大きな丸みのある三つ葉のエンレイソウです。エンレイソウはいろいろなところで見てきていますが、微妙に各地のエンレイソウに違いがありそれを探すのも楽しみと思うようになりました。今回の西吾妻の個体の花は暗赤色で、越後でも見られるグループの色彩なのですが色合いに深みがあると感じました。
暗赤色の味のある花です。薄めの個体もありましたが外花被片全体が暗赤色の個体はあまり見なかったように思います。エンレイソウはミヤマエンレイソウ(シロバナのエンレイソウ)などとは異なり内花被片がありません。なぜ内花被片を失ったのか?(まれにある個体もありますが)。外花被が存在感のあるものならなんとなく納得もしますが、外花被は普通地味なもの。生活する場が多くは日陰で薄暗く、この色彩では自己主張をしているように見えないのですが。昆虫の眼では目立つ花なのでしょうか?
ミネカエデの低木がところどころある中で、冬芽から葉が伸びだしていくそれぞれのステージの様子が観察できました。これは、冬芽が膨らんで芽鱗がいまにも外れそうな段階のもの。カニの眼のようでユーモラスすな姿です。
葉身の中央部分が丸く盛り上がり先端部分が内側に巻かれています。葉の部分部分の成長の速度が異なるための現象でしょうか。この形ならつぼみなどが内側にあれば傘のように雨をよけるようは配置で、あるいは全体的には内部を寒さとか風とかを防ぐのに都合のよい形に見えます。芽だしの頃から様々な仕組みが考えられているように思いました。
クネクネと曲がった枝ばかりの中に目立たない花がポツンポツンとついている少し変わったツツジ科の種。ヒメウスノキ、別名アオジクスノキというどことなく軟弱なこれでも低木です。葉が展開しないのに花が咲いているということになるのですが、似たような性質を持つものは多くあるもののヒメウスノキの姿は「変わっているなぁ!」という印象です。
なかなかピントが合いません。色彩のせいでしょうか。茎と花が同じような色合いでかなり小さな花ということもあり何を写しているのかが判然としない有様です。葉がしっかり展葉し果実が赤く熟す頃はもう少し明確な輪郭もあって存在感が出てきます。それにしてもスノキの仲間も紛らわしいものがいくつかあるので頭を悩まされるグループですね。
西吾妻連邦への起点、天元台からの最終リフトを降りたところに白い花がさいていました。切通の斜面はまだ芽が出たばかりの草木がちらほらある中に2・3輪のコミヤマカタバミがありました。いつもは木陰の中で見つけることが多いのですがこういう環境での出会いもそんなにないもの。とにかく、歩き出す直前に歓迎を受けた格好でした。
開花したての花のようです。葉もまだ伸びきっていません。花弁の中心部に黄色い斑紋があります。地域によってもかなり顔が異なるコミヤマカタバミですが、花弁の筋がはっきりしていることと黄色い斑紋は種の識別には欠かせません。今まではもっと低地で見ることが普通なのですが、こういう高所でみるとコミヤマカタバミも高嶺の花なのだなぁと感心。凛々しく見えます。
カモシカ展望台へ向かう登り道。ゴカヨウオウレンに気を取られていると同行の方がタケシマランがあると知らせてくれました。ところどころ雪が消えたばかりの場所があり芽吹いた若々しい草花の中に地味な花をつけているタケシマランを確認しました。この種も早くに咲く花ですから夏山の盛りにはすでに花がなくて、秋口には赤い実が目立つものですから花の印象より実の印象が強い種です。
ピントが甘い写真ですが、なんとかタケシマランの花の構造が読み取れます。丸みのある六個の塊は花粉塊でしょうか。中央に柱頭がのぞいています。」受粉後果実は赤く色付き花とは異なりかなり目立ちます。果実は赤いものとだけ思っていましたが、ネットではクロミノタケシマランとかもあるそうでまた黄色い実をつける個体の写真もありこれも様々だなぁという感想。ちなみにタケシマランとは竹の葉の縞ににているのでつけられたというのが一般的な解釈のようです。
写真ではよく見るものの実物の花を見ることが少ないものの一つにチングルマがあるかもしれません。この花も夏の盛りにはすでになく毛の多い果実の姿を見ることになります。あるご婦人が「やっとチングルマの花を見ることができた」とつぶやいていたのがとても印象的でした。それでも、この時の西吾妻連邦は花のがようやく始まったばかりで、人形石の付近でようやく開花株が見つかっただけですから幸運であったことは確かです。
この山塊にはどれくらいのチングルマが生育しているのか定かでありませんが、まだつぼみの小さ目な群落が点々とありました。花のタイミングに合わせて登山することができるようでできないもの。一面に広がる大群落を写真でなくこの目で見たいものと思ています。