今回は長文ですみません。
私のサイトには、年間多くの人が頚部浮腫(nuchal translucency(NT))と言われ、妊娠中絶をしようと思い、最後の相談をしてくるケースが年間50名近くいます。
しかし、これらの人の中には浮腫が消え無事にお産をして元気な赤ちゃんを産んだ方が多いです。
これっていったい何なのでしょうか?
赤ちゃんの側の問題はあるでしょうが、全てのケースでそこに問題があるわけではなく、
多くの場合は、医師がエコーの検査が出来ていないケースが多いのではないでしょうか。
画像を解析する技術が不足しているのが実情です。
患者へのサービス合戦で、胎児のビデオや4Dの画像をプレゼントします。
機器ばかり最新のものにお金をかけて、導入してもその機器を有効に使い、技術を高め、胎児の成長を見守るという姿勢に欠けているのではないでしょうか。
頚部浮腫に関して、より多くの症例でしっかりとした統計、調査を行ったうえで、妊婦に過度に「悩ませ葛藤させる」ことの無いように、共通のガイドラインがつくられるべきです。
どこの産婦人科に行っても大きくは違わない説明があるべきですが、現実にはその技量や知識には大きな差があります。
医療機器などの発達により、多くの福音がもたらされましたが、一方、過度の医療介入が起こっています。
「こういう所見がある。心配だったら、次の検査を受けなさい。」そうではなくてもう一歩踏み込んで、患者側に立った専門的判断や説明を心掛けて欲しいものです。
なかには、頚部浮腫を告知し、高額な検査をするように勧める医師もいます。
気持ちが動転した患者は、迷わずその検査を予約することは明白です。
医師が勧めてはいけない検査を、利益のためにすることもある。
頚部浮腫などの告知についてもドクターハラスメントではなく、きちんとした説明がなされるべきです。そのためには、画像解析能力が求められます。
時には、妊婦に「妊娠をこのまま継続するか夫婦で結論をだしてください」「中絶を進められる」と言われたら落ち込み悩み苦しみます。
このようなケースでも健康な赤ちゃんを産んだという報告を受けています。
***************
現在15週に入った妊婦です。14週3日で受診した際NT1.7mmのため、染色体異常の可能性を指摘されました。3mm以上でも16週頃には消失してしまう事が多いため私の場合消失しかかっていて、1.7mmという値なのか判断できないそうです。NTという浮腫が認められた場合、ダウン症以外あまり長く生きられない重症の場合もあるのですか?その確率は?どのような子どもでも産んで育てていきたいと思っていますが、出産直後に処置が必要な場合は多いですか?やはり可能性がある以上普通の産科よりそれなりの処置がすぐできる病院を選んだ方がいいのでしょうか?私は今33歳で二人目の妊娠です。
回答 たまごママネット医師団
nuchal translucency(NT)の所見は、妊娠7~8週ごろから確認でき、16~18週には消失する例がほとんどです。一般的には、10~14週の測定値が3~4mm以上を有意として、厚くなればなるほど、ダウン症を代表とする染色体異常(トリソミーなど)のリスクが高くなるといわれています。
幾つか確認したいこともあるのですが、とりあえず14週3日の健診の際のエコー検査で、胎児、羊水などの異常所見も明らかでなく胎児発育も標準であった、14週の健診の1回前の健診では(妊娠何週だったのか分かりませんが)胎児の向きなどによりNTの有無や程度は不明であった、と仮定して考えてみるしかないとおもいますが、異常の可能性はかなり低いと考えてよいのではないでしょうか。少しでもはっきりさせたい、ということであれば、母体血清マーカー検査や羊水出生前検査などの選択もあります。しかし「どのような子どもでも産んで育てていきたいと思っています。」とのことですので、今後は心配しすぎることなく、超音波での胎児の異常がないかの検査を中心に健診を受けて頂いたらよいと思います。万が一、気になることが出てくれば、担当の先生より十分な説明を受けられ、その時の最善の対処法を検討されたらよいのではないでしょうか。
妊婦健診においても超音波検査は必須のものとなっており、サービスの一つといった側面もありますが、「どのような症例に、何を目的として、どのようなレベルの検査を、どの程度の頻度で」、といった検査が持つ本来の視点も忘れないように心掛けています。中途半端な検査、説明で、妊婦さん達に無用の心配をかけないようにしたいと思っております。
***************
また、下記の文章はサポートさせていただいた方からのメールです。
お忙しい中、心のこもったメールをありがとうございます。
たった一度、浮腫が見えただけでも3週間の間、辛い日々を過ごしました。
さて、今日の私の一日のご報告です。
結果から先にご報告しますと、羊水検査は受けないことにしました。
今朝、院長の診察を受けたところ、今回も影は見えませんでした。
