを過ぎ、長覚と潮丸が登場してから
ようやくおもしろくなってきて、あとは一気読み。

ただ、話が壮大なわりに、
その中心となる「古今伝授」に関する設定がふわふわしてて、
終盤の展開もまったくすっきりしなかったのが残念。

序盤で「古今伝授」が和歌に関することだけでなく
何やら政治に関する重大な教えを含んだものであるらしい、と
示され、政敵や九条家がそれを知りたがるんだけど、
おかしくない??
そんな政治生命を左右するようなものが、
どうして摂関家でなく、官位に恵まれなかった
紀貫之や俊成に伝わってるのよ……。
おかしいとは思わないのか、みんな!

読み進めていくうちに、紀氏に伝承されているのは
それなりの理由があったとわかるんだけど、
「和歌を得意とした」という共通点があるだけで
どうして紀氏から俊成に伝承されたの?
その理由は「わからない」となっていたけど、
わざわざ伝える必要性を感じないんだよな~。

あやしいやつは序盤から「こいつあやしいな」だったし、
古今伝授の三つのお題についても
全然「そうだったのか!」感がなく、
話の展開上、こじつけたように思える。
(そもそも、伝授を受ける人間が
自分で考えなくていいって、おかしくない??)

文句ばっかり書いたけど、長覚と潮丸のキャラはよかったし
彼らの掛け合いもおもしろかった。
おもしろいところと納得いかないところの落差が激しすぎて、
評価に困るよ。
とりあえず、続編は読みます。

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大分覚え書き1 杵築・宇佐

2019-12-17 07:00:40 | 19 本の感想
大分旅行初日。
中部国際空港から大分空港までは1時間ほど。

大分空港から先はレンタカー。
まずは国東半島にある「杵築」へ。
ここは城下町で、江戸時代の建物が残っているのだそうだ。


マンホールはカブトガニ。
以前、仕事で調べたけど、
学術的な価値しかないと思われていたカブトガニは、
近年、血液がさまざまな分野で有用だとわかり、
血液1リットルにつき100万円以上の値段がつくとか。
杵築の面した湾にカブトガニが生息しているのだそうだ。


この日は、曇り空で、すさまじい寒さ。
「九州なのに寒いぞ!?」
と驚いていたのだけど、この日は全国的に冷え込み、
関東でも雪が降ったとか。

寒い上に、平日の午前中だということもあってか、
杵築には人がいない……。




有名な、この向かい合わせの坂には
何組か観光客が写真を撮りに来ていたけど、
それ以外ではあまり人を見かけなかった。
地元の人ですら、姿を見かけることはわずか。


坂の多い町。




江戸時代の建物や塀はたくさん残っていて、
今までに行った「昔ながらの街並み」の中でも
「本物度」は高そう。
なのだけど、「残しているだけ」という感じがした。
なんか、ボロボロなの。
そして、観光資源として活かしていない感じ。
「湯布院・別府」や「九州」のガイドブックにも
取り上げられていなかった理由は、
なんとなくわかった。

旅行のオフシーズンなのもあるかもしれないけど、
店も開いていないところが多くて、
食事できる場所をさがしてさまようことに。
天気も悪いし、寒いし暗いしで、
どんどん気分が滅入ってくる。

このあと行った場所や、
今までに行った「昔ながらの街並み」と比較して考えるに……
観光地としてにぎわう場所は、
「これ、ここじゃなくても買えるよね?」
「昔風の建物だけど、最近作ったよね?」
という店や家がいっぱいだけど、
そんなことはお構いなしにじゃんじゃんやっちゃうよ!
という商売っ気が強くて、店の人が積極的で明るい。
そして、そういう場所にするには、行政だったり
まちづくり会社を雇うだけの地元の意志だったり
出資する大企業だったり、
強い力が必要なのだと思う。

結局空いていた3店のうちの一つである
カフェ「せんす」で「とり天」のランチ。
写真を撮りわすれたけど、
とり天はおいしい。
物産展で何度か食べたことがあるけど、
なんでチキン南蛮ほどには広まらなかったんだろう。

