ウスバサイシンがありました。深山の木陰でみる種で「那須にもあったか!」という思いです。かたまって大きな群落を作るような種ではなくポツンぽつんと出会う種という印象です。この種はヒメギフチョウというアゲハチョウの一種の食草として知られています。カンアオイを食草にするギフチョウと食い分けを行うことから2種が同じ地域にいても競争関係にならずにすみます。しかし、ウスバサイシンとカンアオイはあまり一緒に生育していませんから、ギフチョウの一群が深山に進出した時にウスバサイシンを食草にすることで生き延びて、ヒメギフチョウに進化したというふうに考えるのが自然なのでしょう。食い分けを行うことですみわけもでき両種の競争関係を避けていると考えられています。とはいえ、自然の破壊が著しくチョウもウスバサイシンやカンアオイが減少傾向で保護しなくてはなりません。ところで、短い間でしたがヒメギフチョウが飛翔する姿は目撃できませんでした。
カンアオイの仲間の花は変わった花です。この変わった花が好まれるという面があるのでしょう。地際にさいてカタツムリやナメクジのような小動物の媒介で受粉させるという考えがあります。蝸牛媒花というのだそうです。個人的にはその実態を見たことがありません。アリなどの働きもあるのではと考えてもいます。
どういういきさつでこのような場所に根を張るようになったのか?とても面白い生態を見ました。ウスバサイシンがミズナラの大木のうろに根付いているのです。それも花もつけていますから、ここに住み続けてかなりの年数がたったものと思われます。このうろに種子が運ばれたのはおそらくアリの仕業?以来、生育に適した条件が備わっていたのでしょうね。偶然がなせる一つの形です。自然は面白いですね。