金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

141:水野敬也『夢をかなえるゾウ』

2019-09-09 08:09:47 | 19 本の感想
水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで」
ダメダメなサラリーマンの前に突然現れた関西弁を喋る
ゾウの姿をした神様“ガネーシャ”。
成功するために教えられたことは「靴をみがく」とか
「コンビニで募金する」とか地味なものばかりで…。
ベストセラー『ウケる技術』の著者が贈る、
愛と笑いのファンタジー小説。

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10年以上前に、ものすごく売れててドラマ化した、
という記憶はあったんだけど、読んだことのなかった作品。

自己啓発本の内容を、コメディ仕立てで
ストーリーに落とし込んだのがよかったんだろうな。
おもしろかった。
作中にもあったけれど、自己啓発本は、
読んでいる最中や読んだ直後は
自分を奮い立たせてくれるんだけど、
すぐ忘れて実行しないままになっちゃうんだよね……。

エピローグは、これまでのガネーシャの言動を踏まえたもので粋。

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140:益田ミリ 『美しいものを見に行くツアーひとり参加』

2019-09-08 10:59:35 | 19 本の感想
益田ミリ 『美しいものを見に行くツアーひとり参加』(幻冬舎)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

一回きりの人生。行きたいところに行って、
見たいものを見て、食べたいものを食べるのだ。
ツアーに申し込めば、どこにだって出かけられる!

41歳 北欧でオーロラを見た
42歳 ドイツのクリスマスマーケット
44歳 世界遺産モンサンミッシェル
45歳 ブラジル・リオのカーニバル
48歳 台湾で平渓天燈祭に参加

旅じたくからお土産、
団体旅行での身の処し方まで。
40代の旅は自分仕様。

エッセイとイラストと写真で構成。

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そうだよな~。
学生のころならいざ知らず、働きはじめてから
一週間、だれかと合わせて休みを取るなんて
家族であっても至難の業。
「だれかといっしょじゃないと」と考えると
行動がかなり制限される。

海外にはあまり惹かれないんだけど
ドイツのクリスマスマーケットのパートがとても素敵。
ここは行ってみたくなった。

海外にひとりで行って「世界を知っている」気になり、
ツアーの旅行客を馬鹿にする人はよくいるけれど、
そういう人は、人それぞれに人生の優先順位があって、
何を目的にするかが異なっている……ということが
わからないんだと思う。
時間や体力に制限がある中で、
手軽に海外を体験したいという人はいるんだよ。

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139:木下ほうか 『僕が骨髄提供をした理由。』

2019-09-07 18:24:34 | 19 本の感想
木下ほうか『僕が骨髄提供をした理由(わけ)。 言うほどたいしたことなかったで~!』(美術出版社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

人気俳優・木下ほうかさんの生き字引を通して、
今後多くの方に、ドナー登録・骨髄提供についても
考えていただける一冊!
2009年に骨髄バンクを介して骨髄提供をしたことがきっかけとなり、
2017年に骨髄バンクのCMに出演。
有名人として実際にドナー登録をし、骨髄を提供されたのは
稀有な存在だったことから起用されました。
木下さんがCM出演後、登録者数が一気に急増。
先日、放送されたTBS系バラエティ番組『爆報! THEフライデー』で、
初めてテレビで骨髄提供について語り、大きな話題になりました。

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先輩から借りた本。

芸能界には本当に疎いので、著者のことは顔はおろか
名前すら知らない状態だったのだけれども、
胸打たれる本だった。
見た目から予想されるより文字量は少なく、
気負わずに読み切れる。

献血だって骨髄提供だって、健康体の持ち主なら
失うものはほとんどないのだから、
やったっていいんだよね。
それなのに、何か恐ろしいような、強い抵抗を
感じてしまうのはなぜなのだろう。
歳を取って、誰かのためになるのならと
定期的な寄付をするようになった。
(若いころはそんな余裕ない!と思っていた)
それと同じように、残りの人生を意識し始めると
抵抗感も徐々に減っていき、
自分も提供できるようになるのだろうか。

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138:藤枝理子 『もしも、エリザベス女王のお茶会に招かれたら?』

2019-09-05 10:55:31 | 19 本の感想
藤枝理子 『もしも、エリザベス女王のお茶会に招かれたら?-英国流アフタヌーンティーを楽しむ エレガントなマナーとおもてなし40のルール-』(清流出版)

【Amazonの内容紹介】
紅茶には細やかなマナーがあります。
それは心遣いを美しく表す素敵な文化。
人気サロネーゼが教えるティーマナーとおもてなしの作法

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写真がすてきだったから読んでみた本。

三段になってるティースタンド、
好きなとこから食べたらいけないらしい……。
サンドイッチ→スコーン→お菓子の順で
食べ方が決まっているのだそうだ。

階級によってお茶会のマナーがちがい、
ふるまいによって所属階級が出てしまうという。
おそろしいこっちゃ。

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137:林綾野 『浮世絵に見る江戸の食卓』

2019-09-02 22:59:48 | 19 本の感想
林綾野 『浮世絵に見る 江戸の食卓』(美術出版社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

