ルイス・セプルベダ『ラブ・ストーリーを読む老人』(新潮社)
★★★★★
エクアドルのアマゾン上流にある村・エル・イディリオ。
かつて入植者として妻とともにこの村へやってきた
アントニオ・ホセ・ボリーバルは、妻を失い、
密林に住むシュアル族とともにすごす中で
森で生き抜くすべを身につけた。
老人となったアントニオ・ホセ・ボリーバルは
自分が字を読めることに気づき、愛の物語を欲する。
本を読める幸福を手に入れた老人だが、
外国人の惨殺死体が見つかり、彼の幸せな時間は
奪われることになる。
**************************************
ルイス・セプルベダはチリ出身、ドイツ在住の作家。
密林で暮らす人々の生活の描写に目新しさもあるけれど、
とにかく力強い、圧倒的な印象の物語。
開発のため、先住民や動物たちは生活を脅かされて
奥地へ逃れざるを得なくなり、
人間の心無い仕業によって、家族を奪われた野生の動物は
人間を憎む。
自然保護問題、自然と人間の関係について考えさせる内容に
なってはいるものの、テーマとして全面的に
押し出されてはいないので説教くささはなし。
屈強で知恵を持つ老人が、甘美な恋の物語を好み、
たどたどしく本を読むのがほほえましい。
ヴェネチアをうまく想像できずに苛立ち、
自分のカヌーを「ゴンドラ」と呼ぼうかなどと考えているのが
とてもかわいい。
絶版だなんて残念。
★★★★★
エクアドルのアマゾン上流にある村・エル・イディリオ。
かつて入植者として妻とともにこの村へやってきた
アントニオ・ホセ・ボリーバルは、妻を失い、
密林に住むシュアル族とともにすごす中で
森で生き抜くすべを身につけた。
老人となったアントニオ・ホセ・ボリーバルは
自分が字を読めることに気づき、愛の物語を欲する。
本を読める幸福を手に入れた老人だが、
外国人の惨殺死体が見つかり、彼の幸せな時間は
奪われることになる。
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ルイス・セプルベダはチリ出身、ドイツ在住の作家。
密林で暮らす人々の生活の描写に目新しさもあるけれど、
とにかく力強い、圧倒的な印象の物語。
開発のため、先住民や動物たちは生活を脅かされて
奥地へ逃れざるを得なくなり、
人間の心無い仕業によって、家族を奪われた野生の動物は
人間を憎む。
自然保護問題、自然と人間の関係について考えさせる内容に
なってはいるものの、テーマとして全面的に
押し出されてはいないので説教くささはなし。
屈強で知恵を持つ老人が、甘美な恋の物語を好み、
たどたどしく本を読むのがほほえましい。
ヴェネチアをうまく想像できずに苛立ち、
自分のカヌーを「ゴンドラ」と呼ぼうかなどと考えているのが
とてもかわいい。
絶版だなんて残念。