ですが、先生の診断は「大丈夫なのかなあ?」と言う曖昧なものでした。
不妊治療の専門医ということで卵や精子には詳しくても、成長した胎児を診断するのは専門外のようで、若い先生を集めて話し合いをした結果が、「大丈夫だってー。」というまたまた曖昧なものでした。
その病院は今日で卒院となり、地元の病院宛に紹介状を書いていただき、帰路につきました。
3週間ぶりに浮腫の写った写真を見たこともあり、帰りの道中、すっきりしない気持ちでいました。
こんな気持ちで悶々と過ごすのも嫌だなあと思い、その足で転院先の病院に行き、産科の先生のご意見を伺ってまいりました。
ここ数週間の超音波写真を見ていただき、内診を受けました。
その先生のご意見では、「継続的に見えたものではなく、一度だけならば羊膜が袋状に見えたと思われるので、特別心配する必要はないと思います」とのことでした。
これで満足です。
100%の答えなど求めてはいないので。
ほんの数パーセントの確率のためにリスクを冒すつもりはないし、この数週間のひどい心配からは開放されました。
前回の流産のこともありますし、どんな確証をもらっても「100%安全」なんてものはないですもんね(笑)
以上で私の影との戦いはおわりです。
今日を限りに思い悩む日々とはさよならです。
元気な赤ちゃんに会えることを信じ、お気楽妊婦生活を満喫することにします。
本当に、ありがとうございました。
************
この方のように前向きになれる人はいいですが、最初にマイナスのことを言われてしまうとそれを継続してしまいます。
無事にお産をしても、妊娠中の心の不安定な状態から、子育てにも支障をきたします。
医師として患者に伝えることが当然ですが、言い方ひとつで患者は不安から這い出せないような結果になります。
ありのままを今の状況を正しく患者に伝えることも医師の大切な仕事ですが、メンタルケアが出来ないような発言で出産まで深い不安が拭えない妊婦さんも少なくありません。
いわゆる『ドクターハラスメント』です。
医学の発達とともに 医師自身の学習も必要なのではないでしょうか。
医師のメンタルケアがなっていないことも不安材料のひとつにつながっていると思います。
それはお腹の赤ちゃんにも悪い影響を与えます。。
妊婦や胎児の気持ちを考えない告知は妊婦とお腹の赤ちゃんを苦しめるだけです。
産科医はエコーの診断技術と告知をする技術を磨いてください。
さらにメンタルケアも学ぶ必要があります。
私のサイトには、年間多くの人が頚部浮腫(nuchal translucency(NT))と言われ、妊娠中絶をしようと思い、最後の相談をしてくるケースが年間50名近くいます。
しかし、これらの人の中には浮腫が消え無事にお産をして元気な赤ちゃんを産んだ方が多いです。
これっていったい何なのでしょうか?
赤ちゃんの側の問題はあるでしょうが、全てのケースでそこに問題があるわけではなく、
多くの場合は、医師がエコーの検査が出来ていないケースが多いのではないでしょうか。
画像を解析する技術が不足しているのが実情です。
患者へのサービス合戦で、胎児のビデオや4Dの画像をプレゼントします。
機器ばかり最新のものにお金をかけて、導入してもその機器を有効に使い、技術を高め、胎児の成長を見守るという姿勢に欠けているのではないでしょうか。
頚部浮腫に関して、より多くの症例でしっかりとした統計、調査を行ったうえで、妊婦に過度に「悩ませ葛藤させる」ことの無いように、共通のガイドラインがつくられるべきです。
どこの産婦人科に行っても大きくは違わない説明があるべきですが、現実にはその技量や知識には大きな差があります。
医療機器などの発達により、多くの福音がもたらされましたが、一方、過度の医療介入が起こっています。
「こういう所見がある。心配だったら、次の検査を受けなさい。」そうではなくてもう一歩踏み込んで、患者側に立った専門的判断や説明を心掛けて欲しいものです。
なかには、頚部浮腫を告知し、高額な検査をするように勧める医師もいます。
気持ちが動転した患者は、迷わずその検査を予約することは明白です。
医師が勧めてはいけない検査を、利益のためにすることもある。
頚部浮腫などの告知についてもドクターハラスメントではなく、きちんとした説明がなされるべきです。そのためには、画像解析能力が求められます。
時には、妊婦に「妊娠をこのまま継続するか夫婦で結論をだしてください」「中絶を進められる」と言われたら落ち込み悩み苦しみます。
このようなケースでも健康な赤ちゃんを産んだという報告を受けています。
***************
現在15週に入った妊婦です。14週3日で受診した際NT1.7mmのため、染色体異常の可能性を指摘されました。3mm以上でも16週頃には消失してしまう事が多いため私の場合消失しかかっていて、1.7mmという値なのか判断できないそうです。NTという浮腫が認められた場合、ダウン症以外あまり長く生きられない重症の場合もあるのですか?その確率は?どのような子どもでも産んで育てていきたいと思っていますが、出産直後に処置が必要な場合は多いですか?やはり可能性がある以上普通の産科よりそれなりの処置がすぐできる病院を選んだ方がいいのでしょうか?私は今33歳で二人目の妊娠です。
