津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(廿六)鷹之御間申渡之式‐(一)

2021-08-23 11:43:12 | 有吉家文書

○鷹之御間申渡之式(一)

    江戸御留守居以下士席
定日
  御在国       御在府
     九日         四日
     廿一日       十四日
     廿八日       廿三日
 右之外臨時申渡之儀有之御留守年ハ節句ハ詰間休日ニ付見合節句又ハ不時寄合之節茂申渡候事
    右の外臨時申渡しの事があり、御留守年(御在府)は節句は詰間休日に付見合せ、節句又は不時寄合いの節も申渡す事
一御用有之面々前々日頃組脇等江及達若急成節ハ前日及達候事も有之候尤召状名元者奉行所又ハ御用番名前ニ而夫々極有
 之委ハ略之
    御用有る面々は前々日頃、組脇等へ達に及び、若し急の節は前日達に及ぶ事も有る、尤召状名元は奉行所又は御用番名前にて夫々極が有るが、委し
 くは略す

    但御家老組ハ其組之御番頭江及達若差支候節ハ無役着座江及達候尤同道無之分ハ御用番より頭江直達之事
    但御家老組は其組の御番頭へ達におよび、若し差支えれば無役着座へ達に及ぶこと、尤同道なき分は御用番より頭へ直に達す事
一同席ハ例刻出仕之事
    同席は例の刻に出仕の事
一申渡ニ付而之諸書付者御用之面々出答相揃候上佐弐役より文箱之蓋ニ入御奉行江差出御奉行より御用番江差出し書付数
 左之通

    申渡に付ての諸書付は、御用の面々出答相揃いの上、佐弐役より文箱の蓋に入御奉行へ差出し御奉行より御用番へ差出し書付の数左の通り
一繰出名附御奉行より差出次第即刻御小姓頭ヲ詰間へ呼御用番より相渡
 繰出名附御奉行より差出し次第、即刻御小姓頭を詰間へ呼び御用番より相渡す
一申渡之書付
    懐中いたし申渡皆相済其座ニ而御奉行江相渡候尤巻返返ニ不及此書付以前ハ当日致順覧候得共御辞令ハ家々ニ残
    重キ事ニ付丹生入念可遂巡覧旨先年従少将様被仰付候以前前日巡覧ニ相成候事

 申渡しの書付
    懐中いたし申渡し皆相済み、其座にて御奉行へ渡す、尤巻返返に及ばず、此書付以前は当日順覧いたせば御辞令は家々に残す、重い事に付丹
    生入念に巡覧すべき旨、先年少将様より仰付られる、以前は前日巡覧ニに成る事

一拝領物之御目六半切、三折
 拝領物の御目録 半切、三折
    申渡前ニ御目附を詰間ニ呼御用番より相渡置候左候而申渡之席ニ而当人々々江御目附より引渡減知之書附は右同
    道人江相渡候事

    申渡前に御目附を詰間に呼び、御用番より渡置くこと、そして申渡の席にて当人々々へ御目附より引渡す、減知の書附は右同道人へ渡す事
一御請書
    申渡相済毎々文箱ニ入坊主江持せ御用人江差出候事
       但御在府者御便之節在江戸同席江申向候事
    申渡しが済み毎々文箱に入れ坊主に持せ御用人へ差出しの事
       但御在府の者は御便の節、江戸に在る同席(家老)へ申向う事
一御用番者鷹之御間内南より横畳四枚目東より九尺を後にして落間之方向座着直ニ懐中より書付二通取出申渡之趣之書附
 ハ右脇江置申渡之書附を披持居候尤下ニ置候而も不苦候事

 御用番は鷹の御間の内南より横畳四枚目・東より九尺を後にして落間之方向座着、直に懐中より書付二通取出し申し、渡しの趣の書附は右脇に置、
 申渡の書附を持たせ居ること、尤下に置ても苦しからざる事

    但已前ハ常々口上ニて申渡来候得共近年ハ読渡之方ニ相成候且御用番召出其外臨時差支候節ハ加番之面々之内よ
    り申渡儀茂有之候
    但以前は常々口上にて申渡し来たれ共、近年は読み渡しの方に成り、且御用番召出し其外臨時の差支えの節は加番の面々の内より申渡すこ
     とも有ること

一御家老組之面々同道ハ其組之御番頭若差支之節者無役着座ニて候御中老支配は御小姓頭等同道之事
 御家老組の面々の同道は、其組の御番頭若し差支えの節は無役着座であること、御中老支配は御小姓頭等同道の事
一御用番書付を披候得ハ御小姓頭并御使番より繰出し候左候得ハ頭等当人を召連鷹之御間御敷居内ニ入帯剣東頭ニ御用番
 江向平伏申渡候上頭ハ当人之方を向当人ハ頭之方江向御辞儀仕夫より頭ハ御用番江向御請申上退去何人ニても如此尤御
 目録等ハ御目附より当人江
相渡之間御用番江向頂戴之仕候事
 御用番書付得られれば、御小姓頭并て御使番より繰出しのこと、そうして頭等当人を召連れ、鷹の御間御敷居内に入り帯剣東頭に御用番へ向い平伏
 申渡しの上、頭は当人の方を向、当人は頭の方へ向御辞儀仕、夫より頭は御用番へ向き御請け申上げ退去、何人にても此のごとく、尤御
目録等は御
 目附より当人へ相渡され御用番へ向い頂戴仕る事

一申渡相済其座ニて前条之通書付を七人ニ相渡元之如退去之事

 申渡しが済み其座にて前条の通り書付を七人に渡し元の如く退去の事
一同席申渡様有之身分伺有之節ハ例を茂相添奉伺不被遊御構旨被仰出候得者其段及通達候事
 同席(家老)申渡し様    有之身分伺有之節ハ例を茂相添奉伺不被遊御構旨被仰出候得者其段及通達候事
一御小姓頭より繰出召連身分伺有之節ハ即答之例ニ候事
    但寛永十二年七月田中加治儀同道人楯岡亥一郎を繰出洩候付伺出有之亥一郎茂同前之儀之処不罷出候付伺有之両
    人共一夜被受置候事 
 御小姓頭より繰出し召連れの身分伺が有る節は即答の例の事
    但寛永十二年七月、田中加治儀同道人楯岡亥一郎を繰出洩候付伺出有之亥一郎茂同前之儀之処不罷出候付伺有之両
    人共一夜被受置候事 
     

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(廿五)佐野御間申渡之式

2021-08-22 08:43:45 | 有吉家文書

  ○佐野御間申渡之式

   組外以下比着座
一申渡之書付等如例佐弐役より御用番江差出候事
    申渡しの書付等は例のごとく佐弐役より御用番へ差出しの事
    但鷹之御間申渡一同ニ有之節者鷹之御間申渡之書付例之通御奉行より順覧ニ差出其後佐野御間申渡之書付を鷹之
    御間申渡之書付之口ニ
佐弐役手許ニて継候而佐弐役より直ニ御用番江差出候事

    但、鷹の御間での申渡し一同に有るせつは、鷹の御間申渡しの書付例の通り御奉行より順覧に差出し、其後佐野の御間申渡しの書付を鷹の
     御間申渡しの書付の口に佐弐役手許にて継いで佐弐役より直に御用番へ差出しの事

一同席通筋者鷹之御間申渡之通ニ而同御間外之御入側より繰付之前を踏通り佐野御間御入側之方 佐野之御間西御襖際より
 御床
之前ニ参南向東頭ニ座着之事
    同席(家老)通り筋は、鷹の御間申渡しの通にて同御間外の御入側より繰付の前を踏通り、佐野の御間御入側の方 佐野の御間西の御襖際より御床
 の前に参り南向東頭に座着の事

