金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

158:若菜晃子 『地元菓子』

2019-10-10 12:33:47 | 19 本の感想
若菜晃子 『地元菓子 (とんぼの本)』(新潮社)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

初めてなのに懐しい。
「地元菓子」をめぐる旅。
ところ変わればお菓子も変わる。
「そこ」に行かなければ出会えない、愛すべき「地元菓子」をめぐる旅。
一色のえびせん街道、銚子の木の葉パン、
桜餅は長命寺? 道明寺? バターせんべい伝播の謎、
雪国の冬は水ようかん、各地の買い食い図鑑、
東海地方のあんこ愛、そして九州へ餅の旅。
「地方出身女子の甘い記憶」座談会も。

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とてもすてきな本だった。

もともと、わたしは旅行に行っても
「その土地のものを何としても食べたい!」
という気持ちが希薄なんだけれど
(それを目的にしたことで行動に制約が生じるのがイヤ)、
特にお菓子については、日常よく食べるくせに
旅先でその土地のものを! とは考えなかった。
だけど、この本を読んで、
その土地のお菓子だけを目的に旅をするのも楽しそうだな、と思った。
同じ愛知県内でも知らないお菓子がたくさんある。

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157:高殿円 『政略結婚』

2019-10-04 21:27:54 | 19 本の感想
高殿円『政略結婚』(KADOKAWA)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

江戸末期・明治大正・昭和、百二十年の間に
女性の生き方はこう変わった!

金沢城で生まれた私の結婚相手はわずか生後半年で決まった。(中略)
早すぎると思うかも知れないが、当時ではごくごく当たり前のことで、
大名の子の結婚はすべて政略結婚、
祝言の日まで互いに顔を合わせず、文も交わさぬのが慣習である。
私の生まれた文化の世とはそういう時代であった。
――第一章「てんさいの君」より

不思議な縁(えにし)でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。
聡明さとしなやかさを兼ね備え、
自然体で激動の時代を生き抜く彼女らを
三部構成でドラマチックに描き出した壮大な大河ロマン!

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一部は史実ベース、あとはフィクションなのかな?

第1章は、小説というより
「歴史上の人物の生涯をダイジェストで紹介しました」
という感があって、いまいち引き込まれず、
第2章でちょっと興味を惹かれて、
第3章が一番ドラマチックで面白かった。
タイトルに冠した「政略結婚」の要素は
第2章まで(しかも結果としては……略)。
ただ、女性と「家」との関わり、
「家」への意識の変化を描いた点では
興味深い。

それにしても、江戸時代って
本当に簡単に人が死んでしまう時代だったのね……。

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155-156:D・キッサン 『千歳ヲチコチ1~2』

2019-09-30 20:43:19 | 19 本の感想
D・キッサン『千歳ヲチコチ: 1 ・2』
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

時は千年の昔、平安時代。
少々風変わりなセンスを持った貴族の姫・チコがしたためた文が、
ふとした風のいたずらで、若いわりには世を悟ったような
貴族の子息・亨の元に届く。
個性的な文の内容に心を動かされ、返歌を出した亨。
たった一度、偶然交わしただけの文は、これから何をもたらすのか――?

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漫画。
「ここまで読んだ」の覚え書き。

きちんと勉強したうえで崩しているのがわかるし、
キャラクターにも好感が持てる。
ただ、早い段階で脇キャラにスポットをあてるせいか
あちこちに話が脱線して、
おそらくストーリーの主軸であろう二人の関係が
一向に進まないのであった。
おもしろいところもあるんだけど、興味を持てないパートが多くて
先を読むかどうか悩むところ。



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154:飛田良文 『明治生まれの日本語』

2019-09-28 14:30:32 | 19 本の感想
飛田良文『明治生まれの日本語』(淡交社)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

恋愛、新婚旅行、個人、権利…
今日あたり前に口にしていることばのうち、
明治時代に生まれた新語を「明治生まれの日本語」と名づけ、
それらが造られた事情や背景を、
膨大な文例をもとに「辞典の泰斗」がするどく斬り込む!