浮世絵を読み解く新提案!
美味しいもの好きの江戸っ子たちが、
どんな食を楽しんでいたか、絵を通してたどります。
食のシーンは、浮世絵の世界に度々描かれてきました。
鰹の初売り、夏の白玉、雪中の蕎麦屋など。
そこには今もなお受け継がれる食文化があり、
また失われてしまった食習慣に気づくこともあります。
食を描いた浮世絵を紐解きつつ、そのレシピも紹介する一冊。
『フェルメールの食卓』(講談社)など、
画家の食や暮らしを紹介した話題の本の著者による待望の新刊です。

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江戸は独身男性の割合が非常に高かったうえ、
屋内で火を使うのが禁止されていたために
外食産業が非常に発達していた……というのは
知っていたのだけど、
実際の食事をビジュアルで見たのは初めてかも。
再現された料理はおいしそうだった。

表紙だけ見た段階では、
「冷蔵庫のない時代、夏に白玉食べたって
 ぬるくておいしくないだろ……」

と思ってたんだけど、そうか、井戸水使ってたから
ちゃんと冷たいんだ。

看板娘の浮世絵、客にセクハラされてるところ描かれて
世に発表されちゃってかわいそう。
当時の感覚として、これはNGじゃなかったんだろうか。
それとも、水茶屋の娘をみくびってるから
こういうのを描いちゃったんだろうか。
水茶屋といいながら実は売春してたところもあったそうなので、
そういう類の店だったのかしらん。


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136:松岡格・ワタナベマキコ 『中国56民族手帖』

2019-08-29 20:05:17 | 19 本の感想
松岡格・ワタナベマキコ 『中国56民族手帖』(マガジンハウス)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

ビビッドな個性が咲き乱れる中華世界へご招待!

北京オリンピックもすぐそこ!

今、一番熱い視線を浴びている国。
では、あなたの知っている中国人はどんな人でしょうか?
広大な大陸には実は56もの民族が。
その県民性?の違いは日本をはるかに超えているのです!
カラフルな女性の民族衣装は
いつもおしゃれな酒井景都さん(デザイナー&モデル)がナビゲート。
まねしたくなるアイディアや、着てみたくなるデザインがてんこ盛り。
あなたのお気に入りはどの衣装?
さらに暮らしぶりに踏み込むと、
ひとつひとつの民族は驚くほど個性たっぷり。
盛大な水掛祭りをするタイ族、お酒が大好きなワ族、
ミュージシャン集団ウズベク族、カエルを崇拝しているプミ族……。
物語あふれる背景に、もう夢中。
今まで見たことがない豊かな中国文化に会いにいこう!

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服も料理も、写真で見たかったよ……。
イラストは可愛いけど、服の質感は全然わからないし。

中国って本当に広い国なんだなあと、改めて思った。
漢民族とモンゴル族の印象だけで
中国のイメージが構成されていたので、
初めて知ったことがたくさんあった。
タイ族、朝鮮族、カザフ族、キルギス族など、
国境を接する国にいる民族と
同じ文化を持つ民族が中国国内にたくさんいるのだ。

「ナビゲーター」と称して、モデルの酒井景都さんが
民族ごとにコメントを入れているのだけど、
役にもたたずおもしろくもない内容ばかりで、
いったい何のためにわざわざ彼女にコメントを入れさせたのか
本当にわからない……
なんだろう、何かしがらみがあったんだろうか……

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135:瀬川貴次『百鬼一歌 菊と怨霊』

2019-08-29 20:02:54 | 19 本の感想
瀬川貴次『百鬼一歌 菊と怨霊』(講談社タイガ)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

これは怨霊の仕業なのか―。
仙洞御所を切り裂く落雷、不可解な殺人事件、
闇夜に消えた呪いの歌声。
時の権力者、後白河法皇を恐怖に震え上がらせた怪事は、
非業の死を遂げた崇徳上皇の祟りだった!?
怪異譚好きの宮仕え少女・陽羽から相談を受けた
天才歌人の希家は、現場に共通して残されていた
謎のメッセージに気付く。
和歌から読み解く事件の真相は?
シリーズ三部作完結巻!

*********************************************

読み終わったあと、裏表紙のあらすじを見た。

「シリーズ三部作完結巻!」

いや、いやいやいや……本気で言ってる!?!?

そもそもシリーズ通しての謎が「彼」の事情だったから、
それが明かされた時点で「おや?」と思ってはいたよ。
でもさあ!
現状、兼実もまだ失脚してない、
中宮の立場もまだ危うくない、という状態だから、
彼のような身分の人間が殺人をおかすほどの動機だとは思えないんだよ。
しかも、1巻で中宮との関係が意味ありげに示されていたから、
それが大きく関わってると思うじゃん。
本人にもよくわからない気の迷いなの????

