金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

208-209:桜井のりお 『僕の心のヤバイやつ』1・2巻

2019-12-01 18:55:36 | 19 本の感想
桜井のりお『僕の心のヤバイやつ 1 (少年チャンピオン・コミックス)
僕の心のヤバイやつ 2 (少年チャンピオン・コミックス)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

ネットで話題! 陽キャ美少女×陰キャ少年の
ニヤニヤ系青春格差ラブコメディ! !
学園カースト頂点の美少女・山田杏奈の殺害を
妄想してはほくそ笑む、
重度の中二病の陰キャ・市川京太郎。
だが山田を観察する内に、
京太郎が思う
「底辺を見下す陽キャ」とは
全然違うことに徐々に気づいていき…!?

陰キャ男子・京太郎の初めて恋、始まる。
コミックスでしか読めない
激レアエピソード
描き下ろし漫画あり!

********************

ヒロイン・山田よりも、主人公の男の子が可愛い。
クラスメイトが山田の涙に気づくことを防ごうとしたり、
女子同士の関係が悪くなることを恐れたりして、
とっさに自分が汚れ役になってしまう京太郎、いいやつだ……。
山田は山田で、憎めないキャラなんだけども。

Webのほうで話数の進んだものから読み始めたので、
最初はこんなムードだったのね……とやや意外。
(エロ要素とか、山田のカースト上位にありがちがふるまいとか)
1巻と2巻の間で、急に親密度が上がっているように見えるんだけど、
どうしたのかしらん。




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207:森谷明子 『白の祝宴』

2019-11-29 15:07:45 | 19 本の感想
森谷明子『白の祝宴 逸文紫式部日記』(創元推理文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

時は平安。人々の注目を集めるひとりの女性がいた──その名は紫式部。
かの『源氏物語』の著者だ。
実は彼女は都に潜む謎を鮮やかに解く名探偵でもあった。
折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産、
それを祝う白一色の華やかな宴のさなかに怪盗が忍びこみ、姿を消した。
式部は執筆のかたわら怪盗の正体と行方に得意の推理をめぐらすが……。

鮎川賞受賞作家による王朝推理絵巻。

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『千年の黙 異本源氏物語』から始まる三部作の2作め。

紫式部はもちろんのこと、赤染衛門に和泉式部、
清少納言に右大将道綱母……
と平安文学の作者が勢ぞろい。
紫式部日記がどうしてああなったのか、
どうして現在まで残ったのか、というクエスチョンへの答えが
テーマになっているのだけども、
枕草子の「言われてみれば……」の謎も謎解きに絡んでいるし、
「大鏡」成立の背景も匂わされていて、平安好きにはたまらない。

ただね~……長いんだよ、これ……。
読み通すのに骨が折れるし、長いがゆえに
最初の盗賊騒ぎがどうでもよくなっちゃうんだよ……。
あとね、盗賊の正体が〇〇っていうのも、
最近似たようなのを読んだせいで「またか~」と思っちゃった。


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206:ほしおさなえ 『活版印刷三日月堂 海からの手紙』

2019-11-29 15:05:35 | 19 本の感想
ほしおさなえ『活版印刷三日月堂: 海からの手紙』(ポプラ文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

小さな活版印刷所「三日月堂」には、
今日も悩みを抱えたお客がやってくる。
物静かな店主・弓子が活字を拾い、丁寧に刷り上げるのは、
誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い……。
活字と言葉の温かみに、優しい涙が流れる感動作。
静岡書店大賞を受賞・ブクログ1位・読書メーター1位など、
話題沸騰の人気シリーズ、待望の第二弾!

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今回も死の気配が漂う、ひんやりした空気感。
どのお話も前向きで、優しさを感じる作りになっているのに、
なぜか「ひんやり」とした肌触り。

最後の「我らの西部劇」が特に好き。

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205:佐藤友哉 『転生! 太宰治 転生して、すみません』

2019-11-25 22:39:36 | 19 本の感想
佐藤友哉『転生! 太宰治 転生して、すみません』(星海社FICTIONS)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

序 章 太宰、西暦二〇一七年の東京に転生する
第一章 太宰、モテる
第二章 太宰、心中する
第三章 太宰、自殺する
第四章 太宰、家庭の幸福を語る
第五章 太宰、カプセルホテルを満喫する
第六章 太宰、自分の本を見つける
第七章 太宰、ライトノベルを読む
第八章 太宰、メイドカフェで踊る
第九章 太宰、芥川賞のパーティでつまみ出される
第十章 太宰、インターネットと出会う
第十一章 太宰、芥川賞を欲する
第十二章 太宰、才能を爆発させる
第十三章 太宰、講談社に行く
終 章 太宰、生きる

あの太宰治がよりによって現代日本に転生!
今を生きる太宰が現代社会と人間への
痛烈な皮肉と賛歌を謳い上げる傑作、ここに開幕!!

