山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

世界に高貴を伝播したユリ王国ジャパン

2020-07-26 21:25:33 | 植物

 隣の地区で土砂崩れがまた起こり、奥の国道は通行止めとなった。雨が止んだ合間に、国道をウォークする。そろそろ終わりになりそうな「ヤマユリ」が最後のきらめきを見せてくれていた。幕末に欧米のプラントハンターを衝撃させたユリの美しさがフツーにあった田園国家ジャパンの片鱗を見た。

  

 紅茶大国イギリスの基礎を作ったプラントハンター,R・フォーチュンは、幕末の日本の園芸市場を見て、その量質の高さは世界の最高水準だと絶賛したほどだった。その一つの最高峰がヤマユリだった。その後、ヤマユリなどの球根は日本の外貨獲得の主要な輸出産業となっていく。そのユリを西洋では品種改良し、カサブランカなどを生み日本に逆輸入されていったのは周知のことだ。

  

 ヤマユリをよく見ると、水はけのよい斜面に生育している。また、株の周りには他の草が生えていて根の周りが日陰となっている。陽が強烈だと生育が悪い。最近、道路清掃で2mほど斜面が刈り込まれたが、ヤマユリはいつも刈り込まれないのが素敵だ。

               

 「存在に耐えられない重さ」の花弁をしょいながらもその美しさを誇示しようとする気迫。道路際のヤマユリも草刈機の犠牲にはならない。そんな優しさが山里のユリ王国をいまだ存在させているのかもしれない。長老に言わせると、むかしはごそっとヤマユリの群生地があちこちあったという。幕末の外国人が驚喜したどこでも植物が花咲く田園国家ジャパンは、経済優先でどんどん開発され感染症を呼び込む素地に貢献?してしまった。

   

 あらためて、都会の路地裏に育てられた植木群の意味を再評価し、地方の里山の復権に人格を呼び戻すことが必要だ。それは、人間の大規模な開発行為が広がるたびにコロナ禍があるからでもある。コロナは、人間の利益優先エゴへの「おしおき」なのだ。もう一度、人間は原点に立ち戻って環境に負荷をかけない生き方を模索しなければならない。ヤマユリの高貴はそんな人間のエゴを告発しているのかのようだった。

 

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