金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

121:森博嗣 小説家という職業』

2010-07-22 22:18:50 | 10 本の感想
森博嗣『小説家という職業 』(集英社新書)
★★★★☆

仕事の素材をさがして、連日書店の新書コーナーに
通う日々……

「ビジネスのツールとしての小説」論であれば
素材として使えるかも?と期待して購入。
しかし、期待していた論説ではなく、
エッセイといった感じ。
「小説家になるためのノウハウ本」でもなく、
デビューのいきさつや自分の考えを述べたもの。
森博嗣が自分について書く文章には、
かなりパフォーマンス的な演出が入っていると思うので、
鵜呑みにはできないのだけど、
その点、彼の語る「ビジネスとしての創作」という考えと
書いているものは一致しているなあ。
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120:村上龍 『テニスボーイの憂鬱』

2010-07-18 18:30:30 | 10 本の感想
村上龍『テニスボーイの憂鬱』(集英社)
★★★☆☆

村上龍の露悪的というのか、下品なところが
苦手なんだけど、これも下品で滑稽で、ちょっと愛しい。
小金持ちのおっさんが、美しい愛人にはまって
恋の始まりに浮かれたり、
愛人の態度の変化、自分の心の変化に戸惑ったり嘆いたり。
こんなおっさんをなぜ若い美人が好きになるのか
不思議で仕方ない。

初版は1985年。
バブル期の雰囲気はなんだか現実離れしているよう。
こういう昔の話を読むと、携帯やメールの出現は
恋愛の形態を変えたなあ……と思う。
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119:平岩弓枝 『華族夫人の忘れもの』

2010-07-16 19:18:21 | 10 本の感想
平岩弓枝『華族夫人の忘れもの―新・御宿かわせみ』(文藝春秋)
★★★☆☆

新シリーズの2巻め。
表題作「華族夫人の忘れもの」では、
そんな話あったなあ~とちょっとだけ懐かしい
オチあり。
麻太郎の出生の秘密に関しては、引っ張り続けたわりに
あっさり……
千春の存在感の薄さは相変わらずで、
いきなり恋心をカミングアウトされても戸惑うばかり。

花世が好きなので、彼女の出番が少なくてさびしい。
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118:多田文明 『ついていったら、だまされる』

2010-07-16 19:02:45 | 10 本の感想
多田文明『ついていったら、だまされる』(よりみちパン!セ)
★★★☆☆

キャッチセールス、デート商法、出会い系サイト、
オレオレ詐欺……etc、
自らだまされにいった実体験をもとにして
「キャッチセールス評論家」となった著者が、
街に人の「思いやり」や「夢」につけこむ
だましの手口を教えてくれる。
キャッチセールスについては中学生のころ
家庭科の授業で教えられたのだけど、
今もそうなのかしら。
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117:青木和雄 『ハードル―真実と勇気の間で』

2010-07-16 15:01:03 | 10 本の感想
青木和雄『ハードル―真実と勇気の間で (ときめき文学館)』(金の星社)
★★☆☆☆

ベストセラーの『ハッピーバースデー』が
なんとなく嫌いなタイプの話のような気がして、
この人の本は読んだことがなかったのだけど、
小学生がこの本をおもしろかったと言っていたので
読んでみた。

有沢麗音という男の子を主人公とした
小6から中2までの物語。
話自体は決して悪くないのだけど、描写が薄すぎる。
まず主人公が、成績も容姿もすぐれた
非常に「正しい」男の子で、仲たがいだとか
家庭の不和だとかいじめだとか、
それなりにつらい目に遭っているにもかかわらず、
感情の描写が少なくて感情移入できない。
彼女らしい光という女の子がいるんだけど、
モテるという設定の裏づけのためだけに
出てきたのでは?ってくらい存在意義が謎。
いじめっこたちの都合のよい改心には
ポカーンとしてしまった。

この作者、大人を書いた部分のほうがうまいなあ。
おもしろそうな要素はたくさん織り込まれていて、
それをエッセンス程度にしか使っていないのが残念。
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116:金子由美子・橋本早苗 『みんなのノート―中学生の巻』

