カンボクは亜高山の湿地に生育する種というイメージですが、この丘陵公園の里山フィールドミュージアムにも自生があって開発されていない川べりにところどころ見られます。ただし、どの個体も開花株ではなく幼植物。どこかに成木があってそこから種子が運ばれ芽生えているのだろうと予想していますが、開花する季節にほぼ藪状態の山域に踏み込むことができていませんから成木の位置を確認できずにいます。この個体は7~8年前に未開園のエリアで見つけた幼木を移植して今年ようやく開花した個体です。移植した個体は5株あるのですがこの株が最も生育が良いようです。個人的な思い入れは強いのですが周囲の人はあまり関心がなさそうです。
一見ヤブデマリの花に似ています。つい最近までヤブデマリの花が里山いっぱいに咲いていましたから、カンボクの花は半月はズレるのですがヤブデマリの印象の中に埋没してしまっているのでしょうか。話題にもなりません。それはそうと、カンボクの集合花はヤブデマリとは雰囲気が違いますね。どこが違うか分かりますか?
葉の形もかなり特徴的で他のガマズミ属にはない形質です。低地では珍しいカンボクですからもっと育成してその存在を知らしめたいところです。しかし、幼木を採集してくることはそうそうできません。そして、やっと開花株になった段階で、種子を採取して発芽育種となると果たしてこれからどれくらいの時間が必要なのかと途方に暮れてしまいます。カンボクの価値を理解して跡を継ぐ人がいればよいのですが。