「年越し派遣村の村長さん」として名を知られた著者による、現代日本の貧困層の実情と、そういう人々への行政の対応や民間による支援の実態。初版は10年以上前に出されている。もうそんなになるのか。
「うっかり足を滑らせたら、どこにも引っかかることなく、最後まで滑り落ちてしまう」日本社会を著者は「すべり台」と表現した。ついでに付け加えれば、今の日本は一旦そうなったら二度と這い上がることのできない「蟻地獄」構造であるとも言えはしまいか。自分は大丈夫と思える人は幸せだ。ちょっと大きな病気をして、休業でも給料が出るサラリーマンは良いがそうでない人は一気に転落だ。サラリーマンとて住宅ローンや子供の養育費などがあれば、経済的に厳しくなる日は遠くない。
著者が必要と説くのは「溜め」=ストック。直ぐに思い付くのはお金だが、それ以外にも人間関係、精神的なもの(自信や自尊心)。それって幸福の尺度と同じだな。さて、自分は?ちょっと心許ない。どれも、慌てて一朝一夕に準備できるものではない。人間関係に関しては、似たようなことはこの前に読んだ江上剛さんも書いていたね。
色々と書いても、具体的な政策提言に至っていない点が読者は不満であろうと著者は認めている。知らなかったが東大出なんですね。そのせいか、(信頼性を云々するのはともかく)統計データによる裏付けがあったり、判り易いストーリーや事例紹介で構成されており、貧困支援の入門書として良いのかもしれない。
新型コロナウィルス騒動による経済活動停滞により大幅な派遣切りやリストラが行われ、本書に書かれたようなネカフェ難民やホームレスが増えることは想像に難くない。我々を含めた社会はどう対応できるだろうか。
2020年7月25日 自宅にて読了
「うっかり足を滑らせたら、どこにも引っかかることなく、最後まで滑り落ちてしまう」日本社会を著者は「すべり台」と表現した。ついでに付け加えれば、今の日本は一旦そうなったら二度と這い上がることのできない「蟻地獄」構造であるとも言えはしまいか。自分は大丈夫と思える人は幸せだ。ちょっと大きな病気をして、休業でも給料が出るサラリーマンは良いがそうでない人は一気に転落だ。サラリーマンとて住宅ローンや子供の養育費などがあれば、経済的に厳しくなる日は遠くない。
著者が必要と説くのは「溜め」=ストック。直ぐに思い付くのはお金だが、それ以外にも人間関係、精神的なもの(自信や自尊心)。それって幸福の尺度と同じだな。さて、自分は?ちょっと心許ない。どれも、慌てて一朝一夕に準備できるものではない。人間関係に関しては、似たようなことはこの前に読んだ江上剛さんも書いていたね。
色々と書いても、具体的な政策提言に至っていない点が読者は不満であろうと著者は認めている。知らなかったが東大出なんですね。そのせいか、(信頼性を云々するのはともかく)統計データによる裏付けがあったり、判り易いストーリーや事例紹介で構成されており、貧困支援の入門書として良いのかもしれない。
新型コロナウィルス騒動による経済活動停滞により大幅な派遣切りやリストラが行われ、本書に書かれたようなネカフェ難民やホームレスが増えることは想像に難くない。我々を含めた社会はどう対応できるだろうか。
2020年7月25日 自宅にて読了
かつて職人さんはサラリーマンの3倍稼げたと言うけれどそれは保障がないから。にもかかわらず現状は学生バイトとかわらない同一以下の賃金なのだから、それは企業が労働者の将来を社会保障に丸投げしてるともいえるわけで、なかなかこの部分に対して踏み込めないのはどこかフリーランスとアルバイトの区別がついてないからではないだろうか。
しかも呆れることにそんな立場の人間を「口入屋稼業」合法化して企業の出してる金額は社員並みだったりするから、結局はピンハネ屋がフリーランスの人間に掛かる将来負担分を霞め取ってると言ったら過言だろうか。。