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開国を機に西洋の事物や概念が持ち込まれたため、
明治時代にできた言葉は多いのだろう……と思ってはいた。

「年賀状」も「常識」も「世紀」も
明治にできたのね~という意外性は
あったのだけど、それよりもよかったのが、
西洋の概念を日本語で表すためにいろんなアイディアが生まれ、
それが競り合いながらひとつに集約していく様子。

英語の「ステーション」は「鉄道館」「鉄道寮」「停車場」等々の
訳が試みられ、「駅」は旧来「宿場」を指していたから
避けられていた。
「時刻」を表す「~時」も、「明け六つ時」等、
それまでの不定時法との混乱を避けるため使われず、
代わりに「字」を使っていて、
これもまた文字数と混同された。

そんなふうにさまざまな案が出ながらも、結局、
政府が出す法令や教科書に採用されることで
その言葉が市民権を得るようになった……というパターンが多く、
言語の変革ってやっぱり国家レベルで働きかけないと
急には変わらないんだな、と思う。


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147-153:最近読んだ本(ほぼ記録のみ)

2019-09-16 10:35:05 | 19 本の感想
マキ 『持たない ていねいな暮らし
再々読。



信濃川日出雄 『山と食欲と私 1巻: バンチコミックス
読み放題にて。
山で食べるごはんはおいしい。
それは知っているけど、そこまでの面倒くささが
先に立っちゃうんだよな~。




井田ヒロト『お前はまだグンマを知らない 1巻 (バンチコミックス)
読み放題にて。
ネットにはもっとめちゃくちゃでぶっとんだ
「グンマ」像があふれているので、
そのあとで読むとパンチが弱く感じられてしまう。




毎日パパッと、整う暮らし わたしの「家じかん」ルール
読み放題にて。
以前読んだのに、中身を見てもまったく記憶がなく
また購入しそうになってしまった。
危ない危ない。



荻野淳也『心のざわざわ・イライラを消すがんばりすぎない休み方 すき間時間で始めるマインドフルネス
読み放題にて。
休むということが、どうしてこんなに難しいのか……。


南正時『街歩き・里歩きの名水・湧水散歩
行ってみたいと思わせる場所がいくつもあったけれど、
写真に写りこんでいる著者らしき人物の
存在感(身なりゆえ)がすごい。


南正時『箱根散歩マップ
箱根湿生花園と湯河原は行ってみたい。


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146:益田ミリ 『お茶の時間』

2019-09-15 21:45:59 | 19 本の感想
益田ミリ『お茶の時間』(講談社文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

ふらりと入ったカフェ。
そんな息抜きのひと時に―。
女子会の話題に耳を澄まし、カップルの初々しい雰囲気に憧れ、
仕事をしている男性をチェックし、自分について思索にふける。
大人気、益田ミリが描く、さまざまな人生の断片と輝き。
ゆるふわ楽しい人生エッセイ・マンガ。
文庫描下ろし作品も巻末特別収録。

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読むものがなくなって、出先で購入したもの。

ちょうど、年に数回あるかないかという
不愉快な出来事が起こった直後だったので、
「不愉快」というものについて
「その多くは無下に扱われたことのなのではないか」
と書かれていたのに、本当にそうだ、と思った。
自分を不快にするその行為は
さまざまな形をとっているけれど、
不愉快の根本にあるのって
「舐められてる、軽く見られてる」
という認識なんだ。

随筆として文章で書いたらオチもなく終わってしまう話が、
漫画だと、手腕によっては
「間」や「雰囲気」でうまくおさめることができるのだな、
と思った。

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145:櫻井陽子ほか 『平家公達草紙』

2019-09-13 21:20:07 | 19 本の感想
櫻井陽子・鈴木裕子・渡邉裕美子『平家公達草紙: 『平家物語』読者が創った美しき貴公子たちの物語』(笠間書院)

【Amazonの内容紹介】

『平家物語』に満足できないなら
自分たちで書けばいいじゃない?

