Sightsong

自縄自縛日記

ベルリンのキーファーとボイス

2018-02-11 13:09:31 | ヨーロッパ

ベルリンでは夜以外に空き時間なんて無かったのだけど、移動日の朝に、ハンブルガー中央駅(という名前の駅を改造した美術館)を覗いた。

ちょうど「彫刻は彫刻は彫刻」と「マルクス・コレクション」の展示をやっていた。中でも目当てはやはりドイツでもあり、アンゼルム・キーファーとヨーゼフ・ボイス。このふたりはデュッセルドルフでともに学んだ仲である。

キーファーはナチ時代の弾圧と戦後の忘却に抗した作品を作り続けている。「Leviathan」は1939年に実施された統計調査を意識しており、文書が描き込まれている。それはホロコーストを行うための資料にもなったものだった。

また「Lilith at the Red Sea」は、アダムの最初の妻リリスが平等を求めて罰せられ、紅海へと移り住み、魔と化した神話をもとにしている。これと古着が貼り付けられていることとの関連は壁の解説を読んでもはっきりわからなかったのだが、放逐された者を古着で表現することは、やはりホロコーストを意識したクリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション「MONUMENTA 2010 / Personnes」にも共通しており、記憶の強い掘り起こし力を持つもののように思えた。

ヨーゼフ・ボイスのインスタレーションは贅沢な広いスペースを利用していくつも展示されていた。「Dau Kapital Raum 1970-1977」ではピアノと環境との共存がずいぶんラディカルな形で表現されている。また「Tallow」は羊や牛の大量の脂肪を溶かし押し固めたものであり、アクションを想像することとともに観るべき作品だった。

いまとなっては素朴かもしれないのだが、ボイスの精神はまだまだ過激なものとして伝わってくる。

ところで、ひとしきり観終わったあとに併設のカフェレストランに入り、サンドイッチを注文したところ、想像とは大きくかけ離れたものが出てきた。うまかったのだが、とても食べにくく、ぼろぼろとこぼしてしまった。

●参照
チェルシーのギャラリー村
クリスチャン・ボルタンスキー「MONUMENTA 2010 / Personnes」


ブライアン・アレン+広瀬淳二+ダレン・ムーア@Ftarri

2018-02-11 01:11:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2018/2/10)。

Brian Allen (tb)
Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)
Darren Moore (ds)

なんとフタリに、アレン氏がむかしピアノを教えていたという小さな女の子がふたり。演奏中ずっとまじまじと観て、スマホで写真を撮ったりして、ほのぼのとしたインプロの場。こういうのももちろん悪くない。

ファーストセットはブライアン・アレンのソロ。かれは地べたに座り、周囲に並べた玩具とトロンボーンによって飄々と楽しい音を出した。こうなるとトロンボーンのユーモラスな感じが活きてくる。

セカンドセットはトリオ。やはりダレンさんはスティックや針や発泡スチロールの摩擦によって浮遊の場を提示し、その中でパルスを発する。広瀬さんも最初は擦れ音で攻めていたのだが、ヒートアップしたときのテナーの何層もの重なり音に耳を持っていかれる。そのようにテナーの管が鳴るときに、アレンさんのトロンボーンとともにぶるんぶるんと共鳴し、さすがの時間を創り上げた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●広瀬淳二
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)
広瀬淳二+今井和雄@なってるハウス(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●ダレン・ムーア
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)
サイモン・ナバトフ@新宿ピットイン(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)