=聖句=
「これはまことのことです。死んだ人たちが創主のこの声を聞くときがきます。
そのときは、今すでにきています。そしてそれを聞く人たちはいのちを得るでしょう」
(ヨハネ伝、5章25節)
ヨハネ伝解読、前回と同じ聖句を今少し解いていきます。
前回、春平太はこう解読しました。
~~創主から言葉が出ると、現実は100%従う。だから、将来なることは、今なっていると同じなのだ~~と。
でもこういう意見もでるかも知れませんね。たとえ百パーセント成るとしても、「今成っているのは、今味わえる。将来のものは、今味わえない」と。その面でやはり違うのだ、待ち時間の有る無しにおいてちがうのだ、と。
たしかにそうですね。そういう「味わうときが早いか遅いかの違い」は問題なように見えます。
<永遠と一時的なもの>
だが、そういう違いは、聖書の視野の中では、ほとんど無に等しいことになります。聖書では、それが必ず100%なるか(真理か)どうか、ともうひとつ、「それが永続するかどうか」、が最大関心事です。
聖書では、常にものごとを永遠(無限)と対比させて教えています。これは、聖書のもう一つの隠れた鉄則です。
「死んだ人たちが、創主の子の声を聞く」(24節)、
この状況はどのみち、時が満ちたら100%の確立で実現します。実現したらその結果の状態は無限に存続します。それまでの待ち時間は、たとえ一億年でも有限です。
有限な時間の長さは、無限の時の流れの中では、ないに等しいものです。無限な時の中では、有限な待ち時間は、ゼロに収束します。
時は流れることを止めないのです。有限な時間は、何億年であっても確実に過ぎ去ってしまうのです。そして、その後に続く、無限の時間に比べれば、それは、無かったのと同じになっていくのです。
「浪花のことも、夢のまた夢」であります。
筆者にこんな言葉をくれた西欧人がいました。
This also will pass.
What is important is whether it is eternal or not.
かくして、創主の論理では、「将来味わう」と、「今味わう」のとは同じとなるのです。将来と今との間の時間など、無に帰してしまいます。
<物理的イメージ世界と純イメージ世界>
なにか、屁理屈を言ってるにすぎない、と感じられるかもしれません。が、そうではないです。この論理を知ることによって、我々は、現世的にも大きな利益を受けます。
考えてみてください。我々は今、目に見える物的な世界の中で生きています。通常目に入ってくるものは、物質的なものです。それが目の網膜に写って、その映像に刺激されて世界とはこういうものだ、というイメージ(イメージ世界)を意識に形成しますね。いわば「物理的イメージ世界」です。
もちろん、そうした物理的刺激を起点にしていない、イメージ世界も、ある程度は心に持っています。人間には、想像力というすばらしい能力も与えられていますから。
たとえば言葉だけを起点にして描くイメージ世界もあります。白雪姫やピーターパンなどのいる世界は、そういうものでしょう。春平太はそれを、物理的イメージ世界と区別するために、「純イメージ世界」といっています。
我々の心の中にはそれもありますが、通常、高いリアリティを感じているのは、物理的なイメージ世界だけです。だからホントの世界とはそれだけだと思い、ほとんどもっぱらそれが世界のすべてだと主観的に思って生きています。
そこでは、すべてが変化しています。生成し消滅する。すべては時間的に有限です。
また、みな変化していますから、将来のことはすべて不確実性のなかにあります。今成っていることは100%成っていますが、将来成ることは、何パーセントかの確率で持って成るだろうとしかいえません。
我々は、そういうイメージ世界の中でほとんどもっぱら生きてきています。だからそれが当たり前であり、それ以外の論理など無いと思って生きてきた。
するとそれを、一つの特徴有る「考え方」だとは決してみることができません。それ全てだから。それしか目に入らないから。
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イエスはそこに、永続するものが存在する、純イメージ世界を持ち込みました。その世界の論理を知り、それに一定のリアリティを感じるようになると状況は一変します。永遠なものがある世界イメージが意識に併存するようになる。すると我々は、ものごとを、永遠と対比してみることができるようになります。
ヨハネは、そのイメージ世界を強烈に提供する、イエスの言葉を記録しておいてくれました。その考え方を記録しておいてくれました。
それを読むことによって、われわれは、それが全てで当たり前だと思っていた考え方、世界の見方を、はじめて距離を置いて眺めることができます。新しい視角から吟味することが出来るようになったのです。
われわれの「知性」は、この時新しい活動領域を得ます。われわれは、ヨハネのしてくれた仕事によって、新しい知性を獲得することが出来るのです。