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★★★★☆
名前はよく耳にしたものの、読んだことがなかったケストナー。
海外文学はカタカナの人名が覚えられないのと、
訳の不自然さが気になるのとで、手を出しにくいのだけれども、
新訳のシリーズだということでチャンレンジ!
親に捨てられたジョニー、成績優秀だが貧しさに苦しむマルティン、
食いしん坊でボクサーを夢見るマティアス、皮肉やのゼバスチャン、
小柄で気の弱いウリ。
ドイツのギムナジウムで過ごす5人の少年たちを中心に、
クリスマスまでの日常を描く物語。
案の定、マルティンとマティアスの区別がつかず、最初は困ったけれど、
訳は自然でとても読みやすい。
少年たちの抱える不遇というものも描かれるのだけれども、
勇気や優しさ、友情をテーマにしたエピソードが積み重ねられていて、
物語としては全体的にとても美しい。
美談すぎるのでは?という気もするけれど、
ナチス台頭の時代に描かれた話だと考えると、重みがあります。
小中学生に安心してすすめられる本。
おしむらくは、「短い!」ということでしょうか。
もっと読みたかった……と思わせるほど登場人物が魅力的。
5人の少年たち、小学生(10~12歳くらい)だと思ってたら、
中学生にあたる学年(13~14歳)だそうで……。
両親からもらえるクリスマスプレゼントにウキウキしたり、
クリスマスに家に帰れないことに涙をながしたり、
正義の先生に心酔したり……
ギザギザハートの中学生を見慣れたわたくしにとっては
こんなかわいい男子中学生の存在など信じられません!
そして「ぶあつい財布を持った天使」はどうかと思った
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