一御用番者同御間南より横畳四枚目西より弐間を右ニ当繰付之方を向座着之事
 御用番は同御間南より横畳四枚目西より弐間を右に当繰付の方を向き座着の事
一御用番座着之上ニて御小姓頭より繰出候得者同道人当人を召連同御間御敷居内東頭ニ平伏鷹之御間之通候事
 御用番座着の上にて御小姓頭より繰出せば、同道人が当人を召連れ同御間御敷居内にて東頭に平伏することは鷹の御間の通りである事
    但同席之子跡目被仰付候節ハ同道人無之候事
    但同席(家老)の子跡目仰付られる節は同道人は無い事
一申渡相済其座ニ而御奉行・御小姓頭江書付相渡儀鷹之御間之通尤引続鷹之御間之申渡有之節ハ此所ニ而書付不相渡鷹之
 御間申渡相済例
之通相渡候事
 申渡しが済み其座にて御奉行・御小姓頭へ書付を渡し事は鷹の御間の通り、尤引続き鷹の御間の申渡有しの節は此所にて書付は渡さず、鷹の御間で
  申渡しが済み例の通り渡す事

一右之通引続鷹之御間申渡有之候節ハ此所申渡相仕廻御用番先ニ立列座之面々之跡ニ付御奉行・御目附茂引添中之御入側
 より鷹之御間江参例之通座着之事
 右の通り引続き鷹の御間で申渡しが有る節は、此所で申渡しを仕廻、御用番が先に立列座の面々の跡に付、御奉行・御目附も引添い中の御入側より
  鷹の御間へ参り例の通り座着の事

    但両御間之境御襖ハ建有之候事
    但両御間の境の御襖は建こまれてある事
一着坐之人隠居家督之節父子出方有之候得者子ハ大組ニて候得共父一同ニ佐野御間ニて申渡親出方無之子計之節ハ鷹之御
 間ニて申渡候事
 着坐の人の隠居・家督の節は父子出方有れば大組であるが、
父と一緒に佐野の御間にて申渡し、親出方がなく子計かりの節は鷹の御間にて申渡しの
 事

一着坐之人隠居家督之節父子出方有之候得者子ハ大組ニて申渡候事

 着坐の人の隠居・家督の節は父子出方有れば、子は大組にて申渡しの事
    但御用人平井太郎八隠居申渡後詰間江罷出候へも文化十一年七月廿一日御奉行町孫平太右同断之節ハ口之御間ニ
    て致対面候事
    但御用人平井太郎八が隠居申渡し後詰間へ罷り出たが、文化十一年七月廿一日御奉行の町孫平太右同断の節は口之御間にて対面いたした事
一阿蘇大宮司も右御間ニをゐて分職御奉行同道申渡候事
 阿蘇大宮司も右の御間において分職御奉行(寺社担当の奉行)同道のうえ申渡しの事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(廿ニ)御在國年五節句御禮式・一

2021-08-19 08:25:43 | 有吉家文書
  御在國年五節句御禮式・一       
        五節句=人日(じんじつ。正月七日)、上巳(じょうし。三月三日)、端午(五月五日)、七夕(七月七日)、重陽(ちょうよう。九月九日)

一五半時之揃ニ付麻上下着五時出仕之事
 五つ半時の揃ニに付、麻裃着五つ時に出仕の事
一御機嫌伺無之候事
 御機嫌伺いは無い事
一同席不参之面々并隠居より之使者者差出相成候間相揃候上坊主より知せ候得ハ御用番口之間二枚屏風之角西と南ト壱間
 之所
直ニ座着使者は坊主衝立之陰より繰出候得ハ北之壁付東頭ニ罷出謁候
 同席(家老)で不参の面々并隠居よりの使者は差出しに相成り、相揃ったる上坊主より知せあれば御用番口の間の二枚屏風の角、西と南と壱間の所
 直に座着、使者は坊主衝立の陰より繰出せば北の壁付き東頭に罷出て謁する事

    但御一門衆使者御在國者御小姓頭之方江差出ニ相成候間御請詰所へ答ハいたし候由之事
    但御一門衆の使者は、御在國者御小姓頭の方へ差出しに成り、御請け詰所へ答はいたすことの由の事
一右使者謁相済候得者機密間より申上之書付二通当代一通隠居同差出候間御請書上之箱ニ入坊主を以御用人江遣候事
 右使者謁相済めば、機密間より申上の書付に通り当代一通、隠居も同じく差出せば御請書上の箱に入れ、坊主を以て御用人へ遣す事
一御禮相始候節ハ御小姓より案内有之御一門衆同席三家嫡子 見習出方無之人共 一同ニ多門より御立之間外東板椽を通り中
 柱
御間江罷出佐野御間御椽側御使番列座之前を罷通坐着風鳥御礼口より入御杉戸を後ニ〆南頭ニ座着御一門と同席中之
 間タ不及欠席致坐着候 右中柱迄通筋
出仕之面々坐着ニ相成居候得共会尺ニ不及罷通候事 此儀書付ハ同席風鳥之御杉
 戸後ニシテ
 御禮が始った節は御小姓より案内が有り、御一門衆同席(家老)三家嫡子 見習の出方が無い人達 一同に多門より御立の間、外東板椽を通り中柱の
 御間へ罷出、佐野の御間御椽側御使番列座の前を通り坐着、風鳥御礼口より入り、御杉戸を後に閉め南頭に座着、御一門と同席(家老)中の間欠席
 致すも及ばず坐着する 右中柱迄通筋出仕の面々坐着に成り居れば会釈に及ばず罷り通る事 此のことの書付は同席風鳥の御杉戸後にして

一御出座之節大御目附平伏之様子を見坐着致し候付御向詰無之と決何れも平伏之事
 御出座の節、大御目附平伏の様子を見て坐着致すに付、御向詰無之と決し何れも平伏の事
一御座着之被遊候を奉見上候而一同ニ九曜之御間御敷居内ニ入壱畳目ニ而一同ニ御禮申上候尤御一門衆ハ二畳ニ進御祝儀
 申上候段
丁口より御一門衆不参之時ハ同席丁口より申上被申上夫より御一門衆始九曜之御間南之御入側江列座之事
 御座着遊ばされるを見上たてまつりて一同に九曜の御間の御敷居内に入り、壱畳目にて一同に御禮申上げること、尤御一門衆は二畳目に進み、御祝
 を申上げること、丁口より御一門衆不参加の時は、同席丁口より申上げ夫より御一門衆始め九曜の御間南の御入側へ列座の事

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■有吉家文書解説‐「年中行抜粋」(廿一)御発駕ニ付而為御見立大津御一宿江罷出候式(ニ)

2021-08-16 16:43:27 | 有吉家文書

 御発駕ニ付而為御見立大津御一宿江罷出候式(ニ)

一翌朝御供揃之前ニご用人間へ罷出居候事
 翌朝御供揃の前にご用人間へ罷り出居る事
    但罷出宜時分ハ御用人より知らせ有之候得共見計前廣ニ罷出居候事
    但罷り出宜しき時分は御用人より知らせがあるけれども見計い前廣に罷り出居る事
一御発駕前ニ被召出候間御用人より案内有之御帰國之節之通御居間へ罷出御手熨斗長のし頂戴例之面々江御意之趣被為在
 候間奉伺直ニ下り候事
 御発駕前に召出さるにつき御用人より案内あり、御帰國の節の通り御居間へ罷り出、御手熨斗・長のし頂戴し、例の面々へ御意の趣きあらせられ
 るので伺い直に下る事
    但御人拂之御用も有之候ハヽ前条之通候事
    但御人拂の御用も有るときは前条の通りの事
一夫より御用人間へ控居候ヘハ御意之趣之稜付御用人より差出候事
 夫より御用人間へ控え居れば、御意の趣の稜付御用人より差出さる事
    但右稜付者手廻之ため堂免ニ取置候儀も有之候事
    但右稜付は手廻のため堂免に取置くことも有る事
一御供廻り之時御居間御次之椽より下り御路地内御向側中門際ニ罷出居御居間より被遊御出候を奉見上下坐御駕之戸明候
 所ニ而御辞儀仕夫より御駕御通ニ相成御路地外迄罷出御跡ニ而元之如上御用人間江罷越候事
 御供廻り之時、御居間御次の椽より下り、御路地内の御向側中門際に罷る出居り、御居間より御出あそばされるを見たてまつるうえ下坐、御駕の戸
 が明いた
所にて御辞儀仕、夫より御駕御通り成り御路地外迄罷り出、御跡にて元の如く上り御用人間へ罷越す事
    但手傘草履御路地江下り様家来心得等諸事御迎之通候事
    但手傘・草履御路地への下り様は、家来心得等諸事御迎の通りの事
一供者御次小姓より致世話廻候得者御発駕後ハ早速御玄関江供相揃候之様急而可申付置事
 供は御次小姓より世話いたし廻れば、御発駕後は早速御玄関へ供相揃い様急いで申付け置く事
一右之通ニ而相済旅宿江直ニ致着替罷帰候事
 右の通にて相済、旅宿へ直に着替いたし罷帰る事
一帰宅之上只今罷帰御意之趣有之候間明日於御殿可相達段御用番江以紙面申達候之事
 帰宅の上只今罷帰り御意の趣が有るので明日御殿において相達すべき段、御用番へ紙面をもって申達の事
一翌日寄合平服ニて例刻出仕御一門衆同席中三家嫡子於詰間例之通御意申達夫より於口之間例之面々右同断之事
 翌日寄合平服にて、例の刻に出仕、御一門衆同席中三家嫡子詰間において、例の通り御意を申達、夫より口の間において例の面々へも同断の事