************

食事のあと、再び車で宇佐へ。







宇佐神社。
「宇佐八幡宮神託事件」の宇佐八幡宮のことだよ!
和気清麻呂関係の史跡もあり。

八幡神は、もともと八幡大菩薩と同一の存在であったため、
神社の中で八幡宮がもっとも早く神仏習合を進めていたそうだ。



これ、額縁みたいですてき。

神社前には、お土産屋が並んでいて
にぎやか。
「宇佐飴」の中でも平たくて四角い「板飴」が気になったけど
そんなにいらない……というくらいの量が入っていたので
あきらめた。
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221:澤村御影 『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき』

2019-12-13 19:05:46 | 19 本の感想
澤村御影『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき』(角川文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

嘘を聞き分ける耳を持ち、それゆえ孤独になってしまった
大学生・深町尚哉。
幼い頃に迷い込んだ不思議な祭りについて書いたレポートがきっかけで、
怪事件を収集する民俗学の准教授・高槻に気に入られ、助手をする事に。
幽霊物件や呪いの藁人形を嬉々として調査する高槻もまた、
過去に奇怪な体験をしていた―。
「真実を、知りたいとは思わない?」
凸凹コンビが怪異や都市伝説の謎を『解釈』する
軽快な民俗学ミステリ、開講!

*********************************************

よくある題材・テイストではあるんだけども、
高槻先生のキャラがいいよねえ。
そして、うまく情報をちりばめていて、
興味を引っぱっている。
短編のひとつひとつは怪異ではなく人間のしわざ、
でもメインのふたりの過去に関する謎はオカルト、
という設定なのかな?

しかし、いくら残念な人だとはいえ、
ずいぶん年上の、しかも准教授を「あんた」と呼び始めた主人公には
反感しかない。
最低限の礼儀は守ろうよ。

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220:三秋縋 『三日間の幸福』

2019-12-13 18:54:55 | 19 本の感想
三秋縋『三日間の幸福』(メディアワークス文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。
寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、
そのせいだ。
未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、
僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。
空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。
彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、
俺の寿命は二か月を切っていた。
ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。

*********************************************

途中までは、
「同じ著者の『スターティング・オーヴァー』と同じオチかな?」
と思ってたんだけど、ちがったのでほっとした。

たぶん、一般的にはおもしろいんだと思う。
しかし、自分とは根本的に合わない。
『スターティング~』で薄々感じていたのだけど、
これで確信した。
設定は純粋におもしろいと思うんだけど。

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おでかけの記34:勝川→春日井市立図書館

2019-12-04 23:41:48 | 19 本の感想
大学時代の友人の集まりで、勝川へ。
このあたり、「高蔵寺の山」とか「点」でしか知らないので、
イメージがぼんやり。

「大きい田舎」と言われていた名古屋が
都会扱いされるようになったのは、高層ビルが建ってから……
という話を読んだことがあるのだけど、
確かに人は、そこに高い建物が立っているかどうかで
都会度・田舎度を判断している気がする。

そんなわけで、勝川は思ったより都会だった。
駅前にはビジネスホテルもあったし。
駅も大きくてきれいだし、
真言宗のお寺の門前町なのか、
仏教関係のお店や飲食店などが並んでいた。



CAFE ZU‐CCOTTO。
地元民の友だちが予約しておいてくれたカフェ。
子どもが寝そべったり遊んだりできるスペースがあって
子ども連れのお母さんが助かりそうなお店だった。
ランチセット(1200円くらい)の唐揚げおいしい。

1時間半ほどで会はお開きになり、
春日井市立図書館へ。
勝川駅前からバスの路線があったのだけど、
本数がかなり少なく、徒歩は無理と言われたので
タクシーで。



市役所と同じ敷地に大きな建物があり、
3・4階が図書館になっている。
1階にはカフェもあり、
ギャラリースペースでは一条ゆかり展がやっていた。

帰りは春日井駅まで徒歩15分ほど。
勝川駅周辺のほうがにぎわっている印象。

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219:小駒勝美 『漢字は日本語である』

2019-12-03 23:23:52 | 19 本の感想
小駒勝美『漢字は日本語である』(新潮新書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

漢字のルーツはもちろん中国だが、
現在日本で使われている漢字は、長い年月を経て、
さまざまな日本式改良が施された、わが国独自ものである。
中国にはない訓読を駆使し、送り仮名という画期的な発明を加え、
見事に日本語のなかに組み入れたのは、まぎれもなく、
日本の英知なのである。
日本ではじめて、日本語のための漢字辞典という
画期的辞典を編纂した著者による、
日本語の素晴らしさを実感できる漢字の話。

*********************************************

この本にも書かれていたし、
この本を読む前に別の本でも読んだのだけど、
戦前、看板などでよく見かけた「右から左へ横に書かれた文字列」は
「横書き」ではなく「一文字ずつ改行した縦書き」だっていうの、
おもしろいよね。
 

漢字辞典は実生活上ではあまり使えないっていうの、
よくわかる。
用例を見ても、日常生活で使われている漢字の実情には
合ってないんだよね。

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218:サンキュータツオ 『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』

2019-12-03 23:16:07 | 19 本の感想
サンキュータツオ『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』(角川文庫)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

辞書の世界がもっと深く楽しめる!

