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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

解剖率100%の恐怖

2010-07-19 16:13:41 | Weblog

自殺偽装犯罪の発覚「氷山の一角」…解剖率4%(読売新聞) - goo ニュース

この結果は想像以上に深刻な問題を明るみにしているように感じる。例えば日本に

於ける自殺者数を3万人と見做して、その内解剖率が4%とすると、その人数は

1200人となる。その内自殺と見せかけて殺された人が1人でもいるのならば、

実際に殺されている人は25人いる事になる。毎年25人も大量に殺されていながら

警察が動かないという国は先進国の中では日本くらいであろう。慣れというものは

とても恐ろしいことで、毎年3万人も自殺していれば、という考えが警察の捜査を

鈍くしているのであろうが、しかし異状死の解剖率を100%にしてみたら自殺者が

1万人くらい激減した場合のことを考えるともっと怖い。


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『僕の無事を祈ってくれ』 100点

2010-07-19 10:58:02 | goo映画レビュー

僕の無事を祈ってくれ

1988年/ソ連

ネタバレ

‘液体’を巡る考察

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 7月16日と17日にアテネ・フランセで開催された日本初のカザフスタン映画特集『フォーカス オン カザフスタン(FOCUS ON KAZAKHSTAN)「カザフ・ニューウェーブ」から20年 - カザフスタン映画の現在』において、1990年8月15日に自動車事故により28歳で夭折したソビエトロック界のカリスマ、ヴィクトル・ツォイが主演ということも手伝ってもはや伝説の映画と化している特別上映の『僕の無事を祈ってくれ(原題「Igla(=針)」)』(ラシッド・ヌグマノフ監督)を観る機会を持つことができた。
 「カザフ・ニューウェーブ」の代表作だけあって当時のソビエト連邦国内で制作されたものとは思えない、いや、検閲が厳しかったが故のそのシュールな演出に戸惑うばかりで、作品冒頭で時間に注意するように告げられて、丁寧にも時折デジタル時計の表示までされるのであるが、時間軸の錯綜により一度観ただけではなかなか把握することが難しい。ここでは‘液体’に焦点を合わせて考察してみたい。
 主人公のモロは友人のスパルタクに連れられて彼の仲間がたむろしているバーに連れて行かれる。そこでモロの目の前で彼の仲間がコーラ(=黒色)を泡がコップからこぼれ出すことも気にせずに無造作にコップに注いで一口飲んだ後に、タバコの吸殻をコップの中に入れてしまう行為はアメリカ文化の否定を暗示させていると思うが、逃げていたスパルタクが仲間が持ってきたヨーグルトを飲むとしても、モロの恋人である麻薬中毒のディーナを治療するために海辺にある小屋に滞在していた時に、近所に住む老人が持ってきてくれた、コルホーズで生産されたであろう牛乳(=白色)の入ったビンをディーナが割ってしまうシーンを見ると、ソビエト連邦を肯定しているわけでもない。ディーナが信用しているものはコーラでも牛乳でもなく、麻薬が入った小さなアンプルなのであり、彼女はその‘液体’にアメリカでもソビエト連邦でもない自分たちの国であるカザフスタンを託すという皮肉が見て取れる。
 モロに追い詰められたスパルタクはプールに隠れるのであるが、そのプールに水(=透明)は入っていなかった。モロから奪い取ったアンプルを仲間たちに渡さずにくすねたアルトゥールは、優雅にプールで泳いでいるのだが、彼の不正がばれてモロや仲間たちに囲まれてしまうと、プールの水が抜かれて水がなくなってしまう。‘液体’に身を委ねられる立場に居る者など一人もいないのである。
 ラストシーンで雪の中をモロがディーナのもとに帰る途中で、見知らぬ男に腹をナイフで刺される。モロは地面に積る雪の上に血(=赤色)を少し滴らせながらもBGMで彼の歌「Blood Type」が流れる中、それでも気丈に帰っていく。
 以上の理由から、それぞれ強烈な印象を残す‘液体’の色と量に観客はもっと注意を払った方が面白いと思うのであるが、次回日本人がこの作品を観る機会を持つことができるのはいつになることやら。

 その他に上映された作品に関しても簡単に言及しておきたい。
 『ハイウェイ』(セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督 1999年)はカザフスタンのハイウェイを古いバスで旅をする、大道芸人一家の日常を描いているドキュメンタリーである。この作品で興味深いシーンは車のエンジンをかける時に長男が試みてもなかなかかからないのであるが、父親が試みるとすぐにかかり、芸人一家の経験値が意外なところで示される。
 若手監督短編集は4本上映されたが、私が最も良いと思った作品は『Butter』(セリク・アビシェフ監督 2009年)である。‘報酬’の代わりに大量のバターを受け取った主人公があくせくする様は間違いなく『恐怖の報酬』のパロディであり、BGMで流される Demis Roussos の「From Souvenirs To Souvenirs」も主人公の状況を考えると笑いを誘う。オードリー・ヘップバーンのポートレートが映し出される意図が読めなかった。
 『パッチワーク』(ルステム・アブドラシェフ監督 2007年)はオートバイを疾駆させている若い女性が映し出された後に、ワシでウサギを狩っている老人が映し出されるように現代と伝統に挟まれた人種の坩堝が駆使された‘パッチワーク’の綾が観客を厭きさせることがない。『ハイウェイ』でもワシが出てくるということはカザフスタンではワシは身近な存在なのだろうか?


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