2010-07-15 14:12:30 | 10 本の感想
金子由美子・橋本早苗 『みんなのノート―中学生の巻』(大月書店)
★★☆☆☆

観光地なんかの施設に置いてある訪問帳(?)みたいな
ものかと思って読んだのだけど、
やたらポエムっぽい、しかも大人が中学生になりきって
書いたポエムのようだ……と思ったら、案の定であった。
中学生が書いたほうが数倍おもしろいにちがいない。
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115:あさのあつこ 『晩夏のプレイボール』

2010-07-15 11:43:52 | 10 本の感想
あさのあつこ 『晩夏のプレイボール』(毎日新聞社)
★★★★☆

野球にまつわる10の短編を収録。
中学・高校入試で頻出。

あさのさんの本はいつも読む前に身構えてしまうのだけど
(苦手要素が多いから)これはよかった。
短編のせいか、無駄の無い静かな世界。
目新しさのあるストーリーではないのだけど、
「驟雨の後に」「ランニング」が好きだった。
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114:干刈あがた 『黄色い髪』

2010-07-09 21:43:24 | 10 本の感想
干刈あがた『干刈あがたの世界〈6〉黄色い髪』(河出書房新社)
★★★☆☆

教師によって管理された学校生活の中で
起ったいじめ。
いじめられっ子をかばったことをきっかけに
夏実は孤立し、ある出来事を機に学校へ行かなくなる。
夫と死別し、女手ひとつで師弟を育ててきた母は
動揺し、娘やそのクラスメイト、その母たちと関わる中で
自分の考えのなさや学校の問題点に気づき、
娘を追うようにして夜の町へ出かけていく。
一方の夏実も、行き場がなく町をさまよっている中で
出会った少年少女たちとのやり取りを通して
自分の今後を模索するが……

******************************************

新聞連載が1987年ということで、
背景として描かれる風俗がかなり古めかしい印象。
髪の脱色にオキシドールだしなあ……。
管理教育の様子も、今の中学生なんかが読んだら
ぴんとこないかもしれないけれど、
現在にも通じるいじめや不登校の問題は、
登場人物によって、愚直なくらいに
つきつめて考えられ、話し合われている。
しかしやっぱりもう、「リアル」ではない。
「今」を切り取った小説は、どうしたって
時間がたつにつれて劣化してしていってしまう。

結局、電話をかけてきた女子が誰かっていうのは
明かされなかったなあ。
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113:久保寺健彦 『中学んとき』

2010-07-08 23:45:56 | 10 本の感想
久保寺健彦『中学んとき』(角川書店)
★★★★☆

【収録作品】
「純粋恋愛機械」
「逃げ出した夜」
「願いましては」
「ハードボイルドなあいつ」

この作家さん、初めて。
中学3年生の男の子たちを主人公とした短編集。
「純粋恋愛機械」「願いましては」がおもしろかったな。
特にそろばんに打ち込む男の子を主人公とした
「願いましては」は、また再読したくなるだろうなあ~って
くらいに好み。

中学生ってただでさえ鬱陶しくて面倒くさい時期なのに、
今は携帯電話が普及しているから
それにまつわる悩みの種が増えて、
現役中学生をやるのは本当に面倒くさそう。
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112:富山和子 『海は生きている』

2010-07-05 13:23:36 | 10 本の感想
富山和子『海は生きている』(講談社)

今年の青少年読書感想文コンクール課題図書その2。
テーマから見ても、設問の作りやすさから見ても、
私立中学入試に出るぞー!!という内容。
ただし、この「生きている」シリーズ、
個人的には全然おもしろくないのであった……。
社会科副読本という位置づけらしいので、
一冊の本としてのおもしろさを求めては
いけないのかもしれないが、
一つ一つの話がブツ切りで全体の流れが見えにくいのと、
文章が退屈なのとで、
大人にとっては易しい内容なのに
一冊を読みとおすのがつらい。
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