
養老孟子『
バカの壁
』(新潮新書)
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
2003年を代表する大ベストセラーであり、
タイトルがこの年の流行語にもなった本書は、
著者の独白を文章にまとめるという実験的な試みであった。
「人間というものは、結局自分の脳に入ることしか理解できない」、
これが著者の言うところの「バカの壁」であり、
この概念を軸に戦争や犯罪、宗教、科学、教育、経済など
世界を見渡し、縦横無尽に斬ったのが本書である。
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平針のブックカフェにて。
本のセレクトはあまり好みじゃなかったけど、
雰囲気はとてもよかった。
さて、かつてバカ売れしていた記憶はあるものの、
読んだことのなかったこの本。
タイトルのインパクトに対して、
中身は至極まっとう……というか、理性的。
もちろん視点の偏りはあるけれど、
なるほどねえ、と思うことが多かった。
初版は2003年なんだけど、古さを感じない。
(というか、15年たっても、この本で取り上げられている
問題が解決していない)
時代を感じたのは、「環境問題」かな。
もちろん解決はしてないんだけど、
一時期環境問題に関する本がうんざりするほど出ていたのに比べると、
最近の扱いは小さいもんね。
【メモ】
・y=ax
xは入力情報、yは反応、aは「現実の重み」
・「個性」は脳ではなく身体に宿っている
・「an apple」と「the apple」の違いは、
助詞「が」と「は」の違い
・オウム真理教がかつて若者たちに支持された理由は、
身体の扱いを示したから
・人生の意味は自分だけで完結するものではなく、
常に周囲の人、社会との関係から生まれる
・インドのカーストは、ワークシェアリングをやっている
