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ビデオを持っていないことあって完全に追えている訳ではないのですが、NHKの朝ドラ「らんまん」では、主人公の牧野万太郎(富太郎)の実家の蔵元が「腐造」で廃業に追い込まれそうになっています。
劇中では、その原因である「火落ち(菌の増殖)」という言葉もドラマの中で杜氏に叫ばれていて、「腐造」とともにネット上で検索数が増えたとか、一躍全国区の言葉になったようです。
恐るべしNHK。
実際、腐造と言うのはコワいことで、当時はこんな本も出ていたようです。
腐造予防 酒造早わかり
で、火入れなどの火落ち菌対策の技術の進展で、現在では火落ち・腐造は最小限になっている訳ですが、当時は腐造と言うのはどのくらいの割合で生じていたのでしょうか?
ちょっと調べてみると、四国でこれらを調べた面白い文献がありました。
それによれば、こんな感じ。
大正元年度以降、五ヶ年を平均すると四国に於ける醸造高27万石、醸造数900軒にして
なるほど、現在では四国の生産量は3万石くらいかなぁ、ということも聞いたことがあるので、十倍くらい作っていたのですね。
で、そのうちの腐造は?というと、
其の内毎年170軒で8千石の變味酒類を発生している。
と、なっています。
これに「持越酒の變味を加えると8千8百万石/200軒」とか、「外に二度火もの(←要調査)3万石」とかの数字も出ていて、
之が全然醇良酒たる場合を想像するとその損失は實に莫大なるもので、更に精神的の打撃に至りては蓋し戦慄すべきものが
ともあります。
まさに戦慄ですが、割合としては?
「變味酒類」≒腐造として、「170軒で8千石」ということは、軒数にして18.8%、量にして3.3%ということになります。
軒数にして18.8%ということは、決して稀なものではないということ。
その上で量にして3.3%というのは、仕込みタンクのロット単位で発生している(ので量は少ない)という解釈ができる一方で、石数の小さい蔵で多く発生しているという考え方もあり得ます。
恐らくこの両方なのでしょうが、いずれにせよ、当時の蔵元さんにとっては決して他人ごとではないリスクだったのですね。
その上で、朝ドラの蔵元さんが廃業に追い込まれたのは、腐造の規模や、そもそも当時の増石税のために、「原料購入⇒醸造⇒税金納付⇒販売で回収」という資金繰りができなくなったからなのでしょう。
この件はきちんと調べた方がよさそうですね。
(パパっと引用するのではなく、ご関心の方はご連絡くださいね)
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