回答 たまごママネット医師団
nuchal translucency(NT)の所見は、妊娠7~8週ごろから確認でき、16~18週には消失する例がほとんどです。一般的には、10~14週の測定値が3~4mm以上を有意として、厚くなればなるほど、ダウン症を代表とする染色体異常(トリソミーなど)のリスクが高くなるといわれています。
幾つか確認したいこともあるのですが、とりあえず14週3日の健診の際のエコー検査で、胎児、羊水などの異常所見も明らかでなく胎児発育も標準であった、14週の健診の1回前の健診では(妊娠何週だったのか分かりませんが)胎児の向きなどによりNTの有無や程度は不明であった、と仮定して考えてみるしかないとおもいますが、異常の可能性はかなり低いと考えてよいのではないでしょうか。少しでもはっきりさせたい、ということであれば、母体血清マーカー検査や羊水出生前検査などの選択もあります。しかし「どのような子どもでも産んで育てていきたいと思っています。」とのことですので、今後は心配しすぎることなく、超音波での胎児の異常がないかの検査を中心に健診を受けて頂いたらよいと思います。万が一、気になることが出てくれば、担当の先生より十分な説明を受けられ、その時の最善の対処法を検討されたらよいのではないでしょうか。
妊婦健診においても超音波検査は必須のものとなっており、サービスの一つといった側面もありますが、「どのような症例に、何を目的として、どのようなレベルの検査を、どの程度の頻度で」、といった検査が持つ本来の視点も忘れないように心掛けています。中途半端な検査、説明で、妊婦さん達に無用の心配をかけないようにしたいと思っております。
***************
また、下記の文章はサポートさせていただいた方からのメールです。
お忙しい中、心のこもったメールをありがとうございます。
たった一度、浮腫が見えただけでも3週間の間、辛い日々を過ごしました。
さて、今日の私の一日のご報告です。
結果から先にご報告しますと、羊水検査は受けないことにしました。
今朝、院長の診察を受けたところ、今回も影は見えませんでした。
ですが、先生の診断は「大丈夫なのかなあ?」と言う曖昧なものでした。
不妊治療の専門医ということで卵や精子には詳しくても、成長した胎児を診断するのは専門外のようで、若い先生を集めて話し合いをした結果が、「大丈夫だってー。」というまたまた曖昧なものでした。
その病院は今日で卒院となり、地元の病院宛に紹介状を書いていただき、帰路につきました。
3週間ぶりに浮腫の写った写真を見たこともあり、帰りの道中、すっきりしない気持ちでいました。
こんな気持ちで悶々と過ごすのも嫌だなあと思い、その足で転院先の病院に行き、産科の先生のご意見を伺ってまいりました。
ここ数週間の超音波写真を見ていただき、内診を受けました。
その先生のご意見では、「継続的に見えたものではなく、一度だけならば羊膜が袋状に見えたと思われるので、特別心配する必要はないと思います」とのことでした。
これで満足です。
100%の答えなど求めてはいないので。
ほんの数パーセントの確率のためにリスクを冒すつもりはないし、この数週間のひどい心配からは開放されました。
前回の流産のこともありますし、どんな確証をもらっても「100%安全」なんてものはないですもんね(笑)
以上で私の影との戦いはおわりです。
今日を限りに思い悩む日々とはさよならです。
元気な赤ちゃんに会えることを信じ、お気楽妊婦生活を満喫することにします。
本当に、ありがとうございました。
************
この方のように前向きになれる人はいいですが、最初にマイナスのことを言われてしまうとそれを継続してしまいます。
無事にお産をしても、妊娠中の心の不安定な状態から、子育てにも支障をきたします。
医師として患者に伝えることが当然ですが、言い方ひとつで患者は不安から這い出せないような結果になります。
ありのままを今の状況を正しく患者に伝えることも医師の大切な仕事ですが、メンタルケアが出来ないような発言で出産まで深い不安が拭えない妊婦さんも少なくありません。
いわゆる『ドクターハラスメント』です。
医学の発達とともに 医師自身の学習も必要なのではないでしょうか。
医師のメンタルケアがなっていないことも不安材料のひとつにつながっていると思います。
それはお腹の赤ちゃんにも悪い影響を与えます。。
妊婦や胎児の気持ちを考えない告知は妊婦とお腹の赤ちゃんを苦しめるだけです。
産科医はエコーの診断技術と告知をする技術を磨いてください。
さらにメンタルケアも学ぶ必要があります。