ゲイリー・ピーコック+マリリン・クリスペル『Azure』(ECM、2011年)を聴く。
Marilyn Crispell (p)
Gary Peacock (b)
1年ほど前に、微笑みながら、聴く者を魔の淵に立たせてしまうマリリン・クリスペルのプレイを目の当たりにして以来、平常心で彼女のピアノを聴くことができなくなったのである。この盤も、聴く前から陶然としてしまう有様。この異常な心理状態は何ならむ。
いやしかし、やはり、屈折率の高い宝石を覗き込むような気分にさせられてしまう。うっ、と微妙な間を置いて繰り出してくる、気持ち悪いほど美しく、瞑想的なピアノ。クリスペルは魔の人である。
ピーコックのベースは、弾いて弦と共鳴体の音を響かせるときから、一様ではない色彩を感じさせる。
●参照
マリリン・クリスペル+ルーカス・リゲティ+ミシェル・マカースキー@The Stone(2015年)
「ニューヨーク、冬の終わりのライヴ日記」(2015年)
ルイス・モホロ+マリリン・クリスペル『Sibanye (We Are One)』(2007年)
マリリン・クリスペル+バリー・ガイ+ジェリー・ヘミングウェイ『Cascades』(1993年)
ペーター・ブロッツマン(マリリン・クリスペル参加)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(1985年)(マリリン・クリスペル参加)
映像『Woodstock Jazz Festival '81』(1981年)(マリリン・クリスペル参加)
テザード・ムーン『Triangle』(1991年)(ゲイリー・ピーコック参加)
キース・ジャレット『Standards Live』(1985年)(ゲイリー・ピーコック参加)
ローウェル・デヴィッドソン(1965年)(ゲイリー・ピーコック参加)