金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

38:赤木かん子 編『あなたのための小さな物語3 ロマンティック・ストーリーズ』(ポプラ社)

2007-03-13 09:30:35 | 07 本の感想
赤木かん子 編『あなたのための小さな物語3 ロマンティック・ストーリーズ』(ポプラ社)
★★★★☆

【収録作品】
O・ヘンリ「よみがえった改心」
今市子「夏の手鏡」
アイザック・アシモフ「お気に召すことうけあい」
坂田靖子「春の磯」
ロバート・F・ヤング「空飛ぶフライパン」

この巻は「ひとくせもふたくせもあるラブストーリー」を
集めたとのこと。
オチのおもしろさが光っていて、恋愛の要素は
あまり感じなかった。
読んだことのある作家さんは坂田靖子のみ。
(『堤中納言物語』を読んだ。原作の古典も好き

「お気に召すことうけあい」がだんとつにおもしろい!
ロボット・シリーズという形で出ているらしいので
読んでみようかな。
「夏の手鏡」もおもしろい。
これは「百鬼夜行抄」という漫画のシリーズ。
「よみがえった改心」「空飛ぶフライパン」はもはや
古典的なパターンの話ではある。


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37:ケストナー 『点子ちゃんとアントン』

2007-03-11 12:37:31 | 07 本の感想
ケストナー『点子ちゃんとアントン』(岩波少年文庫)
★★★☆☆

お金持ちの一人娘でユニークな点子ちゃんと、
病弱なお母さんと貧しい家に暮らすアントン。
二人の友情が降りかかる難題を解決!

訳の問題なのかもしれないけれど、
おっさんのような言葉遣いをする点子ちゃんが可愛い。
ケストナーはマティアスやアントンのような男の子が
好きなんだろうなあ……とも思う。
キュートでやさしい物語なので、小学生にも安心してすすめられる。

各章の最後に「立ち止まって考えたこと」という形で
ケストナー自身の解説が入ってしまっているのだけど、
子どもはこういうふうに解説されないと細かいところにまで
気を留めないものだろうか……。
説教くさくなるのでないほうがいい気がするんだけど。
アントンのお母さんが突然おとなげない言動に及ぶのに
やや違和感。

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36:ルイス・サッカー 『穴 HOLES』

2007-03-07 10:27:38 | 07 本の感想
ルイス・サッカー『穴 HOLES』(講談社)
★★★★☆

図書館をふらついていたときにたまたま目に留まり、
「籐子ちゃんが書いていたやつでは?」と借りてきました。

「まずい時にまずいところとに居合わせてしまう」、
運の悪い家系に生まれたスタンリーは、
「まずい時にまずいところに居合わせた」ために
靴泥棒にされて矯正施設へ送り込まれる。
不毛の大地にひたすら穴を掘らされることになるが、
それは人格矯正のためではなく、別の目的がある様子。
友達を追って、スタンリーは死と背中合わせの脱出を図り、
言い伝えの場所を目指すが……
という友情と冒険の成長物語。

ちょっとほろりとくるようなところもあったし、
過去の物語の挿入によって事情が明らかになっていく過程や
第二部後半の対決にはどきどきして楽しんで読めた。
しかし、第三部の後日談はいらなかったなあ……。
とくに「お母さん」の登場が、物語を一気に
現実離れ(というかご都合主義?)させてしまった気がする。
キャンプの仲間たちも、特徴が描かれている割に印象に残らず、
もっとさらっと書き流してしまってもよかったのでは?
そんな気になる点もいくつかあったのだけど、
さりげないエピソードにはりめぐらせた伏線はすごい。
読み終わってからまた軽く伏線チェックをしたのだけど、
うむむ……とうならされた。

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35:アクセル・ハッケ 『ちいさなちいさな王様』

2007-03-04 22:25:19 | 07 本の感想
アクセル・ハッケ『ちいさなちいさな王様』(講談社)
★★★★☆

確か『三四郎はそれから門を出た』で紹介されていたもの。
「ぼくは王様」(寺村輝夫)シリーズと混同していたが、
まったく別の話でした

勤め人の「僕」のもとへやってきた人差し指サイズの小さな王様。
王様の世界では、年を重ねるにしたがって体がだんだん
小さくなっていくという。
死について、夢について、想像することについて……
さまざまな「僕」と「王様」のやり取りから
自分が失ったもの、失いつつあるものにはっと気づかされる物語。

コーヒーに砂糖を投げ入れたり、「僕」のおへそのくぼみに座ったり、
ミニカーに乗ったりするわがままで小さな王様がキュート
いわゆる異文化コミュニケーションの物語なのだけれど、
やさしく可愛らしい話なので子どもにもすすめやすい。
ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵もいい。
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34:白取晴彦 『「数学」はこんなところで役に立つ』

2007-03-02 13:17:55 | 07 本の感想
白取晴彦 『「数学」はこんなところで役に立つ―頭がよくなる図解』(青春出版社)
★★★☆☆

再読。理由あって数年前に購入したもの。
頭がよくなりたくて買ったわけじゃありません
しかし本を読んで頭がよくなるなら、苦労しなくていいですね。

時計ナシで時間をはかる方法や、割り切れない長さを等分する方法、
腕時計で方角を知る方法……などなど、数学を使った雑学集。
この雑学を実際の生活で使うとなると、
あれこれ公式を覚えなきゃいけないので大変です。
しかも「頭がよい」と見せかけることはできても、
本当に頭がよくなるわけではなさそう。
(雑学王=頭がいい人、でないのと同じ)

「1クラスに同じ誕生日の人がいる確率」って、恩田さんの
『黒と茶の幻想』に出てきたなあ。
同じ誕生日の人が一組以上いる確率は約90%だそうですよ。
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33:西尾維新 『クビシメロマンチスト』

2007-03-01 10:43:43 | 07 本の感想
西尾維新『クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識』(講談社ノベルス)
★★★★☆

《戯言シリーズ》2作目。
京都で頻発する通り魔事件の犯人・零崎人識と遭遇した「ぼく」。
互いに「同類」であるとわかった零崎と語り合う「ぼく」は、
大学の同級生・巫女子に誘われて出かけた同級生の誕生日会がきっかけで
連続殺人事件に巻き込まれることになる。

いかにもライトノベル!なテンション、キャラクター。
主人公の語り口は思わせぶりで気取ってるし、
零崎のからみ方も今後の伏線といった感じで
一つの物語としておさまりが悪く、
苦手要素てんこもりなんだけど、でもやっぱりおもしろい。
第1・第2の事件の犯人は、わりと早い段階で見当がついてしまったので、
ミステリとしてはややものたりないんだけど。

「友達」ってなんだ、とか、周囲の世界に埋没できない主人公の内面とか、
書かれていることは特別目新しいものでもない。
1作目と比べるとセンチメンタルで青臭く、
だからこそ主人公と同年代の二十歳前後の頃に読んでいたら
感銘を受けることもあったかもしれない。
今のわたしは「なんだかんだ言って思春期だね」と思うだけだけど。

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