森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オオミスミソウ群落

2014年03月05日 | 自然観察日記
3月になって家の周りにはまだ残雪があるのですが、穏やかな休日です。じっとしてもいられず春を見つけに出かけてみました。昨年に比べ雪は少なく花の開花は速いだろうと思われますから、今年1年の野山の花の散策の始まりになります。出会える草花は例年のもので特に目新しいものがある訳ではありません。しかし、儀式みたいなものでまずは越後の自慢の花オオミスミソウのご機嫌伺いです。日本海に面する小高い山稜には、至る所かつては一面にオオミスミソウがあってすばらしい花園を形作っていたものでしたが、今はなかなか出会えなくなってきています。それでも秘密の場所(といえるかどうか?)があって様子を見に生きました。
予想どおり花は各所で見られます。しかし、まだ咲き始めで盛りはこれからというところ。それなりの個体群密度がありますから、盛りはまずまずの景観になることでしょう。盗掘によって綺麗な色の個体がなくなって白い花ばかりという話も多々聞くのですが、ここにはまだ有色の個体が白い個体よりも多い感じでした。

オオミスミソウ有色株

2014年03月05日 | 自然観察日記
オオミスミソウは「雪割草」という名で大々的に宣伝されています。私はこの種が「雪を割る」姿を見たことがありません。また、雪を割って出てくるような形態もしていないと思いますから、この言い方にはとても違和感をもっている一人です。この種の仲間がいくつかあって「ミスミソウ」や「スハマソウ」という名で区別されています「毛」があったりなかったり、大きかったり小さかったりで種名が多いのです。したがって園芸的に交雑種もたくさんつくられるようになり全体をまとめて種名を付けたいと考えるのは良くわかります。せめて『春告げ草』とでも名づけていただいた方がいいのかなと考えています。
ところで、このグループの中で最も変異があるのがオオミスミソウで新潟の弥彦山塊や佐渡を含めたエリアに自生しているのです。各個体の形質が千差万別で、園芸的には「品種」を持たないものとされています。変異が多いのは進化している最前線の状態と考えると越後に自生するオオミスミソウの個体群はとても興味深い存在になります。自生の個体は決して乱獲市内でほしいものです。地域のみならず日本の宝として彼らの生息環境を守って行く末を見守っていきたいものですね。

オウレン

2014年03月05日 | 自然観察日記
オオミスミソウよりオウレンの花の方が早く見られます。スギの植林したところもあってそういう林床にオウレンが根付いていることも多く、他の種があまり好まないような環境にも花が見られます。光条件の問題や水分条件が合っているようです。