先週、インフルエンザ予防接種を受けたのにもかかわらずインフルエンザA型にかかったお子さんが来た。10歳台は内服の抗ウイルス薬は処方しないようとの勧告が出ているらしいのでそのまま様子を見ていたが、まあほんのわずか1日で解熱した。予防接種をしていると抗体ができているので「軽くてすむ」とはこのことなのだろう。前々日のぐったりした様子はどこへやら元通りの状態であった。やはり予防接種はやっておくにこしたことはない。でも「一度痛い想いをしたのに自分だけなぜ・・?」とちょっと不満げであった。
一昨日の1月10日(土)をもって、インフルエンザ予防接種で区からの補助のおりる最終期限を迎えた。そのせいか、かけこみで数名の人がドドッと接種を受けにこられた。確かに予防接種は任意といえば任意だが、これをやっておけば高熱でウンウンうなされる可能性が少なくなる。年末から飛躍的にインフルエンザにかかって高熱で来院する患者さんが増えた。診察終了時に「来シーズンは予防接種しましょうね」と声をかけるが、熱でうわの空かもしれない。「来シーズンのことを今言われても余計なお世話だ。今このつらいのを何とかしてくれ」と怒られそうかも?
新聞、テレビの力と言うものはかなり強力です。きちんと報道しないと誤解を招く恐れがあります。最近では「酸化マグネシウム」という緩下剤で2名の死亡者がでたと報道されました。この薬は何十年も前から数多くの患者さんに処方されている安全性の高い薬です。でも患者さんの中には「これは危険な薬だから服用したくない」とおっしゃる方も沢山いらっしゃいます。これは完全な誤解です。情報の正しい伝達とはかくも難しいものなんでしょう。
今シーズンは、特にインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けられる方が多くこられています。肺炎球菌ワクチンについてはテレビでの報道でお知りになったそうです。またインフルエンザについては一連の鳥インフルエンザ報道の余波によるものかもしれません。まだ通常のインフルエンザ予防接種がどれほど有効であるのかは分かっていないのですが、これも「気は心」なのでしょうか?
肺炎球菌ワクチンの接種を希望される方も複数名見えられました。肺炎球菌ワクチンはご高齢で特に肺気腫などの肺のご病気を持たれている患者さんには必要だと思います。インフルエンザが毎年必要なのと異なり、こちらは1回打てば5年くらい有効です。腹部手術で胃全摘術の際に脾臓を合併切除することがあります。また外傷などで脾臓摘出した患者さんの場合でも、この肺炎球菌ワクチンは保健適用となります。脾臓のない方は肺炎球菌性の敗血症に10倍くらいかかりやすいといわれています。
今シーズンはインフルエンザの予防接種を受けられる患者さんがとても多いです。しかも自発的に2回受けたいとおっしゃる患者さんも沢山いらっしゃいます。確かに子供さんや高齢者の方は2回打ったほうが安全です。ちなみに65歳以上では2200円の区からの補助がでます。また北区在住の方では75歳以上の方は完全無料です。区役所から用紙をもらってお越しください。因みに当院での2回目の接種では、区からの割引はありませんが、年齢にかかわらず割引で提供いたします。
さて昨年末の話ですが、駆け込むようにして3名の熱発患者さんが見えられました。急に発症した高熱だったのでインフルエンザの迅速検査をしたところA型が陽性でした。そして今年初の診療である昨日も2人A型が陽性に出ました。そろそろ猛威をふるいそうですが、この年末年始の数日間皆様方は如何お過ごしでしたでしょうか? 高熱にうなされた時は強迫的な夢をみて急に起き上がり、追い立てられ逃げるように走り出すことがあります。くれぐれもご注意ください。
平成21年の診療開始です。先代亡父の医院を引き継ぎ1年と2ヶ月になりました。地域の皆さんに信頼頂き、患者さんの数も徐々に増えてまいりました。これもひとえに地域の皆さんに受容れて頂いた結果であると思われます。このようにご評価いただきましたことは光栄でありますと同時に、その重責にますます身も引き締まる想いであります。といいつつ自らは年末年始暴飲暴食にて身が引き締まるどころか、たるんだ我が身と相成りました(笑)。
今後とも、1.適切な診断 2.迅速な治療 3.遅滞ない専門施設への紹介などを心がける所存であります。どうぞ宜しくお願いいたします。