Sightsong

自縄自縛日記

ウェイン・ショーター『At Village Vanguard 1965』

2019-09-07 10:15:20 | アヴァンギャルド・ジャズ

ウェイン・ショーター『At Village Vanguard 1965』(So What!、1965年)を聴く。

Wayne Shorter (ts)
Herbie Hancock (p)
Art Davis (b)
Tony Williams (ds)

つまり当時のマイルス・デイヴィスのバンドからマイルスから抜けてウェイン・ショーターのリーダーになった形。ただしベースはロン・カーターではなくアート・デイヴィスである。曲は、Eye of the Hurricane、Just in Time、Oriental Folk Song、Virgo(ショーターは前年にエルヴィン・ジョーンズらと演奏している)、In Your Sweet Way - Closing Theme。

話には聞いたことがあったが確かにこれは凄い。ウェイン・ショーターはうねりながらも力強いソロを繰り出している。アート・デイヴィスはかれならではの固く推進力あるベースを弾く(ハービー・ハンコックやラヴィ・コルトレーンを入れた90年代のリーダー作『A Time Remembered』はその点で好きだった)。

しかし何よりもトニー・ウィリアムスである。まるで特撮番組で荒野のあちこちが爆発し続けているようなドラミングである。録音の音質は悪いが心の耳で聴かなくてもわかる凄みだ。トニーのライヴはいちど晩年に観たけれど、その30年前にここまでのポテンシャルを抱えていれば、その後自分自身の再生産をしていたのだとしても批判することはできない。そしてハービーも低音を駆使して野心的なピアノを弾いている。

この年の1月にマイルスバンドで『E.S.P.』が吹き込まれているが、それは本盤とは対照的に抑制的な美学に貫かれている(あらためて聴いたけど良いね)。マイルスは腰痛で入院し離脱。8月に本盤のライヴ。そして12月には復帰しプラグド・ニッケルでのライヴ。

●ウェイン・ショーター
『A Tribute to Miles Davis』
(1992年)
ラリー・コリエル『American Odyssey』(1989年)
デイヴィッド・サンボーンの映像『Best of NIGHT MUSIC』(1988-90年)
『Tribute to John Coltrane』(1987年)
ミシェル・ペトルチアーニの映像『Power of Three』(1986年)