多田富雄『生命の意味論』(講談社学術文庫、原本1997年)は「超システム」としての免疫系を言語や存在論から語ろうとする。免疫は一対一というよりも多対多、あいまいさも本質のひとつとして超システムを作り出しているということ。とくに「自己」と「非自己」の識別が胸腺においてなされ、胸腺は人間の臓器のなかでもっとも老化を鋭敏に反映するものだという指摘には怖いものを感じさせられる。
というのは、吉村昭彦『免疫「超」入門』(入門どころでなく難しい)(講談社ブルーバックス、2023年)には、胸腺がストレスで小さくなったりカロリー制限で大きくなったりするとの実験結果が書かれていたから。ここまでくると、医者でない自分も明確な方法論をもって生きていかなければならないという気になってくる。