吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

200錠で致死量? その5

2016年07月06日 05時51分45秒 | 日記
 自殺未遂者に言いたい。実際自殺行為は公序良俗に反する行為なので保険診療の適用にはならず本来はすべて自費なのである(どうせはらえないので精神疾患名をつけて保険診療にすることは多いが)。
 それでその治療費は払えるのか?と問いたい。

 また致死量にも満たない眠剤服用で、もし救命センターにでも搬入されたらそうそう簡単には死ねないということもご理解いただきたい。
 意識がなければ気管挿管され(時に呼吸器がつけられることもあるが)、点滴でもされて数日後には「はっ、あれっ、ここはどこ?」と目を覚ますことになる。

 時に致死量に至らなくとも服用量が多ければ病脳期間短縮のため血液浄化をすることもある。
 そして退院時には、目の飛び出る様な治療費の請求書をみて、また生きる気力を失うのである。
 その方がつらいであろう。

 でも狂言自殺の患者さんをかかりつけの精神科にフォローをお願いしても、また「やって」くるのである。何回か救命センターにくる「おなじみさん」を診るたびこちらは無力感と寂しさを覚えるのである。