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■有吉家文書解説‐「年中行抜粋」(廿)御発駕ニ付而為御見立大津御一宿江罷出候式(二)

2021-08-14 09:57:22 | 有吉家文書

御発駕ニ付而為御見立大津御一宿江罷出候式(二)

一丁口同席一人取合として九曜之御間内御無目敷居より横畳四枚目南之御敷居を後ニシテ御座所を向御出座前坐着之事
 丁口同席(家老)一人取合として九曜の御間内の御無目敷居より横畳四枚目南の御敷居を後にして御座所を向き御出座前に坐着の事

    但御用人、御右筆罷出候を矩ニ列座より進出候事
    但御用人、御右筆罷り出るを矩に列座より進出る事
一列座之面々は皆帯剱、拝聞之面々ハ鷹之御間より右衝立外之様ニ脱剱之事
 列座の面々は皆帯剱、拝聞の面々は鷹の御間より右衝立外の様に脱剱の事

一御出座之節如例皆一同ニ平伏御意左之通
 御出座の節例のごとく皆一同に平伏、御意は左の通

    今度参勤ニ付、謹方之儀ニ付、書付を読聞せ候事
    今度参勤に付、謹方の儀に付、書付を読聞せの事
一御取合之同席御前江奉向御請左之通
 御取合の同席、御前へ向きたてまつり御請のこと左の通

    御意之趣いつれも奉得其意
    御意の趣いつれも其意得たること
  右之通ニ而一同平伏被為入候上ニ而退去之事
 右の通にて一同平伏入られたる上にて退去の事

一右退去之上御城代被仰付候御一門衆より御用番江被仰出之趣被申達候間、佐弐役江其段申聞候事
 右退去の上、御城代仰付られたる御一門衆より御用番へ仰出さる趣申達せられ、佐弐役へ其段申聞せる事
    但御用番江逢被申度旨以坊主被申越候間、彼衆詰間江罷越候得者本行之通被申達候御次被仰渡    
    但御用番へ逢し申度たき旨坊主をもって申越され、彼衆詰間へ罷り越されれば本行の通り申達せられ御次仰渡さる
一御用人より案内有之最前之通九曜之御間御入側江列座御取合之人茂最前之通坐着之事
 御用人より案内有り最前の通り九曜の御間の御入側へ列座、御取合の人も最前の通り坐着の事

    但御一門衆御三家嫡子并御備頭御留守居大頭大御奉行列座無之候事
    但御一門衆・御三家・嫡子并御備頭・御留守居大頭・大御奉行列座はない事

一同席之組者不参ハ追而於宅麻上下着之拝見有之候、御備頭之組ハ例年之御事ニ付、於宅之拝見ハ無之由候事
 同席の組は不参は追って宅において麻裃着の拝見があり、御備頭の組は例年の事に付、宅においての拝見は無いとの事
一御留守中御城代何某殿被仰付候段、例之所々江知せ、組持之同席ハ書付受取候事
 御留守中御城代何某殿仰付らるにつき、例の所々へ知せ、組持の同席は書付け受取る事

一今日御番頭被召出候事 但此召出之儀者御用人江相尋候處寛政七年以来今日比召出之儀致連綿居候段、御用人被申聞候之事
 今日御番頭召出さる事 但此召出しの事は、御用人へ尋ねたる處、寛政七年以来今日比召出しのこと連綿いたし居ること、御用人申聞さる事

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■有吉家文書解説‐「年中行抜粋」(廿)御発駕ニ付而為御見立大津御一宿江罷出候式(一)

2021-08-13 14:49:00 | 有吉家文書
御発駕ニ付而為御見立大津御一宿江罷出候式(一)

一御退出後宿本早々御仕舞野袴着出立大津会所江致到着候事
 御退出の後宿本早々御仕舞野袴着して出立、大津会所へ到着いたす事
     但伺御機嫌之稜付持参之事
    但御機嫌伺いの稜付持参之事
一夫より麻上下着御茶屋御門ニて下乗家来より致先答御玄関より上御用人間江罷通候事
 夫より麻裃を着し御茶屋御門にて下乗、家来より先答し御玄関より上り御用人間へ罷通る事
     但供帰且家来ハ残置候儀等御迎之節之通候事
    但供帰り且家来は残置くこと等、御迎の節の通りの事
一御用人江奉伺御機嫌候事
 御用人へ御機嫌うかがいの事
一召出之節御用人より案内有之御居間入口二枚屏風之外ニ脱劒御帰國之節之通罷出候今晩御手熨斗頂戴無之此節御吸物・
 御酒・御肴一種被遊
御祝右之御残於御前頂戴被仰付候間御入側江罷出暫御咄申上此時御用人被召出儀も有之下候上御用
 人江
御禮申上候事
 召出の節御用人より案内が有り、御居間入口の二枚屏風の外に脱劒し、御帰國の節の通りに罷り出、今晩御手熨斗頂戴は無く、此節御吸物・御酒・
 御肴一種遊され、御祝の御残りを御前において頂戴仰付られ、御入側へ罷り出暫く御咄申上げ、此時御用人を召出されることも有りその上、御用
 人へ御禮申上げる事

     但御人拂之御用も有之臨時之御模様ニ可應事
    但御人拂の御用も有り、臨時の御模様に應じるべき事
一御発駕後御花畑御間内■々見分之儀申上候事                      ■ 扌編にメ (締め)
 御発駕後、御花畑御間内締々見分のことを申上げる事           
     但文政十二年御発駕之節本行之通
     但文政十二年御発駕の節本行の
一右畢而於御用人間御吸物御酒御肴一種一汁三菜之支度被下置候間頂戴之上猶御禮申上旅宿へ引取候事
 右終わって御用人間に於いて、御吸物・御酒・御肴一種一汁三菜の支度下し置かれ、頂戴の上猶御禮申上げ旅宿へ引取る事
     但此頂戴ハ御断申上候而も不苦
     但此頂戴は御断り申上げても苦しからず
一右御前通且御次ニて之頂戴ハ以前より之御究ニ而文化十一年之各別御倹約中ニも御様子違不申候事
 右御前通且御次にての頂戴は以前よりの御究めにて、文化十一年の各別御倹約中にも御様子違い申さずの事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(十八)御発駕之式・二

2021-08-10 07:23:18 | 有吉家文書

一御發駕被為済候上御小姓頭より案内有之御一門衆初中柱之御間江罷出南側東頭北向ニ座着御用人一人北之御給仕口御衝
    立之際ニ控居いつれも之座着を見受罷出候得者御歓謁夫より直ニ御小姓組一人御熨斗出坐順之通致頂戴御熨斗ハ不及取
 御三方を戴右之引取懸御一門衆同席中向合恐悦申述候事
 御發駕済みれた上御小姓頭より案内が有り、御一門衆初め中柱の御間へ罷出、南側東頭北向に座着、御用人一人北の御給仕口御衝立の際に控居り、
 いつれもの座着を見受て罷り出れば御歓謁、夫より直に御小姓組一人御熨斗出し坐順の通り頂戴いたし、御熨斗は取におよばず
御三方を戴き右の引
 取懸、御一門衆・同席中向合い恐悦申述べる事

