金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
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大河ドラマ「光る君へ」雑感

2024-08-11 12:42:03 | 大河ドラマ「光る君へ」

今日は放送がお休み。

気がつけばもう、折り返し地点も過ぎている。

こちらのコンディションの問題で

身が入らない回というのももちろんあるのだけども、

毎回楽しく見ています。

 

なんか、不思議なドラマだな~とずっと思っている。

史実としてのエピソードがあまり残っていない紫式部の生涯を、

「源氏物語」の元ネタが彼女の人生にあったはず、という発想で

逆算して描いているのが新鮮だし、史実をねじ曲げても、

「創作上等!! 絶対になかったとは言えないでしょ!」

と開き直っているのが清々しい。

キャラ立ても割としっかりしているほうで、

何よりエピソードの積み重ねにちゃんと意味を持たせている

(これがない大河ドラマ、ほんと見るのが苦しい)。

毎回、ヒキをちゃんと作って、

「どうなるの~!?」と興味を引くことにも成功している。

 

が、冷静にふり返ってみると、

 

1.道兼によるまひろの母の殺害

2.直秀の存在とその死

3.さわさんの登場とまひろとの関係性

4.周明の存在と国際ロマンス詐欺

 

このあたり、実はストーリーの展開上、

あんまり必然性がないように思えるのね。

もちろん、1は「まひろと道長の恋の障害」と

「身分社会の残酷さの描写」、

2は「為政者としての道長の方向性を決める契機」

にはなっているし、

3・4も「源氏物語」要素が入っているんだけども、

どうしても

 

エピソードの重さ>必然性

 

に思えてしまうのだった。

つまり、インパクトとヒキのためだけにあったエピだな……という印象。

といっても、リアルタイムで見ているぶんにはそれが気にならないので、

さすがにベテランの脚本家だなあと思うのだけども。

特に1・2は人を殺しているだけに、

「インパクトのためだけじゃない、ちゃんと意味があったよ」

と思わせる回収の仕方をしてほしい……。

 

中関白家や一条天皇の扱いにはちょっと文句言いたいし、

道長とまひろのロマンスは「もうええわ」だし、

上記のメタ的な意図が気になったりもするんだけども、

文学作品の政局との関わりをちゃんと描こうとしてるのが

感じられるというだけで、私は満足。

定子さま・清少納言・実資は、キャスティングも扱いも百点満点だよ!

 

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171:早見一真『95』

2024-08-11 11:03:39 | 24 本の感想
早見一真『95』
 
【Amazonの内容紹介】
 
95年、渋谷。
平凡な高校生だった秋久は、縁のなかった4人の同級生から突然カフェに呼ばれ、
強制的にグループへ仲間入りさせられる。
他校生との対立、ミステリアスな女の子との出会い……
秋久の経験したことのない刺激的な毎日が待っていた。
だがある日、リーダー的存在だった翔が何者かに襲撃されてしまう。
秋久は真犯人を捜すため立ち上がった――。
激動の時代を駆け抜けた少年たちの心の叫びがほとばしる、熱烈青春ストーリー。
 
****************************************
 
Amazon Audible にて。
面白かった!! のだけども、ドラマから入ってドラマありきで読んだ(聞いた)ので、
単独での評価ができず、好み度★はなし。
 
当然ながら、原作のほうが情報量は多いから、
ドラマで特に後半、準モブみたいになってたレオ・マルコ・ドヨンも
こちらではもう少し解像度が上がっている。
特にドヨンは、ドラマではカットされたバックボーンが
彼自身の人物像に魅力をもたらし、
セイラとの間に独自の関係性も生んでいたため、
割を食ったな……という印象。
逆に、主人公のQと翔は、ドラマのほうが
チャーミングな部分やかっこよさを感じる箇所が多く、魅力的。
Qの場合はたぶん高橋海人くんの笑顔の可愛さ、
翔の場合は中川大志くんの育ちのよさそうな感じ・ビジュアルの強さを活かした
キャラ立てによるものだと思う。
特に雰囲気とかオーラみたいなものって言語化しきれない部分だから、
そういう点は映像のほうが有利なんだろうね。
Qの一人称視点で進む原作は、Qの魅力を描くのが難しいのだと思う。
翔も、弱さ・情けなさのほうを強く感じた。
 
原作から改変された部分は多いのだけども、
いずれもその改変の理由に想像はつき、納得できるものだった。
キャラのビジュアルも結構変わっているのだけども、
おそらくセイラを原作準拠で実写化したら、
他の女の子たちとの「画」としての差別化が
難しかったんじゃないかと思う。
ドラマでは、ビジュアルでセイラの特別感がしっかり出ていた。
原作にはなかったQがセイラの写真を取り返しにいく部分も、
「今後、同じようなことが起こってしまうのでは」
という懸念を完全に払拭してくれた。
原作にしかないドヨンのバックボーン、翔の母の差別意識は、
人間の多面性を描いている大事な点ではあったのだけども、
やっぱり地上波のドラマでは触れられないよな……と納得。
 
なにより、原作の早見先生が、
ドラマに対してネガティブな発信を一切せず、
ポジティブに楽しんでくれていたことは、
関係者はもちろん、ドラマのほうのファンをかなり安心させてくれたと思う。
ドラマ化に関して痛ましい事件が起きたばかりだったしね……。
 
原作での翔は政治家になっているので、
当然政略結婚もしているだろうし、
セイラとその娘が出てきたらただの迷惑になってしまうのでは……??
とずっとハラハラしていたのだけども、
その点については一切触れられていなかった。
 
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