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出オチで終わるのかと思いきや、最後まで楽しかった。
文体模写や個々のエピソードは、太宰に詳しいほどに楽しめるし、
サブカルチャーに関する元ネタも、わかる人にはよりおもしろい。

転生していきなり心中を企てるし、
2017年に転生したことを理解した太宰が、
自分の本が現代でも書店に置かれているのに対して
志賀直哉の本が置かれていないことに優越感を抱いたり、
芥川賞のパーティーで爆発したり、
『文豪ストレイドッグス』を見て恐怖を感じたり、
アイドルマスターのエロ同人を読みふけったり。
話が動き出すのが遅いのだけど、
小ネタでにやにやできる。

「(芥川の名前を書き連ねたノートが)
 世間の目に触れることでもあったら、生きてはいけません」
と言っているのに笑った。
発見されてさらされてるし。

2巻が出ていることをいま知った。さっそく読もう。

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204:小川糸 『キラキラ共和国』

2019-11-16 18:36:59 | 19 本の感想
小川糸『キラキラ共和国』(幻冬舎)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

亡き夫からの詫び状、憧れの文豪からのラブレター、
大切な人への遺言……。
祖母の跡を 継ぎ、鎌倉で文具店を営む鳩子のもとに、
今日も代書の依頼が舞い込みます。
バーバラ婦人や男爵とのご近所付き合いも、
お裾分けをしたり、七福神巡りをしたりと心地よい距離感。
そんな穏やかで幸せな日々がずっと続くと思っていたけれど。
『ツバキ文具店』続編。

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『ツバキ文具店』の続編。

旦那さんの経営するカフェの状況に触れられていて、
「『稼ぎ』とか『経済』という概念があったのか!!」
と驚いた。

というのも、『食堂かたつむり』も『ツバキ文具店』も『喋々喃々』も、
どう考えても生計が立てられないであろう暮らしぶりなのに、
まったく経済苦に触れられていなくて、
この作家さんの描く世界は、お金の問題の存在しない
ファンタジーなのだと思って読んでたの……。
あえてリアリティをなくして、
「こんな生活っていいよね」
と夢を見せるお話なんだと。

前の奥さんに対するシンパシーはよく理解できた。
それも血のつながらない子を可愛いと思えるからこそなんだろうな。
レディー・ババは一波乱起こすと思っていたので、
そこは拍子抜け。
でも、さらに続編がありそうな感じ。

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183-203:松井優征 『暗殺教室〈1〉~〈21〉』

2019-11-15 17:27:58 | 19 本の感想
松井優征『暗殺教室 1 ~21』(集英社)
★★★★☆4.5

【Amazonの内容紹介】

号令と共に教室を満たす銃声!
椚ヶ丘中学校3年E組は生徒全員が先生の命を狙う暗殺教室。
教師と生徒、標的と暗殺者の異常な日常が始まる――!!

*********************************************

友だちにもらったもの。
確か、3巻くらいまではリアルタイムで読んでいたんだけど、
それっきりになっていた。
こんなふうに展開して終了したのね~。

通常のほのぼのギャグ路線が好きだったので、
シリアス回が続くと
「こういうのを求めてるんじゃない……」
と思ってしまうのだけど、序盤から過去を匂わせる仕込みが
しっかりしてあったので、唐突に感じさせることもなかったし、
飽きが来る前にきちんとムードの切り替えもしている。

タイトルと設定がこれなんだけども、
教師と生徒、教育といった設定に沿って
登場人物の成長や関係性の変化を描いていて、
説教くさくなく、ちゃんと「教育」的な内容になっているのよ。
何かができるようになることで自信が持てるようになること。
自分にできることとできないことを見極めて、
できないことはどうカバーしていけばいいのかということ。
社会に理不尽はたくさんあるけれども、
その中でどうやって生きていくのかということ。
中学生が成長していく姿に感動さえ覚えてしまう。

なによりタイトルに掲げて、前提条件となっていた
「殺す」という行為を、逃げずにきちんと描いていたのがよかった。

基本はほのぼのギャグなんだけども、
序盤から伏線を仕込んでいるし、
最初にきちっとストーリー展開を決めて描いていたんだろうな~と
わかる。
20巻は泣きそうになっちゃった。

悪役として登場した人物のほとんどが、それなりにみな
愛すべきキャラになっていて、キャラメイクもすばらしい。








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お出かけの記30-1:文化のみち @高岳~東大手

2019-11-14 11:27:32 | 19 本の感想

「二葉館」からすぐ近くの「撞木館」。


玄関の軒下の明かりが、青い星。
すてき。



入り口すぐ近くの部屋(旧応接室)は
カフェになっている。



ドアには象嵌細工。












ステンドグラスも品がいい。



サンルームは分離型。



離れは日本家屋。




昔の台所。


離れにある蔵へも行ける。



見られるのはここまで。


お庭にテーブルと椅子がある生活、憧れ。

二葉館も撞木館も、当時の文化人や財界人の
サロンになっていて、
二葉館の華美な雰囲気になじめなかった人は
撞木館に来た……という説明に納得できる
雰囲気の違い。


次は撞木館を北上し、豊田佐助邸へ。



豊田佐助は、トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏の弟で、
自身も実業家だったとのこと。



天井の通気口。
「とよた」の文字を組み込んでいる。
(「た」は変体仮名)