朝日新聞「天声人語」で紹介! 辞書の世界をのぞいてみよう

芸人ならではの切り口で、代表的な国語辞典を例にとりながら、
語数、品詞、デザイン、歴史、用例、語釈などから
辞書の魅力を多面的に紹介。
あなたの知らないディープな辞書の魅力がここに!

*********************************************

国語辞典の歴史や、辞書ごとの語釈の違いを比べる本は
読んだことがあるけれど、辞書ごとの「哲学」や特徴、
得意分野を比較した本は初めて。

とても面白かったし、読んだらきっと
辞書を買いたくなること請け合い。

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214-217:最近読んだ本(メモ)

2019-12-03 23:15:29 | 19 本の感想
伊藤まさこ『本日晴天 お片づけ (単行本)
モチベーションは上がった。

この著者の方に限らず、主婦系の本って
重箱の隅をつつくような感情的なレビューが多い印象。
まあ、確かに中身は薄いんだけども。

勝間和代『2週間で人生を取り戻す! 勝間式 汚部屋脱出プログラム
再読。やはり『ロジカル家事』一冊で良かった。



沖幸子『美しいお家の基本
本当に基本という感じ。



林總『正しい家計管理
とりあえず使っていないクレジットカードと銀行口座は
解約したよ。



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213:森谷明子 『望月のあと 覚書源氏物語『若菜』』

2019-12-03 22:46:40 | 19 本の感想
森谷明子『望月のあと (覚書源氏物語『若菜』)』(東京創元社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

世は平安、道長が栄華を極めている。
紫式部は「源氏物語」の人気に少々困惑気味。
そんななか、訪れたお屋敷に、瑠璃という謎の姫君を
道長がひそかに隠し住まわせていることを知る。
式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめたが、
しだいに現実と物語が重なりはじめ……。
瑠璃姫はいったい何者なのか?
式部が大胆にも道長に仕掛けた、雅な意趣返しとは?
「源氏物語」をめぐる謎を解き明かす平安王朝推理絵巻第3弾!

*********************************************

『千年の黙 異本源氏物語』から始まる三部作の3作め。

前作よりも読みやすく、一気読み。
「玉鬘」十帖や「若菜」がどういう意図で書かれたものなのか、ということを
独自の味付けで描いた物語。

楽しかったし、貴族社会を支えているや地方の人間に
スポットをあてて問題提起しているのは新鮮だったけど、
個人的には、2作目も3作目も
もう少しコンパクトにまとまっていると好み。

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210-212:服部昇大 『邦キチ! 映子さん』

2019-12-01 19:00:18 | 19 本の感想
服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season2
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season3
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

天然系女子高生が放つ、邦画プレゼンという名の暴力──!!
邦画が好きで好きで、人に薦めずにはいられない!!
そんな少々ハタ迷惑な性分の女子高生・邦キチこと邦吉映子が、
この度「映画について語る若人の部」に晴れて入部!!
唯一の部員として部長の洋一を相手に、
少々マニアックな邦画(一部例外アリ)を
ひたすらにプレゼン! プレゼン!! プレゼン!!!
その視点、その愛情、その圧力。
全てにおいて規格外!!
本邦初の邦画プレゼン漫画、誕生!!

*************************************

Webのほうで大部分を読んでいるのだけども、
続いてほしいので購入。

自分が見た映画についてはもちろんのこと、
見ていない映画についても楽しめるという
かなり配慮したつくり。

ネットの評判だけ見て、映画そのものを見てもないのに
駄作扱いする人っているよね……。
多くの人がおもしろいと言うものは
自分もおもしろいと感じる場合が多いけど、
否定的な感想が多いものも自分にとっては刺さることがあるし、
映画に限らず、より多くのものを面白がれるほうが幸せだ。





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