    但本行御歓ハ上々様まてニ而御隠居様若殿様江者御留守居、大頭同列以上便状勤有之組ニ不入御中小姓以上即日
    御家老、御中老廻有之候事
    但本行御歓は上々様まてにて、御隠居様・若殿様へは御留守居、大頭同列以上便状にて勤めあり、組に入らぬ御中小姓以上は即日御家老、
     御中老廻りが有る事

          御歓事等之節御熨斗蚫頂戴ハ御省略中被差止候得共熊本御發駕者格別之御事ニ付此御歓ニ限頂戴有之候事
       御歓事等の節、御熨斗蚫頂戴は      御省略中被差止候得共熊本御發駕者格別之御事ニ付此御歓ニ限頂戴有之候事
一夫より御一宿江罷出候同席へ御一門衆同席中三家嫡子御迎之節之通奉得御機嫌候且又大奉行大御目附以下例之面々口之
 間ニ而右同断之事
    夫より御一宿(大津お茶屋)へ出かけた同席(家老)へ御一門衆・同席中・三家嫡子御迎の節の通り御機嫌うかがいたてまつり、且又大奉行・大御
 目附以下例の面々口の
間にて右同断の事
    御備頭、御留守居大頭者伺御機嫌無之候右者文化十四年御發駕前沼田江承候處如此 但御一宿江御歓状仕出は一切
    無之
    御備頭、御留守居大頭は御機嫌は無い、これは文化十四年御發駕前沼田(勘解由)へ承りかくのごとくである、 但御一宿へ御歓の状の仕出
     は一切ない

一夫より御一宿江罷出候同席ハ御機嫌伺之稜付佐弐役より御用番江差出候を受取早々退出之事
 夫より御一宿へ罷出た同席(家老)は御機嫌伺の稜付佐弐役より御用番へ差出したものを受取り早々退出の事
一大御奉行、大御目附を初例之面々詰所へ罷出御用番江御歓謁候事
 大御奉行、大御目附を初め例之面々詰所へ罷り出、御用番へ御歓謁の事
一御備頭、御留守居大頭詰間江出方有之候事
 御備頭、御留守居大頭は詰間へ出方有る事
    但壱里山江出方之両人茂以前ハ詰間へ出方有之候處、近年ハ其儀無之
    但壱里山へ出方の両人も以前は詰間へ出方があったが、近年は行われない
一御發駕後御同日御間内見分有之御用番一人ニても左之通
 御發駕後の同日、御間内見分が有り御用番一人にても左之通
一前以御用人江懸合置候得者御發駕後御■等を付候上案内有之候事
 前以て御用人へ懸合って置けば、御發駕後御■等を付た上案内が有る事

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(十七)御発駕之式・一

2021-08-09 09:31:00 | 有吉家文書
「年中行事抜粋」17  御発駕之式・一

一五半時之御供揃ニ付麻上下着上張五時出仕
 五つ半時(午前九時)の御供揃に付、麻裃着し上張五つ時(午前八時)出仕
     但御刻限者臨時御模様茂可有之候得共先ハ本行之通御定例ニ候事
    但御刻限は臨時の御模様も可有るので先は本行の通り御定例である事
一伺御機嫌無之候事
 御機嫌伺いはおこなわれない事
一御一門衆同席不参之面々并隠居より御歓且 御見立ニ付而丈先差出候間口之間ニて御用番江謁候事
 御一門衆・同席(家老)不参の面々并隠居より御歓び且御見立に付て丈、先差出して口之間にて御用番へ謁する事
     但御發駕ニ付而ハ御用番御見立に付御一宿出之同席江謁候事
    但御發駕に付ては御用番御見立に付、御一宿出へ同席へ謁する事
一召出之節ハ御用人より案内有之御一門衆三家衆嫡子一同ニ歌仙之御間江例之通罷出候事
 召出の節は御用人より案内があり、御一門衆三家衆とその嫡子一同に歌仙の御間へ例の通り罷出る事
一夫より猶案内有之御一門衆始一同ニ御杉戸より罷出御手熨斗頂戴之諸事御着座之節之通ニ候其年之御城代之御一門者歌
 仙御間江
居残被申候得者猶被召出候今壱人之御一門衆初夫ニ不拘詰間へ引取之事
 夫より猶案内があり御一門衆始め一同に御杉戸より罷出、御手熨斗を頂戴の諸事御着座の節の通にて、其年の御城代の御一門は歌仙御間へ居残られ
 ば、猶召出され、今壱人の御一門衆初め夫に拘らず詰間へ引取る事

一御備頭、御留守居大頭ハ御發駕前之出仕無之尤御備頭之内二人ハ為御見立一里山江罷出候之事
 御備頭、御留守居大頭は御發駕前の出仕はなく、尤御備頭の内二人は御見立のために一里山へ罷出る事
一御供之御小姓頭、御奉行、御用人、御目附等為暇乞御供之廻り候迄追々ニ詰間江出方有之候事
 御供の御小姓頭、御奉行、御用人、御目附等暇乞のため御供の廻る迄、追々に詰間へ出方有る事
     但右御供之御用人江者
    但右御供の御用人へは
  此伺天保十年より相止
 此伺は天保十年より相止め
     御方々様奉伺御機嫌之其前ニも御發駕御同日御供外ニて被差立之節御道筋と違致旅行いたし候得者奉伺御機嫌候
    御同
路罷越候得ハ不及其儀候事
     御方々様御機嫌うかがいたてまつり、其前にも御發駕の同日御供外にて差立の節、御道筋と違う旅行いたせば御機嫌うかがいたてまつり、
     御同路を罷り越しの者は其にはおよばない事

一御前より下り一先詰間へ引取居御供揃宜段申上ニ相成候節坊主より知せ候得者詰間玄関より下御玄関へ御一門衆始罷出
 候事
 御前より下り一先ず詰間へ引き取り居り、御供揃い宜しいこと申上に相成る節坊主より知せあれば、詰間玄関より下り御玄関へ御一門衆始め罷出
 ること

     但手傘踏もの等ハ坊主より廻置候
    但手傘や履物などは御用坊主より廻し置くこと
一御玄関東之御塀付西向北頭ニ立並御先立を見受け下座雨天之節ハ傘を畳此時御駕被為召御駕は同席之方江舁寄御戸明候
 間一同ニ進出御辞儀
仕候得者御一ト通御意有御戸立候上元之所ニ退り御跡より御門枡形迄罷出御行列拝見詰間へ引取候
 事
 御玄関東の御塀付に西向北頭に立並び、御先立を見受け下座、雨天のときは傘を畳み此時御駕に召され、御駕は同席(家老)の方へ舁寄せ御戸明き
 一同に進み出、御辞儀をすれば一ト通りの御意有り御戸立られ元の所に退き、御跡より御門枡形迄罷り出、御行列拝見し詰間へ引取る事

     但此所刀ハ帯不申候
    但此所では刀は帯びないこと

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■解説・有吉家文書「年中行事抜粋」(十五)御発駕ニ付被仰渡之式書抜・二

2021-08-06 13:03:16 | 有吉家文書
御発駕ニ付被仰渡之式書抜・二

一丁口同席一人取合として九曜之御間内御無目敷居より横畳四枚目南之御敷居を後ニシテ御座所を向御出座前坐着之事
 丁口同席(家老)一人取合として九曜の御間内御無目敷居より横畳四枚目南の御敷居を後にして御座所を向き御出座前に坐着する事