この邸宅、二葉館・撞木館を見たあとだと、
ひどく地味に見えてしまう。




地味です。



ひたすら地味です。





二階の廊下だけが洋風。


向かいに立派な蔵があるんだけど、
一般住宅みたい。

ラスト、名古屋市市政資料館へ。


正面玄関で中学生がクラス写真を撮っていて、
大騒ぎだった。
無駄なエネルギーがまぶしい。





ゴージャスな洋風建築。
ドラマの撮影でよく使われているとのこと。





ステンドグラスいいねえ。







一部の部屋はレンタルスペースとして貸し出されているらしく、
作品展をやっていた。
喫茶店もあり。
だけど、建物がとにかく大きくてゴージャスすぎて、
有効活用されていない感じがする。
じゃあ何に使えばいいんだと言われると
困るんだけど。
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182:宮本常一 『イザベラ・バードの日本奥地紀行』

2019-11-12 19:04:58 | 19 本の感想
宮本常一『イザベラ・バードの日本奥地紀行』(平凡社)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

西の大紀行家・イザベラ・バードの名紀行を、
東の民俗学者・宮本常一が読む。
日本民族と日本文化の基層を成す岩盤を、深く鋭く穿つ!
未来社84年刊の「古川古松軒 イサベラ・バード」の
イザベラ・バード篇を改題。

*********************************************

イザベラ・バードはその名前と
「明治期に国内を旅行してその記録を残している女性」
くらいのことしか知らなかったのだけども、
たいそう面白くて夢中になって読んだ。

講義を文章に落とし込んだからなのか、
非常に平易な言葉で説明されていて、
著者の持つ知識と組み合わせった考察が楽しい。

明治時代になっても、そこらじゅう(家の中にも!)に
たくさんの蚤がいて、それが当たり前だから
日本文学で蚤については言及されなかったこと、
盲目が増えた原因は性病だったこと、
北の方では西瓜は作られていなかったこと、
田舎には入浴の習慣がなく、着物が汚れるのを防ぐために
半裸~裸で過ごしていて全体的に不潔だったこと、
人々は物見高くて、外国人であるバードを見に
押しかけてきたこと、当時の人々のアイヌ観……等々、
知らないことがいっぱいで、楽しめた。

西日本で発達した町は、通りに沿って街が作られていったけれども、
江戸は昔からあった地名を抱え込んだまま町が作られた……なんて話も
なるほどであった。



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181:甲斐みのり 『東海道新幹線 各駅停車の旅』

2019-11-11 07:04:28 | 19 本の感想
甲斐みのり『東海道新幹線 各駅停車の旅』(ウェッジ)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

お江戸散歩の品川、町ごと博物館のような小田原、
懐かしい昭和の雰囲気漂う熱海、富士山を仰ぐ新富士、
おでんがおいしい静岡、クラシックな建物づくしの米原、
ロマンチックな大阪…。
見て、歩いて、食べて、
それぞれの街を存分に味わいつくした、全17駅。

*********************************************

東海道新幹線の各駅で、観光名所やお店を紹介するという
コンセプトのガイド本。
読む前、エリア在住民であるわたしは
不安になりましたよ。

「『岐阜羽島』と『米原』、いったい何を書くの?」

って……。

読んでみたら、
岐阜羽島では「おちょぼさん」でスペースを稼ぎ、
米原では「近江八幡」をメインに据えて
困難を乗り越えていた。
ひとごとながら安堵!

通り過ぎるだけだった駅で降りてみたくなる、
魅力のある本だった。

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176-180:最近読んだ本(メモ)

2019-11-10 09:52:08 | 19 本の感想
藤井青銅『あんまりな名前

アホウドリや無策王などの「侮蔑系」、
ヘクソカズラ、バフンウニなどの「尾籠系」、
チビオオキノコ、昼咲月見草などの「矛盾系」……etc、
いわれてみればの名前たち。



窪園晴夫『数字とことばの不思議な話 (岩波ジュニア新書)
hi(一)-hu(二)
mi(三)-mu(六)
yo(四)-ya(八)
確かに、倍数関係にある数字が同じ音で始まってる!
気付かなかった!!



部屋を考える会『部屋を活かせば人生が変わる

確かに、狭くて通りにくいところって掃除しなくなる。



田中ててて『崖っぷちの女神~飲んだくれのバッカンテ~

読み放題にて。
主人公を替えたシリーズものなのかな?
素敵なおばさんと同様に、
かっこいいおじさんは希少種。



小松ゆみ『「循環ライフ」で、こんなにキレイ! ゆるい片付け

著者の方も書いてるように、当たり前の話。
しかし、この「当たり前」を「知って」はいても、
言語化して、意識して、実行できるかどうかは
別の問題なんだろうなあ。

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