特集:ジョアン・ペドロ・ロドリゲス レトロスペクティヴ
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ダークヒーロー‘ファンタズマ’
総合
100点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
10人のスタッフで、全員素人を起用している本作の冒頭のシーンはラバーの黒いボディスーツを身にまとった男が、別の男の御釜を掘っている。
場面は変わってリスボンのゴミ清掃員として働いている主人公のセルジオが飼い犬を洗っているところに、ファティマという女性が背後から目隠ししながら、自分が誰なのかをセルジオに当てさせるのだが、セルジオは次々と他の女性の名前を言いファティマであることが最後まで分からない。セルジオは女性に興味がないのである。
間もなくしてセルジオはトイレで出会った男にフェラチオをさせたり、クルマの中で縛られている警察のズボンのチャックを下ろして、男根を手で扱いたり、「SUZUKI」のバイクに乗っている男を気に入り、男の家のゴミ箱をあさり、捨てられていた水着を盗んで、自分で身に付けてシャワーを浴びながらマスターベーションをしたりと荒れた性生活が描かれる。男が通っているスイミングプールを訪れ、ようやく男と知り合いになり、帰りに御釜を掘られるのであるが、事が済むと男はさっさと帰ってしまう。セルジオが男の家に忍び込み、部屋の中で排尿していると男が帰ってくる。セルジオは窓から逃げるのであるが、警備員に見つかり手錠をかけられる。男からも追い払われて、職場に戻って手錠をヤスリで切ろうとしていたところにファティマが現れ、喧嘩になり手錠を外せないまま追い出されてしまう。
ようやく冒頭にシーンに戻る。ラバーの黒いボディスーツを身にまとったセルジオ、またの名を‘ファンタズマ’は警備員と男を痛めつけた後に、逃走をはかり、ゴミをあさってリンゴを食べたり、うさぎを捕まえたりしながら逃げ続けるのであるが、セルジオの興味は逃走よりも動きに合わせて全身を締め付けるラバーの快感にあるようだ。
セルジオが隠れ場所の開いている扉から庭に出て右に曲がっていくラストシーンは、冒頭で廊下を走っていく犬が左側の扉に向かって吠える場面とコントラストを形成することで快楽のみで生きる人間と犬の類似性を明るみに出すのである。
セリフが少なく全体的に絞りの強い本作の製作において国から助成金を受けたと監督が語っていて驚いたのであるが、日本の文化庁はこのような作品に助成金を出すのだろうか。これは皮肉ではなく素朴な疑問なのだけれど。
長編2作目の『オデット』は、ペドロとルイの別れのキスシーンから始まる。21歳で学生のペドロは翌日に試験があるために帰宅しなければならなかったのであるが、おそらくいつも2人でDVDで観ていたであろう『ティファニーで朝食を』(ブレイク・エドワーズ監督 1961年)の中で流れる挿入歌「ムーン・リバー」とは明らかに異なる奇妙にアレンジされた曲がペドロのクルマのラジオから流れてくることにルイは違和感を持つものの、そのままペドロを帰宅させる。しかし直後に翌日のテストを頑張れと言うことを忘れたことに気がついたルイは携帯電話で伝えたのはいいが、走行中の携帯電話の使用による不注意で事故を起こしたペドロは死んでしまうのである。
同じ頃、スーパーの接客を仕事にしていたオデットは、同棲していたアルベルトと結婚して子供を産みたいと思っていたが、警備員として働いていたアルベルトには全くその気が無く、ある日言い合いの末にアルベルトは家を出て行く。同じアパートに住んでいたペドロが亡くなったことを知ったオデットは通夜に列席した際に、ルイがペドロにキスしているところを目撃してしまう。その後、ルイがペドロにプレゼントしていた指輪を死体から抜き取ったオデットは、葬儀の日にペドロが眠っている棺桶に飛び乗るという派手なパフォーマンスを試みることで、ペドロの‘恋人’を演じる。一方、葬儀に参列することがなかったルイはふさぎこんだままだったが、やがて公衆浴場や夜の溜まり場を訪れては新しいボーイフレンドを探すものの、ペドロを忘れることは出来なかった。