    但御用人、御右筆罷出候を矩ニ列座より進出候事
    但御用人・御右筆罷り出る候を期に列座より進み出る事
一列座之面々は皆帯剱、拝聞之面々ハ鷹之御間より右衝立外之様ニ脱剱之事
 列座の面々は皆帯剱、拝聞(閲か)の面々は鷹の御間より右衝立外の様に脱剱する事
一御出座之節如例皆一同ニ平伏御意左之通
 御出座の節例のごとく皆一同に平伏、御意左の通
    今度参勤ニ付、謹方之儀ニ付、書付を読聞せ候事
    今度参勤に付、謹方の儀ことに付、書付を読聞せる事
一御取合之同席御前江奉向御請左之通
 御取合の同席(家老)御前へ向い奉り御請けすること左の通
    御意之趣いつれも奉得其意
    御意の趣いつれも其意を得たてまつること
  右之通ニ而一同平伏被為入候上ニ而退去之事
 右の通にて一同平伏入らせられ上にて退去の事
一右退去之上御城代被仰付候御一門衆より御用番江被仰出之趣被申達候間、佐弐役江其段申聞候事
 右退去の上、御城代を仰付られたる御一門衆より御用番へ仰出される趣申達せられ、佐弐役へ其段申聞せられる事
    但御用番江逢被申度旨以坊主被申越候間、彼衆詰間江罷越候得者本行之通被申達候御次被仰渡
    但御用番へ逢い申度さる旨、坊主を以て申越され、彼衆、詰間へ罷越し候得者本行の通り申達されること、御次より仰渡される
一御用人より案内有之最前之通九曜之御間御入側江列座御取合之人茂最前之通坐着之事
 御用人より案内有rwば、最前の通り九曜の御間の御入側へ列座し、御取合の人も最前の通り坐着する事
    但御一門衆御三家嫡子并御備頭御留守居大頭大御奉行列座無之候事
    但御一門衆・御三家嫡子并御備頭・御留守居大頭・大御奉行の列座はない事
一同席之組者不参ハ追而於宅麻上下着之拝見有之候、御備頭之組ハ例年之御事ニ付、於宅之拝見ハ無之由候事
 同席(家老)の組の不参の者は、追って家老宅にて麻上下着のうえ拝見がある事、御備頭の組は例年の事に付、宅での拝見はないという事
一御留守中御城代何某殿被仰付候段、例之所々江知せ、組持之同席ハ書付受取候事
 (参勤にて)御留守中、御城代何某殿仰付られ、例之所々へ知せ、組持の同席は書付け受取る事
一今日御番頭被召出候事但此召出之儀者御用人江相尋候處寛政七年以来今日比召出之儀致連綿居候段、御用人被申聞候之事
 今日御番頭召出されること、但此召出しのことは御用人へ尋ねたる処寛政七年以来今日比まで召出之のことは連綿としていること、御用人申聞され
 たること事

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■解説・有吉家文書「年中行事抜粋」(十二)御格帳并考蹟志らへ等之内心覚之大旨左之通

2021-07-31 13:07:15 | 有吉家文書

御格帳并考蹟志らへ等之内心覚之大旨左之通

一、免職之節御賞席ハ十年以上持懸御役席ハ二十年已上右同御賞禄其儘被下置儀茂右同断之事
  免職の節、御賞席ハ十年以上持懸け御役席ハ二十年以上、右同御賞禄其のまま下し置かれることも右に同じ事
一、右同御役附之年数を以僉議ニ相成家督より之年数ハ取用ニ不相成候事
  右同御役附の年数を以て僉議に成り、家督よりの年数は取用はならない事
一、禄三千石以上者此着座ニ持席有之弐千石以上者御番方ニは不被落大組附ニ被召加候事
  禄三千石以上の者は此着座に持席有り、弐千石以上の者は御番方には落さず大組附に召加えられる事
一、慶安二年迄ハ旧知ニて同三年よりハ新知と宝暦六年被定候事
  慶安二年迄は旧知にて、同三年よりは新知と宝暦六年定められる事
一、新禄ハ高之大小ニ寄五拾石又者百石其上茂被減候、扨又新古受居候ハ新知より被減候御定之事
  新禄は高の大小により、五拾石又は百石其上も減せられ、又新古の知行を受居れば新知より減せらる御定めの事
一、右同御奉公及五十年候者ハ是ハ御役之年数ニ不拘惣年数取用ニ相成其子御家督之節無相違相続被仰付、旧知之人ハ拝
  領物被
仰付見合ニ候事
  同じく御奉公五十年に及ぶ者は御役に年数に拘わらず、惣年数取用に成り、其子御家督の節は相違なく相続を仰付らる、旧知の人は拝領物を仰
    付らえ見合の事

     但御番方等舊知之人御番無懈怠四十年ニ及候輩ハ以其訳御服被下置候見合有之候事
             但御番方等旧知の人は御番懈怠なく四十年に及ぶ者は、其訳を以て御服下し置かれる見合が有る事 
一、右同御役三十年以上ニ及候輩者跡式無相違相続被仰付繁劇之御役ハ右年数ニ不至共無相違相続被仰付候事
  右同御役三十年以上に及ぶ者は跡式相違なく相続仰付られ、繁劇の御役は右年数に至らず共相違なく相続仰付らる事
一、御擬作は家督之節父之勤五十年子之勤二十年ニ及候得者無相違相続被仰付候、又父之勤六十年ニ而者右同断
  御擬作は家督の節父の勤め五十年・子の勤め二十年に及んでいる者は相違なく相続を仰付けらる、又父の勤め六十年にては右同断
     但父四十五年子二十五年ニては難成候事
     但父四十五年・子二十五年(都合七十年)では成りがたい事
一、藝数ニより無相違被下置候儀左之
  藝数(文武道)により相違なく下し置かれる基準は左之通
     目録 四
     目録 二
     免許 一
     免許 弐
   右之通ニ候得共、稀ニハ一藝ニ而無相違被下置候儀茂有之候事
  右之通ニ候得共、稀ニハ一藝ニ而無相違被下置候儀茂有之候事
一、文学之方ハ目当無之候処、近年者寛政二年杉浦角助家督之節高本敬蔵より達之趣有之、槍術目録一ツニて無相違相続
  被仰付、其節申渡諸事
心懸宜候付ケ様ニてと有之候、其已前右様之儀無之、角助節踏出カト相見候也家督前助教より
  何某学問ハ免許ニ
当り又目録ニ当り候と達出候、尤政府より一々問合ハ無之候併時宜ニも可応事
  文学の方は目当は無いが、近年は寛政二年杉浦角助家督の節、高本敬蔵より達があり、槍術目録一ツニて相違なく相続仰付られ、其節申し渡し
    は諸事心懸宜しきに付このように取り扱われたとこと、其れ以前にはこのようなことはなく、角助の節がはじまりと思われる、家督前助教より
         何某の
学問は免許に当り又目録に当ると達しがあり、政府より一々問合は無く併て時宜にも応ずべき事
一、御切米ハ御取立之面々江被下手取茂月刻ニて候事
  御切米は御取立の面々へ下さる手取も月刻である事
     軽輩之内席禄ニ困而御奉行より奉伺候稜左之通
     軽輩の内席禄に困って御奉行より伺う稜左の通
   歩御使番より歩御小姓列以上伺之
  歩御使番より歩御小姓列以上の伺い
     但御在府之節急成儀ハ不及奉伺上而達尊聴
     但御在府は節急なることは伺い奉るに及ばず上にて尊聴(殿様の御耳に)に達す
一、諸役人段御切米拾石三人扶持之内被減候者并御給扶持被差救候もの伺之

  諸役人段御切米拾石三人扶持の内減じなされる者、并御給扶持差救われるもの伺い
一、御切米拾石三人扶持被下置候者御咎に付而役儀被差除又者病気或者役儀立不申御免之節勤之年数ニ依而御切米之内被
  減候儀且又歩
御使番以下段格御給扶持持懸ニ而役替退役被仰付又ハ拝領物或ハ閉門逼塞遠慮等被仰付候儀者達 尊聴
  ニ不及
  御切米拾石三人扶持下し置かれる者、御咎に付て役儀差し除かれ、又は病気、或は役儀御免の節、勤の年数に依て御切米の内被じなされること
  
且又歩御使番以下、段格御給扶持持懸にて役替退役仰付けられ、又は拝領物或は閉門・逼塞・遠慮等仰付けられたることは、尊聴に達するに及ば
        ない。


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■解説・有吉家文書「年中行事抜粋」(十一)窺日之式

2021-07-22 06:57:08 | 有吉家文書

■窺日之式

  四日    同席一人・御奉行一人・御郡代一人     
                     この扣を作ったのが家老の有吉氏であり、同席とあるのは家老職であることを示す。

