Sightsong

自縄自縛日記

高瀬アキ+佐藤允彦@渋谷・公園通りクラシックス

2016-04-15 23:31:39 | アヴァンギャルド・ジャズ

渋谷の公園通りクラシックスに足を運び、高瀬アキ、佐藤允彦という吃驚するような組み合わせのピアニストふたりのデュオ。

Aki Takase 高瀬アキ (p)
Masahiko Sato 佐藤允彦 (p)

「佐藤さん、何をするんですか。リハーサルもしていないのに」
「リハーサルをしても仕方ないし。これがリハーサルのようなもので」

というわけで、この個性的なピアニストふたりが、お喋りをしてリラックスしながら、思い思いに鍵盤を叩いた。こうして目の当たりにすると、予想以上にそのプレイは対照的だった。高瀬アキは、奔放に、ときに激しく仕掛けていく。佐藤允彦は、まるでその奔流を受けるようにして、理知的に世界を構築していく。高瀬アキは、自らを包むものを破ろうとして弾ける。佐藤允彦は、なにものかを積み上げていく。多数のピンポン玉を使ったプリペアド対決では、高瀬アキは、気の向くままにピアノの中に玉を投げ入れ、弾いてはジャンプさせる。佐藤允彦は、その間も丹念にピンポン玉を並べ、おもむろに、チェンバロのような音色を提示してみせる。

「高瀬さん、ピアノの下に三本のペダルがあるでしょう」
「はい、勿論知っています(笑)。だいたいは右側を中心に使いますよね」(※右側のペダルは音を長く響かせる)
「・・・それは、アクセルをふかす人と、ブレーキを効かせる人と違っていて」
「(苦笑)」

そんなわけで、奔放にアクセルを踏みまくる高瀬アキと、自制しながらじっくりと構成して伽藍を建設する佐藤允彦との違いを体感することができて、とても面白いものだった。ハプニングの意味も、おそらくこのふたりでは違うのだろうなと思ってしまった。

ずっと別々のピアノを入れ替わりながら弾いていたふたりだったが、最後は連弾でしめくくった。随所が刺激的で、愉快極まりない演奏だった。

ところで、高瀬さんが、六本木にあったロマーニッシェス・カフェの話題を出した。わたしも何度か行ったことがある。懐かしいな。積んであってまだ読んでいないが、大木雄高『ロマーニッシェス・カフェ物語』には、ふたりのエッセイが入っているという。

●参照
アンサンブル・ゾネ『飛ぶ教室は 今』(2015年)(高瀬アキ参加)
高瀬アキ『St. Louis Blues』(2001年)
高瀬アキ『Oriental Express』(1994年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』(2011年)
『ASIAN SPIRITS』(1995年)(佐藤允彦参加)
『老人と海』 与那国島の映像(1990年)(佐藤允彦参加)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)(佐藤允彦参加)
アンソニー・ブラクストン『捧げものとしての4つの作品』(1971年)(佐藤允彦参加)


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