今回の事件の真相も、
「そこまでするほどの関係じゃないよね?」
って感じではあったけど、たぶん、
シリーズ途中だったらそれほど気にならなかった。
完結巻と考えると、物語がきちんと閉じた感じがなくて残念。

そして、最後まで希家は活躍しなかった……。
シリーズ通しての謎に対して、彼は今巻の終盤まで
「謎」という認識さえしていなかったんだよね。
彼にとってのゴールが設定されていなかったから、
物語が閉じた感がないのか……?
一回くらい「和歌の天才」らしいところを見たかった。
(他人の歌の解説しかしてない!)

18歳の中宮と11歳の帝の関係には、
あいかわらずときめいたし、陽羽も可愛い。
リアルタイムで追っている数少ないシリーズだったので、
しょんぼり。

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134:汀こるもの 『火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿』

2019-08-25 22:30:01 | 19 本の感想
汀こるもの『火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿』(メディアワークス文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

ぼくが出会ったのは火の中でしか生きられない
定めの奇妙な探偵たちだった。

サラマンドラは火の中でしか生きられない――。
パソコン教室の講師として平凡な人生を送っているぼく。
だけど、ある日生徒から持ちかけられた相談により、
ネットに潜むトラブルの渦に巻き込まれることになる。
不用意なブログの書き込みを発端とした
32万アクセスの大炎上案件解決のために
ぼくが頼ったのは、インターネットよろず相談所「さらまんどら」。
火の中で生きる竜「サラマンドラ」を自称する彼らは、
自ら炎上に飛び込んでトラブルを解決するという。
所長のオメガに仲間に引き入れられたぼくは、
このトラブルの「非常識な解決」を目の当たりにする――。

*********************************************

『ただし少女はレベル99』からの流れで。
妖怪ものじゃなければ楽しめるかな~と思い、
読んでみた二作目。
「炎上」をテーマにした現実的な物語のうえ、
こちらは設定にまつわる情報量がセーブされているからなのか、
読みやすく、楽しかった。

オメガと同居している子どもたちについて掘り下げがないのは
続編を想定しているからなのかな。
主人公格2人の過去が明かされてしまったのだけども、
てんこ盛りでもったいなかった……。
半分は2巻めに回してもよかったのでは……と思ったけど、
昨今の出版業界の様子を見る限り
2巻が出るかわからないから、これでいいのか。

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133:亀田俊和 『観応の擾乱』

2019-08-24 08:03:26 | 19 本の感想
亀田俊和『観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』(中公新書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

足利尊氏と直義兄弟、尊氏の子・直冬や執事の高師直、
そして南朝勢力までもを巻き込んだ激しい争いは、
何をもたらしたのか?
論じられることの少なかった内乱を多面的に論じ、
その内実を明らかにする。

*********************************************

昔やってた「ビバリーヒルズ青春白書」みたいに、
固定メンバー内でくっついたり離れたり、
お前らいい加減にしろよ!
……というのが、観応の擾乱のイメージ。

なんだかよくわからんその観応の擾乱を、
史料を丁寧に追って読みとくと……?
というのがコンセプトのこの本。
このあたりのことは、大河ドラマ『太平記』に、
本数冊分の内容を足したレベルでとどまっていたので
知らないことがたくさんあった。
尊氏の息子の義詮が直義を積極的に排斥しようとしてたり、
尊氏vs義詮の構図が発生していたり。
各時期に運営されていた幕府のシステムの欠点と、
御家人たちの動向とのつながりも、興味深く読んだ。

小説『廃帝』でイメージが先にできてしまってるから
そう思うのかもしれないけど、
利用するだけして北朝を守らないの、ほんとひどい。

【メモ】
◆P.153
「『太平記』は事象をうまく説明できない場合、
 中国の歴史を長文で記してごまかす傾向があるようだ」

◆夢中問答集
直義の質問に夢窓疎石が答えた法語を集録したもの


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132:ロイス・セパバーン 『マザンナの風にのせて』

2019-08-22 08:03:47 | 19 本の感想
ロイス・セパバーン『マザンナの風にのせて』(文研じゅべにーる)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

1942年,アメリカ。
日系アメリカ人のマナミは、ワシントン州ベインブリッジ島で、
家族と幸せに暮らしていた。
いつものように学校へ通い、友達と遊ぶ日々は、
ある日突然変わってしまう。
家族で「強制立ち退き」しなければならなくなったのだ。

*********************************************

今年度の読書感想文コンクール(小学校高学年)の課題図書。

アメリカの日系人強制収容を扱っているため、
テーマ性は高い……と読む前は思っていたのだけど。

世界情勢どころか、自分を取り巻く状況さえ
よくわかっていない子どもの視点で進むため、
「戦争のもたらす悲劇」という要素は薄い。
収容所の中でも学校で授業を受けているし、
衣食住に不自由している描写が少ないから
そう思ってしまうのかな。
もちろん不穏な出来事は起こっているのだけど、
主人公がよく理解していないために、
焦点がそこにあっていない、というのは
ある面リアルではあるのだけど。

主人公が可愛がっていた犬を失ってしまうこと、
二度目の喪失を避けるために勇気を奮うこと。
この二つが話の中心。
背景として戦争はあるのだけども、
小学生の感想文を見ても、「戦争」の存在感は薄かった。

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