  十六日   同席一人・御奉行一人
  廿五日   同席一人・御奉行一人・御郡代二人
    但大御奉行御目附之儀ハ御定例被召出ニてハ無之候事
              但大御奉行・御目附のことは御定例の召し出しではない事
  附紙
    御着坐之上被召出日窺日等之書付ハ初而被遊御用御聞候前ニ御用番より書付御用人を以奉伺候得者追而被仰出
    候事
    御着坐の上召出日・窺日等の書付けは初めて御用御聞なされる前に、御用番(月番家老)より書付を御用人を以って伺いたてまつれば、追
    って仰せ出されること竪
一、奉伺候ケ条申談諸書付共取揃前日伺文箱ニ入置候事
  御伺いするケ条を申し談じ、諸書付共取り揃え前日伺文箱に入れて置く事
       但半切もの其外諸書付ハ伺文箱ニ入組、竪紙もの等ハ服紗ニ包持候、右之文箱服紗ハ御用箱ニ入居候事
    但半切(はんせつ・紙を長手方向に半分にしたもの)もの其外諸書付は伺文箱に入れ組み、竪紙(紙を竪長につかうもの)もの等は服紗に
     包み持ち、右の文箱服紗は御用箱に入れ居く

一、伺之点前有之候間伺前之人五半時出仕、直ニ伺御機嫌今日伺前ハ私ニ而候段、以御用人申上、詰間江引取居候事
        伺の点前有るので伺い前の人は五つ半時(9時)出仕、直に御機嫌伺い、今日伺前は私にてもことにて、御用人をもって申上げ、詰間へ引取り居
   る事

    但其餘同席ハ例刻出仕如例奉伺御機嫌候事
    但其のほかの同席は、例の刻に出仕、例のごとく御機嫌うかがう事
   御用人より案内有之歌仙之御間江座着、猶案内有之御前江罷出候脱剣且罷出様等諸事御着座後初召出之通候事
  御用人より案内が有り、歌仙之御間へ座着、猶案内が有り御前へ罷出、脱剣且罷り出の様等諸事御着座後初て召出の通りの事
    但歌仙之御間江者奉行已下も相揃候事
    但歌仙の御間へは、奉行以下も相揃う事
一、会議帳ニ被遊御青印当御代、可ノ字を御用ニ相成候御下被遊候付御側江進ニ寄取揃箱なから御印を頂戴仕、蓋いたし
  紐結傍ニ置夫より伺物有之節ハ右之跡ニ而奉伺元之箱ニ入御前下候事
  会議帳ニ御青印あそばされる当御代、「可」の字を御用いに成り御下し遊ばされるに付、御側へ進寄り取揃箱なから御印を頂戴し、蓋をいたし
    紐で結び傍に置き、夫より伺物があるときはこの跡で伺い奉り、元の箱に入れ御前を下る事
    御着座後初窺日ニ者会議帳御下ニ不相候、其子細者復議之式ニ記置候事、当時ハ此差別無之一同復議以下選挙方
    伺物ハ奉行江被遊御下候事
    御着座後初ての窺日には、会議帳御下げにはならぬ、其の子細は復議の式に記き置く事、当時はこの差別はなく一同復議以下選挙方伺物は
     奉行へ御下あそばさる事

一、御前より下候ヘハ歌仙之御間江御奉行以下控居候へも不及会尺等罷通候事
  御前より下れば歌仙の御間へ御奉行以下控え居れど会釈などにはおよばず罷り通る事
一、詰間江参会議其外伺物御用番江差出被仰出之趣等致演舌候、左候而請持之帳面江伺之趣頭書いたし佐弐役江見せ置候
  事
    詰間へ参り会議其の外伺物御用番へ差出し仰出之趣等演舌いたさる、そうして請持の帳面へ伺の趣頭書いたし佐弐役へ見せ置く  
一、夫より御用番伺書之箱を請取見志らへ箱なから御印頂戴仕候段申達候得者、席中一同平伏仕候事
  夫より御用番伺書の箱を請取り見調べ、箱なから御印を頂戴し仕たことを申達して、席中一同平伏する事
一、御奉行江被遊御下候伺帳等御奉行御前より下り御用番江差出候得者是又見志らへ御用番迄御印頂戴、夫より同席より
  伺物之内自筆物之分ハ取除佐弐役へ相渡左候而其除者伺帳之箱なから御奉行より之伺物茂右一同ニ御奉行江渡候事
  御奉行へ御下しなされた伺帳等、御奉行御前より下り御用番へ差出しだせば、是又見調べ御用番迄御印頂戴し、夫より同席より伺物の内、自筆物
  の分は取除き佐弐役へ渡し、そうして其除は伺帳の箱ながら御奉行よりの伺物もこれらと一同に御奉行へ渡す事

    但佐弐役身分之儀ニ付伺物有之節其者当人江伺書不相渡様心付見志らへ可申事
    但佐弐役の身分のことに付、伺物が有るときは、其は当人へ伺書は渡さぬ様心付け見調べ可き事  

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■解説・有吉家文書「年中行事抜粋」(十)御出入之式

2021-07-20 08:49:42 | 有吉家文書

■御出入之式

一、御出之節ハ御供廻申上ニ相成候段坊主より知候付、御弓之間南九尺之御入側ニ罷出、東頭ニ座着多門より御入側之出
   口左手之柱を丁口ニ〆坐着、此御入側と申ハ御玄関より一ト続之御入側之事ニて候事
        御出の節は御供廻申上ることに成り、坊主より知せに付、御弓之間南九尺の御入側に罷出、東頭に座着多門より御入側の出口左手の柱を丁口に
   しめ坐着、此御入側とは御玄関より一ト続きの御入側之事である

一、御帰座之節ハ、慶宅坂又船場橋米屋町等之御注進を承右西頭ニ坐着左手之柱を末坐ニ〆坐着之事
  御帰座の節は、慶宅坂又船場橋・米屋町等からの御注進を承り、右西頭に坐着、左手の柱を末坐にしめ坐着の事
    但御近習一手と御小姓組ニ者間合次第致会尺候事
    但御近習一手と御小姓組には間合次第会釈をいたす事
一、御先立左之通
      大先立一御取次 鷹之御間より一御小姓頭 御前之御先一御用人
  御先立は左の通り、大先立一御取次 鷹之御間より一御小姓頭 御前之御先一御用人
     右之通ニ而同席坐着之処無会尺被通候事
  この通にて同席(家老)坐着の処会釈なく通られる事
一、御出入共ニ御先立を見受手を付キ御間近く成平伏致居候得ハ、御一ト通御意被為在候、御帰座之節ハ御跡ニ少シ引下
  り直ニ中柱御間江罷出、例之通奉伺御機嫌候事
  御出入共に御先立を見受て手を付き、御間近くになり平伏していると、一ト通御意なされる、御帰座の節は御跡に少し引き下り、直ニ中柱の御
   間へ罷り出、例の通り御機嫌うかがう事

       但御用人御人少之節ハ不居合儀も有之候、其節ハ暫見合居候得者御用人出方有之候又ハ御用人詰間江参御次小姓
    を以申入候而も宜候事
    但御用人が少い節は居合ぬことも有る、其節は暫く見合せ居れば御用人出方がある、又は御用人詰間へ参り、御次小姓を以て申し入れても
    よい
一、五半時以上之御供揃之節ハ引揚
       五つ半時(9時)以上の御供揃の節は引揚
一、四半時已下之御供揃ニ而終日御留守之節ハ御出前罷出奉窺御機嫌候事
  四つ半時(11時)以下の御供揃では、終日御留守の節は御出前に罷り出て御機嫌うかがいたてまつる事
一、四時御供揃之節ハ御出前出仕御出ニ強而不懸合も不苦候事
  四つ時(10時)御供揃の節は、御出前に出仕し御出に強いて懸合らずも苦しからぬ事
一、四時已上之御供揃ニて終日御留守之節ハ郭茂直ニ政府へ出候事
  四つ時(10時)以上の御供揃にて、終日御留守の節は直に政府へ出る事
一、御帰殿八時過候得ハ滞ニ不及候事
  御帰殿が八つ時(14時)過のときは滞るのは及ばない事
一、御庭口より御出入之節ハ御出迎等無之候事
  御庭口より御出入の節は御出迎等は必要ない事
一、出仕之節御供廻居之時分ハ表御門より詰間之様ニ難罷通候間、裏御玄関又者御次口より上り候茂不苦尤落間之所ハ刀
  遠慮いたし、其外ハ持通候事
  出仕の節、御供廻居る時分は表御門より詰間の様に罷り通り難いので、裏御玄関又は御次口より上ってもよい、尤落間の所は刀遠慮いたし、其
   外は持って通る事

