Sightsong

自縄自縛日記

おーたかずお+神田綾子@大阪堺筋本町ミュージックスポット satone(聰音)

2022-11-30 20:35:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

大阪堺筋本町ミュージックスポット satone(聰音)の配信(2022/11/27)。

Kazuo Ota おーたかずお (p)
Ayako Kanda 神田綾子 (vo, voice)

暗い中、目で合図し、バラッドの世界に引き入れるようにおーたかずおさんが鍵盤を弾き始めるときの時間の作り方にいきなりぐっとくる。うたの合間に自分のリズムで揺れるようにして、少しずつ静かに出してゆく和音の細やかさもいい。最初からベースラインで既成のレールを設定するような、野暮なことはしない。腹の底からのうたはピアノで下から支えているし、スキャットへの当意即妙の呼応も、ロマンチックなうたにスノードームのように音のかけらをまとわりつかせる芸もさすが。「歌伴」でもあり、同時にピアノが主役でもあり、一様ではないからずっと没入して聴いていられる。

一方のヴォーカルも中盤になるとためらうことなく声を伸ばす。こうなると語りとうたとが同じことを意味しているようで、聴いていて嬉しくなってしまう。歌い手も相性の良さのためか歓喜の表情、ピアニストのほうを向いてふたたび信頼の破顔一笑。ガードを緩めて流すのもまた粋でたのしい。

セカンドセットは「B面」のインプロ。神田綾子さんが繰り出す囁きや擦れ音やうなりや彼岸から届く音は「A面」とがらりと変わり、あらためて惹き込まれる。それとは対照的に、おーたさんがピアノを弾くスタンスはあくまで「A面」と同じように見えることも大きな驚きだ。そして「A面」があったからこそのふたりの間合いか、互いの仕掛けが自然なものにしか聴こえない。おのおののなすべき作業のようでもあり、コミュニケーションでもあり、それが同義語となっていた。終盤などインプロなのにまるで映画音楽のようでみごと。長い旅のあとの気分だ(と感じていたら、おーたさんも「壮大な旅のようでしたね」と)。12/4(日)までアーカイブ視聴可能とのこと。

11/27(日)昼 13:30〜 神田 綾子 おーた かずお DUO SATONE 生配信ライブ in大阪 - パスマーケット (yahoo.co.jp)

●神田綾子
吉田達也+神田綾子+加藤一平@中野坂上Aja(2022年)
MMBトリオ with 神田綾子・ルイス稲毛/林栄一@なってるハウス、cooljojo(JazzTokyo)(2022年)
神田綾子+大澤香織+西嶋徹@大泉学園インエフ(2022年)
カール・ストーン+吉田達也+神田綾子 with 小林径@落合Soup(JazzTokyo)(2022年)
米澤一平+神田綾子@日本橋Double Tall Art & Espresso Bar(2022年)
吉田達也+加藤崇之+神田綾子@公園通りクラシックス(2022年)
神田綾子+ルイス稲毛@東北沢OTOOTO(2022年)
日本天狗党と時岡秀雄そして神田綾子@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2022年)
吉田達也+神田綾子+纐纈雅代@公園通りクラシックス(2022年)
シェーン・ボーデン+神田綾子+Rohco@東北沢OTOOTO(2022年)
神田綾子+大澤香織+西嶋徹@大泉学園インエフ(2022年)
神田綾子+三上寛@なってるハウス(JazzTokyo)(2021年)
吉田達也+神田綾子+細井徳太郎@公園通りクラシックス(2021年)
神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)
神田綾子+細井徳太郎+岡川怜央@水道橋Ftarri(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
柳川芳命+照内央晴+神田綾子@なってるハウス(2021年)
細田茂美+神田綾子@高円寺グッドマン(2021年)
神田綾子+真木大彰@Permian(2021年)
纐纈雅代+神田綾子@六本木Electrik神社(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
神田綾子+纐纈雅代@下北沢No Room for Squares(2021年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
マクイーン時田深山+神田綾子@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
岡田ヨシヒロ@池袋Flat Five(2020年)
神田綾子+森順治@横濱エアジン(JazzTokyo)(2020年)
神田綾子+北田学@渋谷Bar Subterraneans(動画配信)(2020年)