Sightsong

自縄自縛日記

映像『ユーラシアンエコーズII』

2014-12-28 10:32:11 | アヴァンギャルド・ジャズ

2013年8月に、「ユーラシアンエコーズ第2章」のコンサートに感銘を受けてから1年以上。今年DVDを出したというので早々に入手したのだが、やはり、こういうものは身体と心の調子を整えてかからなければならない。そんなわけで、時間に追われない年末になってようやく観た。

元一(ウォン・イル)(ピリ・打楽器)
姜垠一(カン・ウニル)(ヘーグム)
許胤晶(ホ・ユンジョン)(アジェン・コムンゴ)
沢井一恵(17弦箏)
螺鈿隊(箏4重奏、市川慎、梶ヶ野亜生、小林真由子、山野安珠美)
姜泰煥(カン・テファン)(サックス)
喜多直毅(ヴァイオリン)
齋藤徹(コントラバス)
南貞鎬(ナム・ジョンホ)(ダンス)
ジャン・サスポータス(ダンス)

やはりと言うべきか、また、涙が出そうなほどの感情の高まりが襲ってくる。

演奏される組曲「Stone Out」は、その名前の通り、韓国の偉大なシャーマンにして音楽家の故・金石出(キム・ソクチュル)に捧げられたものだ。そして演奏家の半分は韓国の伝統音楽家であり、同時にアヴァンギャルドである。もちろん姜泰煥や齋藤徹などフリージャズのフィールドにも立っている。ジャズとはいえ、ポジティブな足し算タイプのジャズとはまったく異なり、ここに現出している音楽は、コミュニケーションやアンサンブルのあり方も含め、まぎれもなく東アジアのものであるように感じられる。「アジア」や「異種音楽」といった大きな物語が、決して看板やこけおどしでなく現出していることに感激するのである。

ひとりひとりの音楽に加え、元一と姜泰煥とが隣で出し合う異なった音色・声や、齋藤徹・喜多直毅・姜垠一の音の交換(「なぐさめ」などにおいて)など、交感する音楽も素晴らしい。コンサートに行けなかった人も必見。

もう二度と実現できないという謳い文句ではあったが、また、形を変えた「ユーラシアンエコーズ第3章」が観たい。トゥヴァのサインホ・ナムチラックをメンバーに加えてはどうだろう(姜泰煥とのデュオ盤もあることだし)。


齋藤徹(コンサートにて)

●参照
ユーラシアンエコーズ第2章
ユーラシアン・エコーズ、金石出
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』
ミッシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』
齋藤徹、2009年5月、東中野
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』
ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』
パンソリのぺ・イルドン
金石出『East Wind』、『Final Say』
『人はなぜ歌い、人はなぜ奏でるのか』 金石出に出会う旅
姜泰煥・高橋悠治・田中泯
姜泰煥・高橋悠治・田中泯(2)(姜さんの写真をチラシ・DVDのライナーに使っていただいた)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。