     付札
    四時之御供ニ而終日之御出被為在候節ハ政府詰と嘉永三年御在國之節定候由之事
    四つ時(10時)の御供で終日御出ある節は、政府詰すること、嘉永三年御在國の節定められたる事

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■解説・有吉家文書「年中行事抜粋」(九)年頭御入之節講尺初被仰付候節

2021-07-19 09:16:29 | 有吉家文書

■年頭御入之節講尺初被仰付候節

一、例之御役々并御使番茂罷出奉行所御入之御注進之所ニて聴衆繰付可申段一言有之例之通と申述候事
  例の御役々并て御使番も罷り出、奉行所御入の御注進の所にて聴衆繰付申す段一言有あり、例の通と申述べの事
一、館江御入之上直ニ毎講尺出席之座より南ニ寄北より五畳目ニ坐着、御襖明候処ニて平伏、講尺之所ニて頭を上手まて
  膝
脇ニ下ケ敬し罷在相済候所にて猶又平伏詰間江引取候事
  館へ御入の上、直に毎講釈出席の座より南に寄、北より五畳目に坐着、御襖明けてある処にて平伏、講釈の所にて頭を上げ手まて膝の脇に下げ
    敬し罷り在り、済んだ所にて猶又平伏、詰間へ引取る事

一、夫より御式被召出諸事前条之通にて御立後文官不残講堂江繰付学監より案内有之鏡板折廻しカマチを右ニ取北壁付よ
  り
九畳目ニ罷出不相替何方茂出方目出度と申述直ニ引取候事
  夫より御式に召し出され諸事前条の通にて、御立後文官残らず講堂へ繰付、学監より案内有り鏡板折廻し框を右に取、北壁付より九畳目に罷り
    出,、
相替らず何方も出方目出度と申し述べ直に引取る事
     但名前ハ学校御目付より差出候
     但名前は学校御目付より差出しのこと
   右之外相替儀無之候事
  右の外相替ることは無い



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■解説‐有吉家文書「年中行事抜粋」(八)同時習館江御入之式 - 2

2021-07-17 07:26:23 | 有吉家文書
      同(御着座後)時習館江御入之式・2

一、夫より諸師役被召出候間御座所南側二枚御襖取除ニ相成此儀ニ不拘致座着候上ニて講堂之内ニ入左之御襖より一間之
  程を左後ニ取東北之隅向座着例之御座所江御出坐之時平伏夫より頭を上居候得ハ左之通何連も出タ歟

    右之通被遊御意候間御取合左之通御意之趣何レも難有仕合ニ奉存候右之通御前之方ニ東向申上平伏仕候得者御襖立候
  間元之座ニ下り候且又見習之人ハ初坐着之侭堂中江者不進平伏等之様子同席ニ応可申事
  夫より諸師役(教師)召し出され、御座所南側の二枚御襖を取除かれ、此に拘わらず座着いたし上にて講堂の内に入り、左の御襖より一間程を
   左後に取り、東北の隅に向座着、例の御座所へ御出坐の時平伏、夫より頭を上げ居れば左之通何連も出タ(?)歟

      この通り御意あそばされるので御取合左の通、御意の趣何れも有り難き仕合に存じ、右の通り御前の方に東向き申上げ平伏すれば、御襖立の間元
   の座に
下ること、且又見習(家老の嫡子など)の人は初坐着のまま堂中へは進まず平伏等の様子は同席(家老)に応ず可き事
   但夫より詰間へ罷越候間合無之候尤御用人江懸会御程ニ應可申事
   但夫より詰間へ罷り越し、間合いは無く、尤御用人へ懸会い程に應ず可き事
 付紙
   文化九年御入之節御用人江懸合候處師役中江御意ハ不被下候筈之處其節ハ臨時 思召ニて御意被下候由御定不被下
           候得者何れも被召出難有奉存段御取合申上候右之通候間同十一年御入之節平井典助江懸会候得ハ師役之儀ニ付毎御
   意被下置旨柏原新左衛門奉窺之段典助被申達候間以来其通可心得事

   御奉行学校御目附ハ御前を下諸師役召出之節ハ西外之御入側ニ坐着之事
   文化九年御入の節は、御用人へ懸合いの處、師役中へ御意は下されぬ筈の處、其節は臨時の思し召しにて御意下された由、御定下されず、何
     れも召し出し有難存じ奉る段御取合申上ること、右の通り、同十一年御入の節平井典助へ懸会へば師役(教師)之儀に付毎く御意下され置旨
     柏原新左衛門奉窺の段、典助申達し以来其の通り心得るよう
御奉行・学校御目附は御前を下り、諸師役召出の節は西外の御入側に坐着の事
一、御供宣ク申上之節初之通御居間御縁伝イ御敷出しニ罷出候御縁より被遊御下候節より次第ニ平伏御一ト通御意有之御
       三拝儀御駕之戸立候而頭を上奉見送御小姓頭御用人等一同ニ御辞儀退去詰間へ罷越候事御立役ニ最前ニてハ役方詰間
  へ罷出恐悦被申上候事
  御供宣しく申上の節、初の通り御居間御縁伝いに御敷出しに罷り出、御縁より御下りあそばさる節より、次第に平伏御一通り御意有り御三拝儀
    は御駕の戸が立ちて頭を上げ見送り申し上げ、御小姓頭・御用人等一同に御辞儀し退去、詰間へ罷越す事御立役に最前にては役方詰間へ罷出、
    恐悦
申上られる事
一、此御式之節ハ講尺不被仰付由之事
  この御式の節は講釈は仰付られない事
一、右之通ニて相済御社参被為在候得者御帰殿前御花畑へ出仕之事
  右の通に相済み、御社参されることがあれば、御帰殿の前に御花畑邸へ出仕の事
    但御社参之節ハ当所ニて御長袴被召替と相見候事
    但御社参之節は当所にて御長袴に召替えられると思われる事
一、右之御式相済御帰殿之節ハ平服二て御出迎諸事例之通尤御次ハ麻上下ニて候得共御庭御社参被為在候付而之事之由文
  化十一年六月郡九郎太郎より被申達候事
  右之御式が済み御帰殿の節は平服にて御出迎え、諸事例の通、御次は麻裃で御庭御社参(花畑屋敷内にある御社)されることがあるについて
    は、文化十一年六月郡九郎太郎(眞紹)より申達しされた事

一、今日御帰殿之上為伺御機嫌御備頭御留守居大頭出方有之候此節両御役詰間へ罷出陳行営御備頭銘々より兵粮積り大頭
  連名一同ニ御用番江達有之候尤箱ニ入封印ニて候事
  今日御帰殿の上、御機嫌伺をなし御備頭・御留守居大頭出方が有る。此節両御役は詰間へ罷り出陳行営、御備頭銘々より兵粮積り大頭連名一同
    に御用番へ達が有る。これは箱に入れ封印の事

    但志らへ方出来兼候得ハ其段内意有之追而差上ニ相成候様及差図候事
    但調方出来兼ね、其段内意有り追って差上ニなる様に差図に及ぶ事
一、右者請取佐弐役江相渡置近日中封之侭御直ニ差上候事
        右は請取を佐弐役へ渡し置き、近日中封の侭御直に差上る事

                 (了)

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■解説・有吉家文書「年中行事抜粋」(六)御着座後御奉行所御入之式

