小山田の桜樹林を後にして、近くのミズバショウの公園に立ち寄りました。まだ白い苞が見られるミズバショウですが、葉が生い茂りまるで野菜畑の風情でハンノキの林の林床に広がっています。こういう光景はあまり目にしないものでそういう意味で新鮮です。
その一角、山際に差し掛かると地面に桜の花が・・。散っているのかと思いきや地面から枝を出して花を咲かせているのです。ミズバショウが生い茂る湿地ですが、ここは少し盛り上がっていてミズバショウの葉がかぶさってこない位置です。僅か10cmにも満たない小枝が地面に出ていてその先端に2輪のサクラの花が咲いているのです。実に面白い光景ですね。一同大いに感心しました。
サクラの花を調べるとカスミザクラであると分かります。この花の4~5m奥の斜面に大きなカスミザクラの樹があって、この大木の枝の広がりのほぼ真下に花が咲いているという構図です。枝の広がりと根の広がりはほぼ同じと考えられていますから、張り巡らせた根が地上に頭を出して、枝の機能をよみがえらせて花芽を形成したものと推理しました。サクラの根は、たとえば崖などに生えていて土が崩れむきだしになるとそこから枝を出して花を咲かせるという性質がまれに見られます。この現象の一つの形ではないでしょうか。