吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

救急外来を1日2回受診も誤診 男子高校生が死亡 名古屋の日赤病院 その3

2024年08月24日 06時44分22秒 | 日記
 まず問題となった上腸間膜動脈症候群であるが、この動脈は小腸へ血流をおくる動脈で、これが十二指腸を圧迫し食物の流れを閉塞してしまうものです。つまり腸閉塞を起こすことになります。しかし食後の嘔吐くらいで初期の段階では腹部は不定愁訴しかなく、しかもこの疾患の発生頻度はかなり低く、診断するのはかなり難しいです。専門医でも確定診断は難しいですね。研修医ではかなり荷が重い疾患であり、初期研修医では無理でしょう。自分も過去に1例しか経験がありません。この疾患はやせ形の人がほとんどですが、腹部救急疾患の中では前述の通りかなり少なく、ましてや患者が16-17歳くらいで起こりうるものかどうかも不明で、ほとんど判断できないでしょう。
 いずれにせよ診断は難しいですが、診断の前にまずは脱水の改善が必要でした。