2021-07-13 08:12:07 | 有吉家文書
 殿様の「御城御登城」「御奉行所御入」「時習館御入」は、在国の年頭および御入国後、御参勤發駕前に行われる御規式であり、この三つがセットとして同じ日に行われる。この「御奉行所御入」については、先に中路文書をご紹介したが、合わせてご覧いただくと下記御規式の参考になると思う。
            ■奉行所へ殿様の御成り(1)
            ■奉行所へ殿様の御成り(2)              
 
 ■御着座後御奉行所御入之式
    年頭并御発駕前御入之御式相替儀無之
    年頭や御参勤前の御式と変わることはない

一、御登城より御当所へ被為入候間麻上下着御登城前出仕之事
  御登城後御当所(奉行所=奉行丸)へ御入りなされるにつき、麻裃を着し御登城前に出仕の事
    但政府ハ御勝手方より罷出候間両人之節者両人共出勤差支之節ハ其外よりも罷出候
    但政府(奉行所)は御勝手方より罷り出るので、両人之節は両人共出勤、差支の節は其外よりも罷り出ること
一、出勤之上先毎之所ニ毛氈敷有之候間、此所ニ刀を脱置候得ハ、御入前坊主より機密間江直ニ置、御立後差出候事
  出勤の上先毎の所に毛氈をしいてあるので、此の所に刀を脱置き、御入前に坊主より機密間へ直に置き、御立の後(坊主より)差出の事
一、詰間江者公儀御法度之懸札外ハ張上刀懸等皆取入ニ相成候事
  詰間へは公儀御法度の懸札外は張上げ、刀懸等は皆取入られている事
    但毎ハ畳敷替ニ相成候へ共、以来ハ有懸之侭ニ而差直候事大目附ハ御城時習館江出方有之政府江者出方先ハ無之     候事
    但御入り毎にハ畳敷(上段の間)は畳替をするところだが、以来は有懸けの侭にて差直す事、大目附は御城及び時習館へも出方が有り、政
     府(奉行所)へは出方先はこれなき事
  

一、御先番之小姓役等相見候ヘハ御用人より御取次を初召連詰間江参、御刀懸等出之御雪隠見繕下居候事
  御先番の小姓役等が見へたならば、御用人より御取次を初め召し連れ詰間へ参り、御刀懸等を出し、御雪隠を見繕い下り居る事
一、御注進前詰間煙草盆硯箱其外総而坊主より取入候上、何連も口之間江参西壁付北向南頭江坐着、御注進を相待居候事
  御注進前に詰間に煙草盆・硯箱其外総じて坊主より取入れた上、いずれも口之間へ参り、西壁付北向南頭へ坐着、御注進を待ち居る事
    但大御奉行右同断
    大御奉行も右同断
  文化十三年六月十九日御入之節雨天ニ付傘被遊御免旨ニて御小姓頭より差図有之候間、御時宜申上候節迄傘取候由之
  事
  文化十三年六月十九日の御入の節は雨天であったため、傘をさすことを御免あそばされるとの事にて、御小姓頭より差図があり、御辞儀を申上
    げる節迄、傘を取る

一、辻為御目見御奉行中ハ御玄関栗石罷出、御目附中ハ御侍口前ニ罷出其外御役人中士席巳上中門と中門之廣キニ御左右
  ニ罷出、且又大手内ニ請場々々罷出候御役人有之候事
       辻にて御目見する御奉行中は御玄関栗石敷に罷り出、御目附中は御侍口前に罷り出、其外の御役人中士席以上は中門と中門之廣きに左右に罷出、
  且又大手内に請場々々罷り出る御役人が有る事 

一、御注進左之通
    御城御立 御城御供廻
       ご注進はお城を御立ちになるとき、お城御供廻りによって
一、右御城御供廻ニて御用人等一同御敷出ニ下り御敷臺脇南塀を後ニして壁を左ニ取北向東頭ニ坐着之事
  右御城御供廻にて御用人等一同御敷出に下り、御敷臺脇南塀を後にして壁を左に取り北向東頭に坐着の事
    本文東頭と有之候得共、諸御先番等都而御出之方を口ニ致候事ニ付、舎人方申談御出方を口ニ坐着致し候事
    上記東頭と有るが、諸御先番等すべて御出之方を口に致すに付、舎人(大木福蒿か)方申し談じ御出方を口に坐着致す事
一、文化十三年六月十九日御入之節雨天ニ而御駕御敷出之上ニ居御出迎難成候付、宇右衛門嘉津次儀会議御入之時之通り
  御玄関箱段ニ罷出候事
  文化十三年六月十九日御入の節は雨天にて、御駕を御敷出の上に居て御出迎は成りがたいので、(松井)宇右衛門・(嶋田)嘉津次が会議し御
  入の時の通り
御玄関箱段に罷り出る事
    政府ハ御小姓頭御先番無之
    政府(奉行所)においては御小姓頭御先番はなし
一、御路次内ニ御駕御乗入ニ相成候時分より次第ニ平伏、御駕居候處ニて御辞退御一ト通り御意有之、其上ニ而頭を上被
  遊御上候御跡ニ付口之間始之通坐着控居候事
  御路次内に御駕御乗入に成る時分より次第に平伏、御駕居る處にて御辞退(儀?)御一ト通り御言葉があり、其上にて頭を上げ、御上あそばさ
  れた御跡に付て口之間にて始の通坐着控え居る事

一、夫より御小姓役御口祝差上候而御用人より案内有之候得ハ、口之間南壁付ニ脱剣一同ニ罷出、詰間敷居外ニて御辞儀
  是江と被遊御意候上、尚ニ南頭ニ御敷居内ニ入御奉行所不相替旨恐悦申上御手熨斗鮑頂戴之仕、左江披口之間江退去
  之事
  夫より御小姓役御口祝を差上て、御用人より案内があれば、口之間南壁付に脱剣し一同に罷り出、詰間敷居外にて御辞儀、是へと御意あそばさ
  れ上、南頭に御敷居内に入り、御奉行所相替ずの旨恐悦申上、御手熨斗鮑を頂戴し、左口之間へ退去の

    但同席被召出候内御奉行以下被召出之御役人口之間へ繰付有之候、尤是より差図等之手数無之
    但同席(家老)召し出された内、御奉行以下召し出しの御役人、口之間へ繰付有り、尤是より差図等の手数はない
  大奉行并御奉行本役迄御手熨斗被下置、左候而御口祝取入候上、副役御目付附御郡御目付御勘定役書役まて被召出候
  事
  大奉行并て御奉行本役迄御手熨斗下し置かれ、そうして御口祝取入の上、副役御目付附・御郡御目付・御勘定役書役まて召し出される
    但同席列坐無之御用人諸事取計之事
    但同席(家老)列坐はなく御用人が諸事取り計いの事
一、右之面々召出相済候得ハ、直ニ御供廻り候付、御敷出初之通罷出、御玄関被遊御下候時分より次第ニ平伏御一ト通御
  意被為在候間、御時宜御駕之戸立候上、頭を上ケ奉見送、御用人等一同ニ御辞儀退去銘々之坐ニ着候事
  右之面々の召し出しが済めば、直に御供廻りに付、御敷出に初の通り罷り出、御玄関を御下りあそばされる時分より次第に平伏、御一通り御
   あるので、御辞儀御駕の戸立の上、頭を上げ見送りし、御用人等一同に御辞儀し退去、銘々の坐に着く事

一、御算用頭は召出無之、辻御目見ニ罷出、御穿鑿頭ハ其儀無之候事
  御算用頭は召し出しは無く辻御目見に罷り出、御穿鑿頭は其れも無い事
一、夫より御奉行始ニ召出候御役人一切ニて詰間被罷出恐悦被申述候事
  夫より御奉行始め召し出しの御役人一切にて、詰間に罷り出て恐悦申述べる事
一、右之通ニて相済、時習館へ被為入候御間ニ南御門通り御帰殿前御花畑江出仕之事
  右之通に相済み、時習館へお入りなさる間に、南御門を通り、御帰殿前に御花畑へ出仕之事

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