お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリ氏が、本名である照屋年之名義で監督を務めた作品で、沖縄本島に近い伊江島が舞台。タイトルは沖縄語で「愛(かな)さんどー」と書く。沖縄民謡で1998年に発表された曲が本作の基となったようだ。
建設会社の元社長だった父(浅野忠信)が認知症に加え重度の癌で余命いくばくもないところ、元社員からの連絡でしぶしぶ帰省してきた一人娘(松田るか)。母が亡くなった前後の父の姿に反発し、見舞いにも行きたがらない。映画のシーンは、現在と過去を往き来する。母と交わした会話を思い出し、探し出した母の日記に記された、父との出会いから結婚に至る幸せな日々を読み、娘は許せなかった父を最後にきちんと看取ってやろうと決意する。思いがけない方法で…。
冒頭に始まり度々登場する、伊江島のシンボル「タッチュー(城山)」。それ以外、伊江島ならではと言うシーンは気付かないかもしれないが、会話の中で「名護から漁船(海上タクシー)で帰ってきた」と言うのがあり、沖縄本島との距離感が判る。娘は頑なに標準語だが、他はみな島言葉、ああ久しぶりに聴きに行きたいねぇ。
夫婦愛には色々な形があると言いたいか。親子の和解を伝えたいか。シマの人々の優しさを表したいか。観る人によって、心打たれるポイントが変わりそうな作品だなと思った。
2025年2月28日 川崎・チネチッタにて