『平家物語』の登場人物を借り、鎌倉時代の読者が創った
美しき御曹司たちが織りなす逸話集『平家公達草紙』。
公達への夢と憧れの詰まった、二次創作の元祖!
全話の内容をストーリー仕立てでわかりやすく紹介!
現存する三系統の影印・翻刻・注・現代語訳を掲載!
本文の読解を助ける補注とコラムを豊富に収録。
資料編には系図・書誌・人名一覧・人名索引を収録。
『平家公達草紙』の下地『安元御賀記』翻刻を初紹介。

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全部は精読していないので好み度★はなし。

書店で見つけたもの。
「鎌倉時代の二次創作」という説明に惹かれて。
こんな物語があったとは知らなかった。

京に住む女性たちにとって、「平家物語」の中で
最も興味を惹かれたのは合戦の場面ではなく
自分たちにとってなじみのある今日でのエピソード、
というのには納得。
そりゃあ、坂東武者より平家の公達のほうにときめくよね。

「建礼門院右京大夫集」でときめく
→「平家物語」を読む
→萌えが足りない! 二次創作したろ!
になるのもわかる。

大部分は原典の写真・翻刻・注・現代語訳・絵巻の写真で
構成されていて、
門外漢が気軽に読めるページはほんのわずかなので、要注意。
古典としてがっつり知りたい! という人にはおすすめ。

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144:田辺聖子 『おちくぼ姫』

2019-09-13 21:02:23 | 19 本の感想
田辺聖子『おちくぼ姫』(角川文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

貴族のお姫さまではあっても、意地悪い継母に育てられ、
召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられ、
床が一段低く落ちくぼんだ部屋に
ひとりぼっちで暮らしている姫君―
といえば“シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。
姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある
「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた
王朝版「シンデレラ物語」です。
若い読者のために現代語訳された、
とびきり面白い物語を楽しんで下さい。

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装丁がすごく可愛い。

原作にある下品な要素も含みつつ、
原作の兵部の少輔の扱いのような
「ちょっと、それは倫理的にどうなの?」
という部分に関しては作者独自のアレンジも加え、
エンタメに昇華している。
継母たちに復讐しながらも、最後は許して
ハッピーで終わっているところがいいよね。

前書きと後書きの書き方からすると、
読者層としては中高生あたりを想定しているのかな。
当時の風俗についてもさりげなく説明がされているし、
短くまとまっているので古典入門としておすすめ。

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143:青山七恵 『すみれ』

2019-09-12 12:33:34 | 19 本の感想
青山七恵『すみれ』(文藝春秋)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

十五歳のわたしの家にとつぜんやってきて、
一緒に住むことになった三十七歳のレミちゃん。
むかし作家を目指していたレミちゃんには
「ふつうの人と違う」ところがあった…。
季節のうつりかわりとともに描かれる人と人とのきずな、
人間のみにくさと美しさ。
そして涙がおさえられない最後が待ち受ける。

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ものすごく久しぶりの作家さん。
読んだのは単行本版。

両親が突然手のひらを返したような態度を取るのだけど、
レミちゃんのずうずうしさや甘え、
彼らの体面をつぶすようなふるまいを考えると、
いくら同情して助けたいと思っていた人でも
見放すよね……と納得はできる。

そして両親の気持ちはわかるけれども、
家に友人たちを招いて頻繁にホームパーティをする
アート系の、いわゆる「成功者」である彼らとレミちゃん、
どちらが自分に近いかといったら
やっぱりレミちゃんなんだよな。

もやもやしてすっきりしない、
だけど不快でない読後感が不思議。

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142:日本一研究会 『一度は見たい! 日本一百景』

2019-09-10 08:39:34 | 19 本の感想
日本一研究会『一度は見たい! 日本一百景』(洋泉社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

日本最大の打ち上げ花火、日本最古の桜、日本一短い川、
日本一長いベンチ…「日本一」から見る絶景珍景100。
エリア別に厳選、空から見た絶景日本一も収録!

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「日本一短いエスカレーター」(川崎モアーズ)の
「存在意義の不確かさで人気!」
というコメントで笑ってしまった。
そして、「琵琶湖」の名称が定着したのが
江戸時代だということにびっくり。
最近じゃん!
ウィキペディアで確認し、ついでに「遠江」の由来も知る……。
「近江」が「都に近い海=琵琶湖」に由来するのは知ってたけど、
「遠江」は「都から遠い海=浜名湖」に由来するのね……。
「急がば回れ」も琵琶湖に由来するのか。

三重県の丸山千枚田(日本一棚田が多い)、
鳥取県の湖山池(日本一大きい池)は見にいきたい。

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