やがてペドロの墓石の周囲にロウソクを立てて、墓石に横たわっているオデットをルイが目撃して、ペドロに渡したはずの指輪をオデットが身につけていることで、思わずルイはオデットにキスしてしまう。ここにおいてセクシャリティが微妙に変化している。ルイが好きなのは男ではなく、ペドロという個人であり、オデットは女性という匿名性からペドロの母親であるテレサなど多くの人たちに愛されているペドロそのものになろうとしているのである。
オデットが髪を短くしてペドロの服を着ただけではルイはオデットにペドロをダブらせることは出来なかったであろう。2人の間には『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーンの‘ボーイッシュさ’が仲介していたはずであり、ペドロの幻影が見守る中でルイとオデットは新しい物語を共有しながら‘結合’することになる。
長編3作目の『男として生きる』の冒頭は軍事訓練の様子が描かれる。やがて組んで行動することになる2人は暗闇の中でホモ行為に及ぶのであるが、ある家にたどり着いた時に、まるで自分は同性愛者ではないということを証明するかのように相手を銃殺してしまう、その男は最後に主人公のドラッグクイーンであるトニアがアントニオだった頃に儲けた彼の息子であるザ・マリアであることが分かる。
トニアは20年のキャリアを持つドラッグクイーンだったが、さすがに老いには勝てず、若手からは忌み嫌われ、豊胸のために入れたシリコンの劣化が原因で乳房から膿が出る始末である。トニアはボーイフレンドのロザリオと飼い犬のアグスティーヌと新たな野良犬を引き連れてロザリオの兄を頼って旅に出るものの、途中で出会った2人のドラッグクイーンたちと森の中をさまようことになる。一曲まるごと聴き浸る登場人物たちのシーンや、アグスティーヌが隠していた思い出の品を見つけ出すに至り、本作はドラッグクイーンの晩年のレクイエムと化すことになる。
長編4作目の『追憶のマカオ』はジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の『マカオ』(1952年)のジェーン・ラッセルが歌う「You Kill Me」から始まる。シーンは変わって現代のマカオ。サバイバルゲームの最中に殺人が起こり、マカオのオカマであるキャンディという古い友人から連絡を受けたジョアン・ルイ・ゲーラ・ダ・マタはリスボンからマカオに上陸するが、なかなかキャンディに会うことが出来ない。
まるで前作でキャラクターを全て葬ったかのようにドキュメンタリーである本作においては登場人物がはっきりと姿を見せることはなく、マカオという場所そのものが人を狂わせる痕跡を捉えようという試みが斬新である。例えば、銃声なのか爆竹なのか不明確な音などである。同性愛というテーマを突き詰めながら同性愛を超えてしまい、テーマの変化に合わせて作風を変えていく監督の特異さが、頻繁に現れる吐瀉物と共に印象深い。
グラミー歌手アデル、今夏にも結婚か!超極秘結婚式を計画中(クランクイン!) - goo ニュース
国際レコード産業連盟によって発表されたランキングによるならば、アデルのセカンド
アルバム「21」は、2011年に引き続き2012年でも世界で最も売れたアルバムの第1位
を獲得し、2012年だけでも世界中で累計830万枚を売り上げたらしい。ちなみに第2位の
カントリーシンガーのテイラー・スウィフトの「Red」との差は300万枚も開いているらしい。
あるインタビューによるならば、アデルはアルバム「21」の制作に3ヶ月かけたと言って
いたが、自分が作った全ての曲において自分の経験が反映されていると語っていたことが
印象に残った。「Rolling in the Deep」や「Set Fire to the Rain」などを聴いて
いると、どれほど激しい恋愛を経験しているのかを想像してしまうが、今はどうやら幸せ
らしく、だから新しいアルバムを制作する必要が無いとも言える。